新聞や雑誌の一部に復調傾向が見えてくる(電通・博報堂売上:2011年8月分)

2011/09/10 06:41

【博報堂DYホールディグス(2433)】は2011年9月9日、同社グループ主要3社の2011年8月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年9月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2011年8月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細や各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2011年8月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2011年8月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震の影響がこの数か月に渡って現れているが、今月はその状況からは先月からさらに脱したように見える。4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っていることに違いは無いものの、新聞や雑誌の一部に復調傾向が見えるのは喜ばしい。

また今月は先月から転じて「電通より博報堂の伸び率が良い(あるいは下げ率が低い)」項目が多数存在する状況となった。とはいえ4マスでは両社2対2で均衡しており、「どちらが優勢」というものではない。

両社合わせると前年同月比でプラスなのは全部で12項目。具体的な表記は略するが、4マス内だけでも8項目中3項目(「新聞(電通)」「雑誌(博報堂)」「テレビ(電通)」)が確認できる。この点だけでも先月7月よりは堅調さがうかがい知れる。

「雑誌」の下げ方が厳しいのは相変わらずで、【日本出版取次協会、出版物の店頭配布の遅延を発表】【ファミ通、薄っ通】などにあるように、震災以降、流通の混乱や紙・インクの不足などで出版そのものが間引きされたり印刷数が少なくなったり、部数は変わらなくとも1冊あたりのページ数が減ったことで広告も減少したのが、未だに引きずっているものと思われる。さらに8月は【月刊誌と隔週刊誌、夏期締切2日間前倒し・正式発表】などにもある通り、スケジュールがタイト化したのも遠因だろう。

4マスの中でテレビはもっとも早い復調が確認されている(今回はプラス率では新聞にその座を譲ったが)。ただ、金額は他の3メディアと1ケタ違うテレビの勢いが明確に戻らないと、4マス全体、しいては広告そのものの盛り上がりが欠ける状況が継続してしまう。一方具体的項目では4マスと共に注目を集める「インターネットメディア」だが、今月は電通・博報堂共にプラスを維持したものの、勢いでは先月と比べてやや欠ける形となった(それでも博報堂は先月のマイナスからプラ転している)。

今月は電通で「OOHメディア」「クリエーティブ」部門の伸びが目に留まる。一年前のデータを見ても、前年同月比に変動を与えるような動きは確認できず、純粋に従来型広告(屋外広告など)で電通が奮戦したことがうかがえる。

一部誤解される方がいるので改めて説明しておくが、上記グラフはあくまでも個々の会社の前年同月比に過ぎない。インターネット分野の額面は他の分野と比べればまだ小さめ、そして個々分野を会社毎に比較した額面上では電通の方が上である。例えばインターネット分野なら、電通31.25億円、博報堂は20.73億円(3社合計)という値。

電通・博報堂HDの2011年8月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2011年8月における部門別売上高(億円、一部部門)

今回8月分は、東日本大地震の影響を丸ごと一か月受けた5か月目の月となる。震災の直接的な影響を受けた数字のマイナス変動はすでにピークを過ぎ、予定調和内の動きに戻ったといえる。とはいえ以前からの「4マスが泥沼化」「ネットがかろうじてプラス」という状況に変わりは無い。

電力供給不足は、どのような甘い試算をしても、今冬以降も続くものと思われる。「デジタルサイネージ」についても、【池袋駅のデジタルサイネージ、その後】で報告しているように地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは立ち直りつつあるものの、積極的な節電下における運用のためか、以前と比べて勢いに欠けるところが大きい(自粛ムードによるものもある)。

そのような状況なら電力消費をほとんど伴わない、従来型野外広告にもう少し注目が集まってもよさそうなものだが……というのが先月のコメントの締めくくりだったが、今月の電通の値を見ると、あるいは電通は「状況を理解」した上で動き出したのかもしれない(単なる偶然、あるいは夏の各種イベントで積極的営業の成果が出ただけの可能性もあるが)

今後は東日本大地震前以上に、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、(広告効果的には無意味な)慣習にとらわれることのない、コストパフォーマンスの高い、そして同時に効果が分かりやすい広告手法が求められることになる。その分知恵を振り絞った、発想に優れた広告が待たれ、受け入れられ、消費者の目に留まることになるのはいうまでも無い。

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