その場の過去が一度によみがえる、ちょっと怖いARアプリ

2011/08/21 06:53

Death Revealer 自動車事故の高リスクをドライバーに認識させる方法は多種多様なものがあり、例えば【視界に留まると自車の速度計を再確認したくなる自動車】【事故の衝撃が飛び出す看板】のように、事故の状況を観る者にイメージさせるという手法が用いられる。今回紹介するのもその類の手法のものだが、いかにも「今らしい」切り口が用いられている。すなわち、スマートフォンを活用したAR技術と、QRコードによる浸透を狙ったものである(【ADS of the World】)。

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↑ The Village: Death Revealer。
↑ The Village: Death Revealer。

これはロシアのモスクワなどで展開された、スマートフォンを活用した事故防止啓蒙プログラム。説明にいわく、「モスクワでは毎年何千人もの人が交通事故に巻き込まれ、あるいは当事者となり、痛い目に合い、あるいはかえらぬ人となる。しかし多くの人はその事実を知らず、現実感の薄いデータとしてしか認識しない。なぜなら事故現場は早急に片づけられ、何事も無かったかのような情景に戻されてしまうから」。そこで都市生活やその生活で多用する交通機関などに焦点を当てた雑誌「ビレッジ(村)」が啓蒙も兼ねて行ったのが、この「Death Revealer」というアプリを用いたプロモーション。

仕組みとしてはさほど難しいものではない。スマートフォンのGPS機能とGoogleMap、事故データをリンクさせたもの。モスクワ市内、あるいはロシアの主要都市の任意の場所をスマートフォンのカメラ越しに見ると、その場所で起きた事故データをアイコンの形で参照できるというものだ。


↑ 「この場所で自動車接触事故が」「人が負傷した事故が」などがアイコン形式で示される
↑ 「この場所で自動車接触事故が」「人が負傷した事故が」などがアイコン形式で示される

多くの事故ではその場所でのARによるアイコン表示だけでなく、実際の事故の状況を示した写真もリンクされており、確認ができる。

↑ 実際の事故の状況もデータ化されている
↑ 実際の事故の状況もデータ化されている

一件一件の事故では無く、その場所で起きた多種多様な事故が蓄積された状態で表示されることにより、重要度の認識や注意喚起の度合いは大きくなる。一つひとつは大したことが無いように見えても、まとめて把握することでリアリティが増すのは良くある話。無駄遣いの一覧をリスト化した家計簿や小遣い帳を見返すと、思わずため息が出てしまう、あの感覚に近い。

今アプリはiTuneでも無料で配布されているし、雑誌でもその案内が行われているのだろう。しかしそれでは利用喚起に限界がある。ゲームやプレゼントと違い、積極的に稼働したくなるタイプのアプリではないからだ。

そこで今アプリの展開と同時に考えられたのが、好奇心を使った野外広告。交通事故の現場検証などで用いられる、「人がこの場所にいた」ことを示すチョークのマークを道端に描き、その頭の部分にQRコードをデザイン化してしまうというもの。

↑ 人のマーク、その頭部にはQRコードが
↑ 人のマーク、その頭部にはQRコードが

好奇心旺盛な人なら、そのQRコードを読みとろうとするだろう。すると今件アプリのダウンロードページにジャンプして、解説と共にアプリの利用を促してくるという次第である。

このようなアプリが展開されると、「自動車で運転しながらアプリを操作して、色々な場所を一気に確認しよう」という、事故防止啓蒙というアプリの主旨と本末転倒な使い方をしてくる人も出てくる。そこでこのアプリでは、運転中での使用を察すると(恐らくは移動速度で感知すると思われる)、自動車を止めるよう促すと共に、アプリ自身も止まってしまう仕組みを施してあるとのこと。

アプリ利用の動機付けが今一つ弱い感はあるが、その場で起きた事故の数々を蓄積データとして「現場で」「ARを使って」参照させるのは、発想的には優れたアイディアといえる。コンセプトとしては【疑似体験で観光が何倍も楽しくなるARアプリ】に近い。あとはどれだけ使い手にアプリを使わせる動機付けが出来るかが、ポイントといえよう。

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