【更新】「COURRiER Japon」と「PRESIDENT」が大きく伸びる…ビジネス・マネー系雑誌部数動向(2011年4月-6月)

2011/08/10 12:00

【社団法人日本雑誌協会】は2011年8月3日、2011年4月から6月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、各紙が発表している「公称」部数より正確度が高く、各雑誌の現状を「正確に」把握できるデータといえる。今回は当サイトのメインテーマにもっとも近い「ビジネス・マネー系雑誌」についてデータをグラフ化し、推移を眺めることにする。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

それではまず、2011年の4-6月期とその前期、2011年1-3月期における印刷実績を見てみることにする。

2011年の4-6月期とその前期、2011年1-3月期におけるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績
↑ 2011年の4-6月期とその前期、2011年1-3月期におけるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績

【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2011年4月-6月データ)】の週刊少年ジャンプの「郡を抜く売れ行き」のように、雑誌名通り「プレジデント」が断トツで印刷部数が多い状況に変化はない。今回は季節特性に加え、前回期における震災直後の影響の反動もあり、いくつかの雑誌でプラスの動きを見せている。

続いて各誌の前期・後期の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化する。要は約3か月の間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すもの。よほどの「イベント」が発生するか、あるいはたまたま定期的な印刷部数見直し時期に当たらない限り、3か月間で大きな変化は見られないはず。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2011年4-6月、前期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2011年4-6月、前期比)

今期は「COURRiER Japon」と「PRESIDENT」の大きな伸びが確認できる。「COURRiER Japon」は該当期間発行号3誌のうち2誌までが電力周りの特集で、しかも1誌ではあの池上彰氏を採用しての解説ということもあり、大いに読者ニーズに応える形となったのだろう。一方「PRESIDENT」は震災周りの特集号は見当たらないものの、4月25日発売の『PRESIDENT (プレジデント) 2011年 5/16号』が「『数字と損得』の新常識50」というテーマで多種多様な切り口から「常識と思われていた数字の内容」に関する、掘り下げた話題が解説されており、評価が高い。恐らくはこれが人気を博したものと思われる。他にも4誌ほどがプラス域にあるが、多分に前期の反動の気配が強い(内容や時節的な観点でのプラス要因が見つからない)。

さて一連の定点観測を続けたことでデータ蓄積量も一年分を超え、「前年同期比」のデータを算出することができるようになった。今回も「季節属性」を考慮せずに年ベースでの動向をつかみとれる「前年同期比」のグラフも生成し、掲載する。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2011年4-6月、前年同期比)

前年同期と比べても「COURRiER Japon」は大きくプラスとなり、今期における同誌の構成方針が成功を納めているようにみえる。一方で誤差の範囲を超えたマイナス値を示している「赤」の雑誌は6誌。前期4誌から大きく増えている。特に-10%超の雑誌が2誌もあるあたり、状況の深刻さを認識せざるを得ない。



2008年秋のいわゆる「リーマンショック」で多くの人が経済情報に注目した時期が直近における天井となる形で、それ以降は金融・経済系のウェブサイトへの(確証度・知名度・権威度の高い新聞社・法人系サイトを中心にした)アクセスの増加はゆるやかなものとなり、あるいは減少に転じている。しかしパソコン、そして携帯電話やスマートフォンなど各種モバイル端末からアクセスできるインターネットメディアへの、紙媒体からの読者移行の流れは加速を続けている。

特に日々、どころか時間・分単位で情勢が変化する経済系ジャンルにおいては、記事の作成と読者への展開の間に時間差が生じる雑誌の不利さは他のジャンル(漫画や趣味系の雑誌)の比では無い。昨今においては、即時対応ができる今ジャンルのインターネット上での情報展開は、ますますその重要度を増しつつある。

頑なに古い体制ばかりのみを固持することなく、現状を正しく認識し、「紙媒体・雑誌ならではの内容、雑誌にしかできない情報提供・読者へのサービスとは、そしてその仕組みとは何だろうか」という基本原理に立ち返り、同時に「新しいメディアと相乗効果を生み出せる仕組み、アイディアは無いだろうか」といった模索をすること。さらにそれらの答えを見つけ出して躊躇することなく実践し、読者に受け入れられるように自らの姿かたちを変えていくこと。ビジネス・金融・マネー誌にはその「進化のための努力」が求められている。例えば今回、セールスを大きくかさ上げした「COURRiER Japon」の手法は、一つのヒントになるはずだ。

環境の変化に対応・進化できない生物が種としてどのような結末を迎えるかは、これまでの歴史が十分すぎるほどに語っている。そしてそれらの動きにもっとも敏感な、彼ら自身こそが一番よく知っているはずだ。

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