「電力使用制限令」の発令が大きくのしかかる・前年同月比でマイナス4.7%(2011年7月分大口電力動向)

2011/08/20 12:00

電気事業連合会は2011年8月19日、同年7月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年7月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で731億kWhとなり、前年同月比でマイナス5.0%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス4.7%を記録し、5か月連続して前年同月の実績を下回ることになった。節電による影響が出ているようだ(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめたページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説している。そちらで確認をしてほしい。

2011年7月においては大口全体で前年同月比マイナス4.7%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2011年6月-7月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2011年6月-7月)

今月は前月と打って変わり、鉄鋼以外の部門で状況の悪化が確認されている。マイナス値が多いのは、東日本大地震とそれに続く余震、各種震災に伴い、東日本地域の工場が被災したこと、さらには「節電による操業ストップ、稼働率の低下」「原発事故絡みで操業不可」「部品不足による工場の稼働率低下」など、二次的な被災によるもの。そして7月1日からは「電力使用制限令」の発令により、一部地域で法的拘束力を伴う節電が実施されたのも大きな要因。中でも「紙・パルプ」のマイナス幅が大きいのが目に留まる。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の観点においては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きがほぼすべて失われ、2011年3月から大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震を起因とするもの)。下げ幅こそ数年前のリーマンショック時のそれには及ばないが、1年前のこの時期が回復傾向にあったことを考えると、「それ(1年前)と比較して」の値が算出されるので(つまりはプラスと比較される)、今後しばらくはマイナス値を継続することは容易に想像できる。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場が復興するまで、物理的な電気の消費元が減ることになるのに加え、上記でも触れているが、各種部品不足に伴う工場の稼働率の低下、電力使用制限令(あるいはそれに類する自主規制)による消費電力減退など、数字の低迷は否めない。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業絡みでの動きを確認できる、大口電力の動向は注意深く見守りたいところだ。

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