利用は5割強・子供の携帯電話におけるフィルタリングの利用状況

2011/09/14 06:36

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携帯インターネット警察庁は2011年8月25日、「児童が使用する携帯電話に関わる利用環境実態調査」の結果報告書を公開した。その報告書では子供と携帯電話の関係について、多種多様で有意義なデータが記載されている。今回はその中から、子供の携帯電話に対し、いわゆる「フィルタリング」をしているか否かの状況についてグラフ化を行うことにした(【発表リリース、PDF】)。


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今調査は2011年2月から5月にかけて、全国(震災の影響により宮城県は未実施)の18歳以上の小学生(現在4-6年生)・中学生・高校生の子供がいる保護者に対し、学校経由で保護者向け調査票を配布・回収したもの。有効回答数は6万6308人。なお回答票上に特に明記はないが、子供に関する項目は一人分しかないことから、複数の子供がいる保護者の場合は一番年上の子供に関して回答しているものと見なす。

まずは【小学2割・中学4割・高校9割…小学生から高校生の携帯電話の保有状態】で説明した、現時点における携帯電話の保有率(=利用率)。保護者が回答しているので項目は「-保護者」とあるが、実際にはそれぞれの子供に関する回答であることに注意されたい。

↑ 携帯電話の所有状態
↑ 携帯電話の所有状態(再録)

全体では5割近くが携帯電話を保有していることになる。

ではこの「子供が利用する携帯」に、いわゆる「フィルタリング」をしているか否かについて聞いた結果が次のグラフ。なお「フィルタリング」そのものについては【「自分のケータイ、フィルタリングサービス付いてる?」小中学生は2割強が「はい」と回答】などで解説しているが、調査票では「インターネット上の有害なサイトを見られないようにするための設定、いわゆる”有害サイトへのアクセス制限サービス(ウェブ制限・時間制限を含む)”」と説明している。

↑ フィルタリングの利用の是非(専用・家族共用携帯保有回答者)
↑ フィルタリングの利用の是非(専用・家族共用携帯保有回答者)

全体では半分強が利用、3割が利用していない。7.7%は元々ネットへのアクセスが出来ない携帯なのでフィルタリングの意味は無く、他に4.5%は「利用していたが解除した」と回答している。

小学生の場合は安全策としてか、元々ネットへのアクセスが出来ない機種・設定のものが2割を超えている。これも含めると「無制限アクセス」は2割に届かない。ところが中学生では3割足らず、高校生になると4割強が「無制限アクセス」状態となる。学校種が上になるについて「利用せず」「利用解除」、そして「無制限アクセス」率が増え、「ネット利用不可の機種・設定」「利用あり」が減る(一部イレギュラーはあるが)と見てよい。歳を経るにつれて「フィルタリングは要らないナ」と保護者が判断するのも道理なので、この結果はある意味当然といえる。

「フィルタリングを現在使っていない」には、ネットが使えない機種は別にすると、「未利用」と「使っていたが解除した」の2種類に大別される。それぞれについて、保護者がそのような判断を下した理由を複数回答で聞いた結果が次のグラフ。

↑ フィルタリング未利用の理由(複数回答)
↑ フィルタリング未利用の理由(複数回答)

↑ フィルタリング解除の理由(複数回答)
↑ フィルタリング解除の理由(複数回答)

元々使っていない事由としては「子供を信用」がもっとも多く半数近く。これは厳密には「しっかりした子だから大丈夫だろう」以外に「もう歳(相応)なのだからサービスを使わなくても問題は無い”はず”」という、年齢からの推測的判断も含まれよう。次いで多いのは「必要性を感じない」。これも厳密にはトップ項目のに近しい意味を持つ。フィルタリングなど使わなくても、リスクのあるサイトなどにはアクセスしない・するはずがないと考えているわけだ。

フィルタリング一方、一度は利用していたものの、解除してしまった理由としては「子供から解除してと頼まれた」がもっとも多く、6割近くを占めている。フィルタリングはリスクの高いサイトなどを排除するものの、リスク判定が完璧なわけでは無い。場合によっては「コミュニティサイトだから全部リスクあり」として、普通の掲示板などもアクセス不可としてしまうこともある。そのような制限に不便さを覚える子供もいて当然。第三位の「子供にとって不便を感じた」も似たようなもの(これは保護者からの判断だが)といえる。

それとは対象的なのが第二位の「子供を信用している」。性善説にのっとり、子供を信頼し、リスクを自己判断するから大丈夫のはずだ、というものだ。「ならば最初からフィルタリングを使わなければ良いのでは」ということにもなるが、信頼できる年頃になった、あるいは複数回答の合わせ技で「子供から解除して欲しいと頼まれ」「子供を信用している」ので解除した、という判断も含まれよう。



フィルタリングの現状はこのような形だが、もちろんフィルタリングが万能のリスクシステムでは無い。子供側がこっそり解除してしまう可能性はゼロとはいえないし、フィルタリングを巧みにすり抜ける「リスク要素」も十分想定される。保護者としては「フィルタリングをしているから、放置でも問題ない」ではなく、「フィルタリングで物理的な制限をかけ」た上で、子供自身が正しい判断を下せるような知恵を会得させるべく、啓蒙・学習を施すことが求められよう。


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