展示品一つの追加で絶大な効果を表現したプロモーション

2011/08/12 06:12

にやり【置き場所を変えるだけで「ここまでミニサイズか」と驚かされる自動車の広告】【「比類無き大きさ」がひと目で分かるプロモーション】などのように、物事の反応・状態・環境を通常ではありえないほどオーバーに表現したり、サイズを巨大化するなど「非日常性」を演出して注意をひきつけると同時に、表現対象の効力をアピールする方法がある。前者の例なら、実際にこのようなミニサイズの自動車は無いのだが、見た人は「そこまで小さいのか」と半ば冗談であることを認識しつつ、記憶には「小さい」ことが強烈に刻まれるわけだ。今回紹介するのも、その類のプロモーション。「そんなバカな」と驚き、ツッコミを入れつつも、オーバーに表現された該当商品の高性能さを、強く印象づけられる仕掛けである(I Believe in Advertising)。

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↑ 扇風機の前で横倒しになる自動車。
↑ 扇風機の前で横倒しになる自動車。

これはブラジルで扇風機メーカーのArnoが展開したプロモーション。ブラジルでは猛暑で扇風機が飛ぶように売れたが、同時に売り手側も熾烈な販売競争を続けていた。そのような状況下で、どのようにすればArno社の扇風機の高性能ぶりを、多くの人に印象付けられるかと、思案の末に展開されたのがこの方法。

待ちゆく人々は次々にある方向を指さし、カメラを構え、状況の異様さに驚くと共に理解を示し、笑みを浮かべて行く。


↑ ニヤリとする人、カメラを構える人、反応はそれぞれだが、慌てる人や怒る人は皆無
↑ ニヤリとする人、カメラを構える人、反応はそれぞれだが、慌てる人や怒る人は皆無

扇風機の第一のアピールポイントは、その(送風の)威力にある。そこでその強力さを強調(!?)するため、Arnoでは店頭展示品の扇風機の前に、横倒しになった自動車を一台配置した。


↑ 「この扇風機の送風が強すぎて、倒れてしまいました」とばかりにアピールをする自動車
↑ 「この扇風機の送風が強すぎて、倒れてしまいました」とばかりにアピールをする自動車

扇風機には「vento na maxima potencia」、つまり「最大風力」とだけ書かれている。横倒しの自動車にも扇風機にも、それ以上の説明は何も無い。しかし人々は、まず横転している自動車に驚き、注目し、目をやり、そして扇風機が前面に配されて「最大風力」という表記をしているのに気がつき、はじめて「この扇風機の送風の強さで倒れたのか…」と、漫画の表現のようなアピールぶりを理解。緊張は解け、ニヤリとしてしまう。


↑ 「私たちも飛ばされないかしらね」「そこまで強いのかな」と、ついつい扇風機の風に当たって試してしまう人達
↑ 「私たちも飛ばされないかしらね」「そこまで強いのかな」と、ついつい扇風機の風に当たって試してしまう人達

このプロモーションが巧みなのは、通常の展示に一つ物品(横倒しの自動車)を追加しただけで、メッセージを特に添付していないにも関わらず、訴えたいことが強烈に伝わること。そしてその物品自身の非日常性から、ちょっとしたサプライズによる注目を周囲の人から得て、それをトリガーとして興味関心を引かせること。しかも「だまされた」というネガティブな展開ではなく、「なんだ、なるほど」という好印象を多くの人に与えている。

そしてなりよりもその漫画的手法で、「扇風機の送風の強力さで、自動車すら横転してしまったヨ」という一連のストーリーを容易に表現、多くの人の記憶に刻んだのが素晴らしい。目の前で見た人は携帯電話などで状況を撮影し、口コミをするだろうし、本人自身にも「自動車をひっくり返した扇風機だ(笑)」とばかりに、当扇風機が思い出に残るに違いない。

道交法や配するスペースを考えると、日本では難しい切り口。ただし、考え方は十分に応用が効くものであり、似たような発想の宣伝方法は可能だろう。

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