定期更新は今件が最後…東北・東京・中部電力需要推移(2011年8月31日まで)

2011/09/03 12:11

震災後に発生した電力需給のひっ迫状況を受け、先の記事(2011年5月12日まで反映したもの)を皮切りに、定期的に東北・東京・中部電力管轄における、一日単位での最大電力需要推移をチェックし、適切な情報解析を継続している。今回は2011年8月31日までを反映した版である。なお後述するが、定期更新はこれが最後となる。

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今記事のデータ取得元および用語の解説は過去の記事【東北・東京・中部電力の一日単位の最大電力需要推移をグラフ化してみる(2011年5月31日まで反映版)】で説明を行っていので、そちらで確認のこと。

まずは純粋に3月1日以降、収録最新データの8月31日までの推移を東北・東京・中部で並列表記したものを生成する。

↑ 東北・東京・中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東北・東京・中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

細かいギザギサを刻んでいるのは、曜日特性によるもの(土日は多くの企業が休むため、管轄全体としての電力需要が減る)。東北・東京電力は本震の3月11日の翌日12日に大きく値を落とし、その後はそれ以前と比べて低水準で推移しているのが分かる。

中部電力は、東北・東京電力と比べれば本震直後の減少が少ない一方で、全体的に少しずつ減退していった様子が確認できる。これは季節的なものもあるが、製造業中心の中部電力管轄において、それらの電力消費が減っていることも要因として考えられる(【産業の活力が分かる、大口電力使用量をグラフ化してみる(2011年4月分)】でもその片鱗が確認できる)。もっとも6月以降は、むしろ増加の動きが見て取れる。これは他の電力管轄同様に夏期に入り、冷房需要が増加したため。そして中部電力が製造業中心云々というのは、後述する「販売電力量、電灯・電力需要実績」などで確認できる。

今回の記事で追加された8月以降のみに注目すると、「7月下旬同様に起伏が激しい」のが分かる。これは気温の上下で電力需要(特に冷房周り)が大きく変移することを意味している。

続いてもう少し分かりやすい形で、それぞれの電力会社別にグラフを再構築する。昨年の同月同日と併記する形で生成したのが次のグラフ。曜日調整はしていないが、大体の状況は把握できる。

↑ 東北電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東北電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

↑ 東京電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東京電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

↑ 中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

”6月以降は誤解を生む可能性があるのでデータの修正そのものはしないものの、「非常に暑かった去年と比較した値」ということを念頭に置いておく必要があろう”とは以前の記事での言い回し。8月も7月同様に、終盤にかけて比較的過ごしやすい日々が続くこととなったため、曜日修正を施していない今グラフではあるが、8月下旬の区域で東京・東北電力両管轄において、赤と青の線の距離が、非常に大きく離れる状況が確認できる。

中部電力のグラフは東北・東京電力と比べると、異様なまでに大きな変動(最大電力の絶対値ではなく、変動率という意味)なのがひと目で分かる。これは【中部電力の各種データをグラフ化してみる】でも解説したように、中部電力管轄では他の管轄と比べて工業(製造業)による電力消費の割合が大きく、土日の工場停止時には全体の電力消費の減退率も大きくなるため。

そしてその工業(製造業)においても、8月も7月同様に変動幅が小さく、そしてやや不規則な動きに転じているのが分かる(一部気温の急上昇に伴う上振れはあるが)。これは「電力使用制限令」で東北・東京電力管轄内における法的拘束力のある節電が大口需要家に対して求められているのに伴い、中部電力でも「要請」という形でそれに近い節電が要求されているのに合わせて行われた節電効果によるところが大きい。

最後に2010年と2011年での電力需要の差異を、比率でグラフ化したものを展開する。電力需要は曜日による属性変化が大きいことは先に触れた通りだが、2010年と2011年では同じ月日だと曜日が一日ずれる計算になるので、それを修正している。なお中部電力の値はプラスマイナスゼロを行き来してい「た」ので、分かりやすいように赤の点線をゼロ部分に追加した。

↑ 東北電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 東北電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

↑ 東京電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 東京電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

↑ 中部電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 中部電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

現在確認できるのは8月31日までのデータ。グラフ中吹き出しでも示したように、ゴールデンウィーク中の祝祭日前後でやや特異な動きを見せているが、全般的に電力供給不足、そしてそれによる節電が叫ばれている東北・東京両管轄内では本震後ほぼマイナス圏を推移している。

そして今回追加された期間内では8月中旬における異様な暑さの影響で、全電力管轄で大きな上昇が把握できる。しかし東北・東京両管轄は「電力使用制限令」下にあり、この大きな上昇期間以外は本震直後に近い、あるいはそれ以上の下げ率を記録している。

中部電力では【中部電力の需給計画を見て】でも触れているが、超法規的要請により浜岡原発が停止。供給予備力が非常に危ういレベルに達したことで、5月以降は節電対策が求められている(東京電力管轄への電力の融通も停止)。【中部電力、夏季の電力不足を予想し節電協力を公知】にもあるようにイレギュラー的な事象が発生しなければ、ギリギリ需給関係のバランスは保てる状況まで供給力をかさ上げできているものの、不安はぬぐえず、上にもあるように法的拘束力のない「要請」という形で、準「電力使用制限令」状態にある。これが幸いしてか、8月も気温が高い時期のイレギュラーな動きはあるものの、それ以前の時期よりは前年比でマイナス値を示す日々が多くなっているのが分かる。



一連の記事で取り上げている3電力管轄では、「電力使用制限令」という法的拘束力のある命令による節電のおかげで、7月以降8月においても東京・東北両管轄で大きくマイナス側に振れた動きが確認できる。平日の需要増加が大人しくなったのも、ひとえにこれによるもの。中部電力では直接命令下には無いが、似たような努力をしているようすがうかがえる。

もっとも8月中旬の動きでも分かるように、多分に気象状況に左右されてしまうのも事実。昨年9月のような猛暑が生じれば、【東北・東京電力管轄の電力使用制限令、前倒しで終了】にもあるように電力使用制限令の前倒し終了後でも油断は禁物。

一方、【関西電力姫路第二発電所(火力)で故障発生、60万kW分の供給力低下】などで解説しているように原発周りの問題がクリアできない限り、電力不足の根本的な解決は短期レベルでは不可能。【火力発電所2基故障で電力不足、中部→関西へ緊急融通電力】【鹿島火力発電所4号機、トラブルで運転停止・60万kW減】などを筆頭に、既存の発電所も通常稼働状態で起きうるトラブルに加え、電力需給のひっ迫から多分に無理な稼働をしているところもあり、イレギュラー的な電力供給減が相次いでいる。また短期的な話だが、【東北電力管轄・水力発電所の現状】でも解説している東北電力管轄の現状のように、豪雨による水力発電所の同時トラブルのリスクも、今後しばらくは考慮しなければならない。

電力使用制限令の前倒し終了などを受けて、「足りているから電力問題など心配する必要は無い」と強気にとる発言もちらほらと見受けられる。しかし、それが関係者の努力によるものであるのと同時に、「たまたま」の結果であって、今後も継続的にその状態が維持される保証はどこにもないことを、肝に銘じねばならない。

そして「来年の事を語ると鬼が笑う」ではないが、今夏を無事に乗り越えても、今冬、そして来年以降も、電力需給がひっ迫しうる夏と冬は必ずやってくる。応急処置的に増設されている電力供給源のうち、少なからずのものは「期間限定」「コストパフォーマンスが非常に悪い」ものであり、常用・中長期の利用は困難(事実上不可能)。応急処置的な展開だけでなく、同時に中長期の戦略にのっとった、そして夢想話や世論を扇動する山師らによる幼稚な、国費を浪費する計画では無く、国全体にとってプラスとなる計画の策定が設実に、しかも早急に求められているのは言うまでも無い。

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