【更新】前年同期比ではマイナスが殆ど、CIELは奮闘…少女・女性向けコミック誌部数動向(2011年4月-6月)

2011/08/13 06:29

先日まで【社団法人日本雑誌協会】が2011年8月3日に発表した、2011年4月から6月分の印刷部数データを元に、いくつかの定期発刊雑誌の動向をグラフ化し、分析した。今回は一連の記事の最後&オマケ的なものとして、少女・女性向けコミック誌の雑誌についてグラフ化を試みることにする。なお当方は男性ということもあり女性誌には疎いことから、数字そのものは別としても、内容分析については的外れなことを述べている可能性もある。その点はあらかじめご了承願いたい。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

まずは少女向けコミック誌。少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」の立ち位置に「ちゃお」がついている。これは前回と変わりなし。

2011年1-3月期と最新データ(2011年4-6月期)による少女向けコミック誌の印刷実績
↑ 2011年1-3月期と最新データ(2011年4-6月期)による少女向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」のように100万部超の世界は未達成だが、他誌に比べて「ちゃお」が抜きんでている様子が分かる。直近データでは60.7万部。販売実数はこれよりも少なくなるので、50万部くらいだろう。第2位の「別冊マーガレット」の3倍近くに及んでいる。ただしこの60.7万部も、データが確認できる2008年7月-9月期以降における最盛期の値86.7万部から比べれば、30万部近く数を減らしている。

そして直近の動きとしてはやはり東日本大地震・震災の影響からか、各誌とも大きく数を減らしている。詳しくは後述するが、対象雑誌内では前期比プラスを見せたのは一誌、「LaLa DX」のみ。

続いて女性向けコミック誌。こちらもやはり震災の影響と思われる落ち込みが、印刷部数グラフからも確認できる。

2011年1-3月期と最新データ(2011年4-6月期)による女性向けコミック誌の印刷実績
↑ 2011年1-3月期と最新データ(2011年4-6月期)による女性向けコミック誌の印刷実績

注意してほしいのは横軸の区分。一番右で16万部までしかない。男性向け、さらには少女向けコミック誌と比べ、随分と市場が小さいことが分かる。

トップは前回の「YOU(ユー)」から、「BE・LOVE」に差し替わっている。元々「週刊ヤングレディ」の増刊漫画誌で、1980年の創刊。女性の大人向け(30-40代)のレディースコミック誌。前期トップ、今期も第二位の「YOU(ユー)」同様、レディースコミック誌の強さを再認識させられる。

さて「少女・女性向けコミック誌」としての記事は今回が三回目となるが、比較的古い分までのデータはすでに取得済み。そこで他の分類同様に、印刷数変移をグラフ化してみることにする。まずは最新期と前期の変移率。要は約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すもの。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年4-6月期、前期比)

女性向けのコミック誌も男性向けのコミック誌と状況は大して変わらず、厳しい局面を迎えている。今回は前回よりもネガティブな動きを見せ、プラスなのは前述した「LaLa DX」のみ。震災の影響が考えられるとはいえ、赤塗り誌が9誌、10%以上のマイナスが5誌というのは少々キツい。業界そのものが震災云々以前に、縮小傾向にあることが再確認できる。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)
↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2011年4-6月期、前期比)

堅調なのが「CIEL(シエル)」のみという状況は前回と変わらず。ただし状況は前回より悪化しているのは明らか。「CIEL」は前回解説したように「ボーイズラブ(BL)」系のコミック誌で、同ジャンルの人気の底深さと浸透拡散ぶりがあらためてうかがえる。また「ARIA」は元々部数が少ない(直近1.2万部)ため、大きなぶれが生じている。7月28日発売の9月号で、発行から一周年を迎えるということなのだが……。

続いて「前年同期比」の値も算出する。いわゆる「季節属性」を考慮しなくても済むわけだ(例えば今回なら、2011年4-6月と、その1年前の2011年4-6月分の比較)。純粋な雑誌の販売数における、年ベースでの伸縮率が把握できる。ただし今回は震災というイレギュラーなネガティブ要因があるため、多分の下げ方の追加は仕方が無いともいえる。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年4-6月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年4-6月期、前年同期比)

前年同期比も厳しいのは男性向けのコミック誌同様で、少女向けコミック誌でもプラスは1誌、あとはすべてマイナス。しかもマイナス値は前回よりも大きく、普段の業界の軟調傾向に、震災の影響がそのまま上乗せされて反映される形となっている。10ポイント超のマイナス値は10誌にも及び、前回の7誌からさらに悪化。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2011年4-6月期、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2011年4-6月期、前年同期比)

前期比部分でも言及した「CIEL」が大いに健闘。他に「MELODY」がプラスだが、こちらは白泉社の(少女コミック部門の)「花とゆめ」「LaLa」から派生した女性向け隔月刊誌で、本家の両誌がマイナスとなる中、プラスを見せている。ストーリー性・ドラマ性の高い作品が数多く揃えられていることが評判を呼んでいるようだ。このあたりの構造も前期と変わらない。少女・女性向けコミック誌は男性向けと比べ、短期間での「プラマイの方向性における」動きは少ないように思われる。



今期は他の雑誌群同様に震災の影響が少なからず見受けられる結果となったが、それを差し引いても女性向けコミック誌、特に若年層を対象にしたものの大苦戦ぶりが改めて確認できる。一方で今回のグラフ中、数少ない青・緑色で着色された「CIEL」と「MELODY」は、それぞれ「ボーイズラブ・ストーリー」や「ドラマ」という特性を持っている。この「オンリーワン」的要素が、激しい生存競争の中で生き残るポイントとなるヒントに違いない。

……もちろん「すべての女性・少女向け雑誌をボーイズラブ化、あるいはドラマ化すれば良い」と結論づけているわけではないのだが。

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