クラシファイド広告の下げ幅拡大で2ケタへ、オンラインも足踏み状態…米新聞社広告費動向(2011年2Q)

2011/09/07 12:00

アメリカの新聞業界が厳しい状況に置かれているのは承知の通りで、その実情を推し量るために部数や広告売上の推移を、アメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」が公開しているデータを基に、定期的に確認している。広告費動向については最新データを基に以前【アメリカの新聞広告の売上推移をグラフ化してみる(2010年分まで)】と四半期単位のものを記事にしたが、部数については2011年9月6日時点で未だ更新されておらず、【アメリカの新聞発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)】【アメリカにおける日曜版の新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)】が最新のままとなっている。他方、部数の2010年分更新より先に、広告費の2011年第2四半期分のデータ公開が行われていることが分かった(同年9月1日付)。今回はこのデータをグラフ化してみることにする。

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データの取得場所や広告の種類に関する説明はまとめ記事【定期更新記事:米新聞社広告費動向(Q単位)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

21世紀に入ってからは、2009年までは米新聞の広告収入は右肩下がりだったものの、2010年にはさすがにリバウンドの傾向が見られたのは、以前の記事でお伝えした通り。

↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)
↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率、2010年分まで)(再録)

↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)
↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)(2010年分まで)(再録)

「リバウンド」とはいえ、前年比プラスだったのはオンライン(インターネット、以下同)だけで、紙媒体は「マイナス度合いが改善された」に過ぎず、マイナスであることに違いは無い。そして2010年の動きを細かく見ると、「オンライン…復調」「紙…マイナス具合が縮小しただけでマイナスには違いなし」という動きが顕著化しただけなのが判明している。

そして今回取得した直近四半期こと2011年第2四半期のデータがこちら。せっかくなので直前期1Qも併記しておいた。あくまでもそれぞれは「前年同期比」であることに注意。直前期との比較では無い。

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2011年2Q)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2011年1Q-2Q)

唯一プラスとなっているのは「オンライン広告」だけ。これは前期から変わらない。他は全部前年同期比1割前後の減少。総合計「紙媒体+オンライン合計」がマイナス6.93%に留まっているのは、オンライン広告の奮闘によるところが大きい。一方、直前期と比べると、ナショナル・リテール広告が少しではあるが持ち直しの動きを見せる一方、クラシファイド広告は傷口を広げており、事態の持ち直しが難しい様子が分かる(元々一番ネット向けの広告なのだから、紙媒体が落ち込むのは当然かもしれない)

ちなみに金額ベースのグラフは次の通りで、伸び率ではオンラインが奮闘しているものの、金額では全体を支えるところまでに成長していないのは(横軸項目の並び順は上のグラフと同じにして生成している)、日本の状況とさほど変わらない。

↑ 米新聞の広告収入(四半期区分)(億ドル、2011年2Q)
↑ 米新聞の広告収入(四半期区分)(億ドル、2011年2Q)

以前の記事で「二極化」、具体的には「オンラインは明らかに復調」「紙はこのまま低迷・縮小を続ける気配」とコメントしたが、それが前期同様に明確なものとして2011年第2四半期の広告費に現れている。アメリカの景気動向は現在足踏み状態にあるが、その状況下で最適化、メディアの構造変化は確実に続いている。

それがより確実に把握できるのが、次の「四半期単位の前年同期比推移」を金融危機が起きる2007年からグラフ化したもの。金融危機以前から紙媒体の低迷とオンラインの堅調ぶりという動きがあり、それが不景気の波にもまれて両者とも低迷。そして上限を抑えられるような形になったものの2009年後期からは戻しを見せるが、紙媒体の戻りは限界を迎えて再び低迷に向かっているのがしっかりと把握できる。

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2007年-)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2007年-)

もっとも今期を見ると、今年に入ってからオンラインですらも成長スピードが落ちているのが確認できる。前回は「成長度合いがストップ」と表現したが、単なるイレギュラー・一時的な息切れの可能性と共に、ネット内での囲い込み(具体的にはFacebookなどのソーシャルメディア)競争に打ち負けつつある場合も想定できる。

新聞業界においては数少ない、残された希望の星といえるオンライン広告までもが頭打ち、さらには成長度合の縮小の可能性まで出てきた。これでは縮小化が加速する紙媒体部門を支えきれるはずもない。今後アメリカの新聞業界がどのような形で切り返しを図るのか、それとも状況に流されるまま、収入、そして規模そのものの縮小を続けるのか。日本の新聞業界の行く先を占う観点でも、注視を続けたいところだ。

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