砂糖・穀物・油脂が上昇中、予断を許さない状況(2011年8月分世界食糧指数動向)

2011/09/10 19:30

国連食糧農業機関(FAO)発表による【世界食料価格指数(FAO Food Price Index)】が高い水準を維持している。この値は1990年以降にFAOが世界の食料価格の月ごとの変化を定期的に監視・統計した上で発表しているものだが、昨今の各種商品市場の動向や政治情勢を判断する際に、参考になる値の一つである。そこで当サイトでは定期的にデータの更新・グラフの再構築を行うことにしている。今回はその2011年8月分の反映版となる(7月次は公式サイトそのものの更新が無かったものの、今回の8月分で合わせてデータが公開されている)。

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今記事のデータ取得元および用語の解説は一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で説明を行っているので、そちらで確認してほしい。

まずは、収録されている全データを使った折れ線グラフを生成する。中長期的な食料価格の変移概要がつかめる、資料性の高いものだ。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2011年8月)

砂糖は元々相場変動性の高い食料品のため変動が激しいものの、それ以外は2005年前後までは50-150の領域でほぼ留まっていたことが分かる。それが先の「サブプライムローンショック」に始まる2007年以降の市場動乱を皮切りに大きなうねりを見せ、全体的に上昇傾向にあるのが確認できる。特に「サブプライムローンショック」の急上昇とその後の大きな反動による下落の後に起きた「リーマンショック」(2008年9月)以降は、全体的に上昇する一方。

目に留まる点として一連の金融危機の前に起きた、2005年前後の砂糖の高値がある。これは干ばつによる砂糖の不作(ブラジルやタイなど)に合わせ、新興国での需要拡大が目覚ましいものになってきたこと(生活水準が向上すると甘いものの需要が増える)、さらには原油価格の上昇に伴いエタノール利用度が高まり、エタノールの原材料となるサトウキビへの需要が増加したのが原因。当時は「25年来の最高値」と大きな騒ぎとなったが、昨今はそのような言い回しも無意味なものとなりつつある。

続いて、2007年以降に期間を絞り、直近の金融危機以降の動向が分かりやすいものに生成し直したものがこちら。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2011年8月)

砂糖が2010年初頭から急落しているのが目立つが、これは元々過熱感のあった相場に対し、豊作が伝えられたをきっかけにする反動の結果。しかし価格上昇の原因である需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感が解決するはずも無く、再び上昇をはじめている。7月-8月においては安定的な値動きを示しているが、まだ高値には違いない。欧州やインド、タイの良好な生産見通しは価格の上昇を抑えるのに十分な貢献を果たしたものの、最大の砂糖生産国であるブラジルの見通しが、昨年同様の低い水準に留まるとのことで、高値圏を維持させている。

また、リーマンショック以降は砂糖価格だけでなく他の主要商品価格が一様に値上がりを続けている。特に穀物価格(紫線)が去年夏頃から急上昇を見せているのは注目に値すべき。この数か月は安定した値を維持しているが、昨年と比べれば高水準での安定であり、生活の不安要素を積上げる大きな要因となっている。

昨今の食料価格の上昇ぶりを確認するため、各指標の前年同月比・前月比を併記し、数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年8月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年8月)

幸いにも直近月ではいずれの項目も安定した値動きだが、年ベースで見ると、大きな価格上昇、特に砂糖・穀物・油脂が勢いよく上げているのには違いない。リリースでは今月の動きについて「食料価格指数はほぼ横ばいだが、年ベースで比べると26%もの上昇。直近一年では2011年2月が最高値」「油脂や乳製品は下落したものの、穀物価格の上昇が打ち消してしまっている」と説明している。

食肉や乳製品の1割台の値上げはともかく、穀物の上昇率が4割近いのは問題。原材料費がそのまま食料加工品や世帯の食費に反映されるとは限らないが、食事は欠かせない生活行動である以上、主食となる穀物の価格高騰は、エンゲル係数の高い層には痛手となる。また「食肉」の価格が少しずつ、しかし確実に上昇しているのも気になるところ。「砂糖」の急騰も合わせて考えると、やはり新興国での食料事情の改善・食生活水準の向上化により、より水準の高い食品の需要が急激に増えていると見ることができる。



食料価格の上昇は特に新興国における需要そのものの急速な拡大に加え、バイオエタノールの問題、天候不順による不作、さらには商品先物市場への資金流入に伴う相場の過熱感と合わせ、価格が安くなる要素が見つかりにくい。大きな需給関係のバランスを動かす事態が発生しない限り、中期的には値を上げ続けることになるだろう。

繰り返しになるが、食事のベースとなる穀物価格、そして贅沢品のベースとなりやすい砂糖や油脂の高騰は、社会情勢を不安化させる要因となる。昨今の世界各地における情勢不安(例えば【イスラエルで続く生活改善を求めるデモ】)も、要因の一つに食料価格の上昇があると考えるのが道理。それだけに食料価格を世界的な視点で眺められる世界食料価格指数には、十分な留意が求めらねばなるまい。

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