子供のネットトラブル、「コミュニティサイト」への移行続くも初の減少(2011年上半期データ反映版)

2011/09/11 06:55

携帯と子供警察庁は2011年9月8日、2011年上半期における出会い系サイトなどに関連した事件などの検挙状況について発表した。それによると2011年上半期における出会い系サイトの事件検挙件数は497件と前年同期比で-41件、被害にあった児童は133人で前年同期比-8人と、減少する傾向を見せている。一方でコミュニティサイト(前回までは「出会い系サイト以外のサイト」と呼ばれていたもの。SNS、プロフィールサイトなど、ウェブサイト内で多人数とコミュニケーションがとれるウェブサイトのうち、出会い系サイトを除いたものの総称)では、検挙件数は726件(-4件)、被害児童数は546人(-55人)と、こちらも減少する状況にある。警察庁側では引き続き問題のある出会い系サイト事業者に対する取り締まりを継続すると共に、コミュニティサイト対策としては「サイト内監視体制の強化促進」「フィルタリングの普及徹底」「実効性のあるゾーニングの促進」「新興事業者への自主的対策の促進」などを行うとしている。またEMA(一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)への情報提供によるサイトの厳格な認定め監視なども続けるとのこと(【発表リリース、PDF】)。

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子供たちのネット界隈での問題は以前【子供がネットトラブルを起こしそうな場所、親はちゃんと把握して……ない!?】でも取り上げ、アメリカにおける同じような事情として【米社会の子供達のネットとの付き合い方を箇条書きにしてみる】【ネット上でいじめを受けている子供の徴候】を紹介した。今回警察庁から発表されたデータは、日本における子供とネットの関係上の「リスク」において、問題を生じる場所がもはや「出会い系サイト」は少数派となり、「コミュニティサイト」が多数に及んでいることを明確に表すものとなっている。

↑ 出会い系・出会い系以外のサイトに関連した被害児童数・検挙数推移
↑ 出会い系・出会い系以外のサイトに関連した被害児童数・検挙数推移

↑ 出会い系・出会い系以外のサイトに関連した被害児童数・検挙数推移(2010年と2011年それぞれ上半期のみ)
↑ 出会い系・出会い系以外のサイトに関連した被害児童数・検挙数推移(2010年と2011年それぞれ上半期のみ)

・各種規制の強化や啓蒙で、出会い系サイトを対象とした児童周りの問題は減少傾向にある(青系統色)
・コミュニティサイトの児童周りの問題は増加の一途をたどっていた。今年の上半期は統計を取り始めた2008年以降、初めて減少傾向を見せている(赤系統色)

特に出会い系サイトについては、2008年の「出会い系サイト規制法」の改正で事業者の届け出制を強化すると共に、各種フィルタリングの強化が功を奏している。逆にコミュニティサイト絡みでは計測を始めた2008年以降増加を続けてい「た」(2011年上半期では減少している)。いくつか理由はあるが、主なものを挙げると

・普通のソーシャルメディアなどコミュニティ系のサービスなのでフィルタ対象になりにくい
・業界団体の「健全認定」を受けたサイトでも状況は発生しうる(隠語の利用など、実行者の手口の巧妙化)
・「健全認定」を受けたところも含め、ソーシャルメディアなどの利用者数そのものが増加している

などがある。

困った……今回の発表に先立つこと同年5月19日に警察庁では【コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析について(平成22年下半期)(PDF)】を発表。区分名を変えた「コミュニティサイト」に関して、独自の児童被害に関する分析を行っている。そこでは「サイト内隠語の使用事犯が約1/4」「保護者の放任」「アクセス環境として携帯電話が多数にも関わらず、フィルタリングに加入していないのが9割以上」などの分析結果を挙げた上で、「実効性のあるゾーニングの促進」「ミニメールの監視体制拡充の促進」「フィルタリングの普及徹底」「EMAにおけるサイトの認定・監視機能の強化促進」と、今件発表における対策とほぼ同じ項目を挙げ、対策の強化をうたっている(ちなみにこれらの要件のほとんどは、昨年のそれと変わりが無い)。

不特定多数の人が集まる場が存在する以上、そのような「状況」が発生し得るのは確率論的に避けることはできず、また人数が増えれば「比率」は低くても「絶対数」が増え得るのも避け難い(例:100人の0.1%なら1人ですらないが、100万人の0.1%なら1000人になる)。しかし「比率として低いからそれで妥協する」ことが出来ないのが、犯罪防止関連の事象なのもまた事実。特にコミュニティサイトは元々普通のコミュニケーションを行うための場所であることから、その場所での児童被害者が、出会い系サイトのそれよりも低年齢にあることも重要な問題と受け止められている。

↑ 出会い系・コミュニティサイトにおける児童(18歳未満)の被害者数(2011年上半期)
↑ 出会い系・コミュニティサイトにおける児童(18歳未満)の被害者数(2011年上半期)

携帯電話事業をはじめとする関連業界側としては、「健全認定」が単なるお飾り的なものとして世間一般に軽視されることの無いよう、「発生数ゼロ」を目指して最大限の努力を続ける必要がある。

それと共に保護者や教員など周囲の人たちは児童に対する啓蒙・周知を徹底すると共に、子供自身も十分に注意しなければならない。特に携帯電話やインターネットの利用が「当たり前」のものとなった昨今、保護者の子供への啓蒙・周知責任は、社会生活に慣れさせるという点において、それこそ「電話のかけかた」「横断歩道の渡り方」「信号の意味」「お買い物の仕方」と同じくらいに重要であることを認識する必要があろう。

なお繰り返しになるが、今回の2011年上半期においては、はじめて前年同期でコミュニティサイト関連の数字が減少する動きが確認できた。出会い系サイトの減少は2006年以降の継続傾向だが、コミュニティサイトにおける減少は注目に値する。少子化による児童数の減少云々は影響としてはほぼ無視して良く(影響があるのなら計測を開始した2008年から減少していなければならない)、減少原因としては「各機関の努力のたまもの」と「震災による混乱でそれどころでは無かった」の二つが考えられる。もし後者が主要因なら、2011年下半期は再び増加傾向に転じるし、前者ならば減少傾向は継続する。

その観点でも2011年下半期のデータは、これまで以上の注目が求められよう。

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