【更新】「浮島太陽光発電所」のデータを元に太陽光発電の現状をグラフ化してみる

2011/08/22 06:35

浮島太陽光発電所先日【東電、7000kWクラスの太陽光発電所「浮島太陽光発電所」を起動】でもお伝えしたが、2011年8月10日、東京電力と神奈川県川崎市は、同市浮島においてメガソーラー発電所(※1MW=1000kW超の太陽光発電所の総称)の運転を開始した。最大出力7000kW、敷地面積11ヘクタール(11万平方メートル)・太陽光パネル3.8万枚(モジュール:単結晶シリコン型)の大型太陽光発電所で、日本国内の現状稼働のものとしては五本の指に入るほどの規模を誇る。今発電所では【社会・環境分野の取り組み:メガソーラー発電所】などでリアルタイムに生成電力のデータを開示しており、太陽光発電の現状と未来を推し量ることができる。今回は同発電所の先週一週間の稼働状況を記録し、今後の検証材料として保全しておくことにした。

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↑ 浮島太陽光発電所外観(プレスリリースより)
↑ 浮島太陽光発電所外観(プレスリリースより)


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↑ GoogleMapで見た該当地域。記事現時点ではまだ太陽光パネルは設置されていない状態のデータとなっている

さて、リアルタイムで「浮島太陽光発電所」の発電情報を公開しているページで、昨日取得した分も合わせ、丸々過去一週間分のデータを確認。分かりやすいように一日の蓄積発電量について、一般家庭一日分の電力換算で何軒分まかなえるかをグラフ化した。

↑ 浮島太陽光発電所の発電量(一般家庭一日分で何軒分か)
↑ 浮島太陽光発電所の発電量(一般家庭一日分で何軒分か)

偶然にも先週一週間は、太陽光発電の実情を検証しやすいような天候の流れ……前半は猛暑、後半は崩れ気味……となった。天気のマークは該当日の神奈川県横浜の天気を【ヤフー天気】から取得したもの。

単純に暑ければ太陽光発電には良いというわけではないが(高温すぎると発電効率が落ちる)、先週前半は発電環境としてはかなり良い部類に入る状態。大体1日あたり4500軒分/日ほどの電力「量」を発電出来ている。しかし8月19日以降は天候が悪化。もっとも効率の悪い8月21日は556軒分でしかない。

8月19日は「雨マーク」なのに「曇りマーク」の20日・21日と比べて一日あたりの発電量が大きくなっているが、これは8月19日のお昼前から天候が崩れたことによるもの。該当期間でもっとも大きい・小さい発電量だった日とあわせ、8月19日における一日の発電量推移のグラフを見ると、天候悪化と共に急激に発電量が減少した様子が手に取るように分かる。

↑ 2011年8月15日(期間中最大発電量)の動向
↑ 2011年8月15日(期間中最大発電量)の動向

↑ 2011年8月21日(期間中最少発電量)の動向
↑ 2011年8月21日(期間中最少発電量)の動向

↑ 2011年8月19日の動向
↑ 2011年8月19日の動向

「浮島太陽光発電所」の最大発電能力は7000kW。よって概算するとその上限までフル活動したとして、大体5000軒分程度の電力がまかなえることになる。発電用燃料を直接必要としない発電所としては、それなりに大きな規模のもので、心躍るものがある。

同時に今件は、現行技術における太陽光発電の限界・現実をも再確認させられる。棒グラフにあるように、天候によって大きく発電量が左右されるのはもちろんだが、さらに発電時間帯による発電量の差異も再認識する必要がある。

電気が溜められない、溜めにくいのはご承知の通りで、今発電所にはまとまった容量の蓄電ユニットがないため、発電した電力は「その時点で」消費されなければいけない。お昼に発電した電力を、夜中に消費してもらうという融通は不可能なわけだ(人間が「食いだめ」「寝だめ」が出来ないのと似ている)。

また、発電用燃料が不要な再生エネルギーであることや、「発電時における」公害などの環境負荷を最小限に抑えられるというメリットはあるものの、初期投資コストが高いのに加え、設置したパネルのメンテナンス・老朽化した場合の入れ替えコストを無視するわけにはいかない(火力など他の発電所も同様。最近「発電所は一度建設したら、人の管理も必要とせずに、永久に同じ能力を発揮し続ける」と誤解される場面が多いので、改めて記しておく)など、難点も少なくない。

浮島太陽光発電所作業風景そして忘れられがちだが、発電効率上では現行技術の限界もあり、まとまった発電量を得るには広大な面積が必要となることにも留意しておく必要がある。例えば今件の「浮島太陽光発電所」、そして12月に併設される形で完成する「扇島太陽光発電所(1.3万kW)」も合わせた敷地面積は34ヘクタール(太陽光パネル設置面積は30ヘクタール)。これだけの「管理運営する」面積があれば、最新型のLNG利用による火力発電所なら「100倍以上の発電能力を持つ設備」(今案件なら概算で200万kW)も建設可能との事。

技術進歩を果たせれば発電効率をある程度かさ上げすることは可能だが、よほどのブレイクスルー的な技術の登場でも無い限り、何倍もの効率のパネルを低価格で量産できるような状況は、数年単位の未来としてイメージするのは難しい。さらに上でも触れたように、蓄電技術も並行してかさ上げしないと、せっかく昼間に発電した電力も無駄になりかねない(天候の変移で容易に発電供給量が変わる状態は、「安定した供給」が前提のインフラとしては使いにくい。8月19日の動向が良い例)。

一部には「現行の」太陽光発電技術で、広大な敷地を用いれば既存の他様式による発電所の大部分を置き換えられると主張する向きもある。都市開発系のシミュレーションゲームならそれも不可能ではないだろうが、今回紹介した話のように、現実はなかなか難しい。「浮島太陽光発電所」のような施設を漸次創りつつ、管理運営のノウハウ・技術・経験を蓄積すると共に、根幹技術や周辺技術(例えば蓄電)を確実に前進させていくこと。それこそが、一見遠回りのように見えるものの、一番確実な「未来のエネルギー社会」への歩みではないかと思われる。

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