4マスマイナス、ネットはプラスの構図が継続・全体ではマイナス3.6%(経産省広告売上推移:2011年8月発表分)

2011/08/09 06:36

経済産業省は2011年8月8日、特定サービス産業動態統計調査において、2011年6月分の速報データを発表した。それによると、2011年6月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でマイナス3.6%と減少を見せていることが明らかになった。主要項目別では「雑誌」がマイナス19.8%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元の詳細などは記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2011年6月分データ(公開は2011年7月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年5-2011年6月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年5-6月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしたが、東日本大地震・震災による影響が各部門で色濃く出た5月分発表時点から転じ、少しずつではあるが回復の兆しが見える形となった。しかし減退率が縮小してはいるものの、抽出した項目では「インターネット広告」以外は前年同月比マイナスであることに変わりなく、特に雑誌の大きな下ぶれが目に留まる。同一期間を対象にした二大広告代理店のデータ【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2011年6月分)】と似たような動きを見せているのも確認できる。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年6月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年6月、億円)

3か月前の記事で”「テレビ」に続き「インターネット広告」が広告費第二位となり、「新聞を」追い抜く形となった”としたが、今回も先月に続き新聞が第二位の座を維持している。しかしすでにほぼ横並びの域にあり、両者の立ち位置が容易に変わりうる状態であることに違いは無い。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年6月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年6月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持。この数か月は再び大きな伸びへ」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小、一部はプラスに」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。そして繰り返しになるが、今般東日本大地震による影響で今年3月分から、グラフは大きなうねりを見せ始めている。特に回復(「前年同月比のワナ」もあるが)の流れにあった「売上高合計」の太い赤線が、再びマイナス圏に移行してしまったのが目に留まる。今回発表分ではかなりの復調の動きが確認できるが、いまだにマイナス圏には違いない。

元々紙媒体の電子媒体への一部移行と住み分けの適正化(紙媒体のすべてが電子媒体に移行するわけではない)、電波媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の適正化は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行していた。ただし日本の場合は諸外国と事情がやや異なり、「既得権益の打破」を事あるごとに語る報道メディアそのものが、既得権益を頑なに守る傾向が強く、「立ち位置の適正化」そのものは遅延している。

一方東日本大地震とそれに伴う各種震災・人災は、広告出稿側のお財布事情の変化、地震報道などで見せた各媒体の「真の価値」に対する意識の移り変わり(視聴者・広告主から見た)をもたらし、広告業界においても一部軌道修正がされた上で、変化の「時計の針」をかなり先に進めている。特にインターネット広告と、他の広告(4マス)とのかい離が大きくなっているのが気になるところ(「インターネット広告は金額が小さいので、多少の額でも変化率が大きく出る」という解説はもはや通用しない)。

今後は電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡に「これまで以上に」傾注し、メディアと広告の状況変化の「香り」を感じ取る必要が求められよう。

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