電子書籍サービスで配信される雑誌、現在利用者は2.8%・今後利用希望は約1/4

2011/08/04 06:56

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キンドルマイボイスコムは2011年7月27日、雑誌に関するアンケート調査結果を発表した。それによると調査母体においては、パソコンやモバイル端末などのデジタルツールで閲覧できる「電子雑誌」(電子書籍サービスで提供される雑誌)を利用している人は2.8%に留まっていることが分かった。また、現在利用していないものの、今後の利用意向を示している人はおおよそ1/4に達している(【発表リリース】)。


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今調査は2011年7月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万2124人。男女比は49対51で、年齢階層比は10代1%・20代10%・30代27%・40代32%・50歳以上29%。

可処分所得の減少や雑誌の質の変化、携帯電話・スマートフォンや携帯ゲーム機の普及など移動時の時間つぶしに適したツールの多様化で、雑誌のニーズは減少している(【出版物の種類別売上の変化】)。今調査母体でも雑誌を実際に購入している人の割合は半分を切り、過半数は「一か月に一冊も雑誌を買っていない」と回答している。

↑ 1か月あたりの雑誌購入冊数
↑ 1か月あたりの雑誌購入冊数(再録)

↑ 1か月あたりの雑誌購入冊数(概算平均値)
↑ 1か月あたりの雑誌購入冊数(概算平均値)(再録)

それでは紙媒体による雑誌のライバルとして普及しつつある、デジタル媒体をツールとした「雑誌」閲覧の傾向はどのような状態にあるのだろうか。今般の東日本大地震・震災により、【週刊少年ジャンプ 3月14日発売号の漫画分をネットで特別無料配信】の話に代表されるように、配送ルートの混乱や印刷素材の供給不足、被災地の状況を鑑み、しばらくの間は多種多様な方法で雑誌がデジタルメディア経由で提供された。恐らくは多分に実証実験も兼ねていたと思われるが、現時点ではほぼすべて通常スタイルに戻っている。

一方で、アマゾンジャパンをはじめとしたネット流通サイトや、個々の出版社ではいわゆる「デジタル立ち読み」のように一部をネット上からお試しで閲覧できるようにしたり、冊子のバックナンバー部分を有料会員に公開するなど、雑誌(社)側は色々なアプローチで模索を続けている。

今件項目ではそれらのうち、包括して閲覧できる電子雑誌(有料無料を問わず、電子雑誌配信サービス、電子書籍サービスを利用した雑誌の閲覧)の利用状況を尋ねている。

↑ PCや携帯電話、スマートフォンなどで読める「電子雑誌」「電子雑誌配信サービス」を利用しているか・今後利用したいと思うか
↑ PCや携帯電話、スマートフォンなどで読める「電子雑誌」「電子雑誌配信サービス」を利用しているか・今後利用したいと思うか

今調査はインターネット経由のもののため、社会全体と比べれば多少なりともデジタル系の利用性向が高まる可能性があるが、それでも利用中との回答は2.8%・約36人に1人の割合でしか無い。一方「今は使っていないが今後使いたい」とする意見は25.3%に達し、それなりに将来性のある状況なのが確認できる。もっともそれでも7割は(現状では)使う気にならないと回答しているのも事実として認める必要がある。

元資料では今項目の各選択肢の回答者の具体的意見が寄せられているが、そのうち「今後利用したい」「利用したいと思わない」人の意見を絡めると、

●今後利用したい
・一読するだけの雑誌なら電子雑誌でも良い
・読みたいものがあれば。収録数が増えれば
・機動力が高く、便利そう
・無料か、定額制ならば

●利用したいと思わない
・目が疲れる。本の実感が無い。紙モノは調べる時に便利。
・電池が減りやすい。
・切り抜きが出来ない。
・わざわざデジタル化で読みたい内容のものが収録されていない。
・通信料がかかる。
・雑誌くらいはアナログで良い。

といった具合になる。大体現時点での電子書籍の利点・問題点を網羅しているように見える。「物理的に存在する紙モノが良い」という意見はともかく、充電の問題や目の疲れ、そして何よりも「魅力的なコンテンツ」の絶対的不足が目立つ。

欧米で浸透普及が進んでいる【日本語フォントに正式…対応米アマゾンで電子書籍リーダー・キンドルの新型登場。139ドルの廉価版も】で紹介したアマゾンのキンドルが早期に日本でも展開されれば、そして現状のように各種規格がバラバラに勢力を拡大しようと画策し、一般の読者からは「どれを使えば良いのか分からないから、どれも使わない」「ばらばらだから特定規格の収録雑誌が増えない」とそっぽを向かれるような状態にならなければ、あるいは今般とは違った「電子雑誌(書籍)」の普及状況が見られたのかもしれない。


■関連記事:
【電子書籍の専用端末、いくらだったら買う?】


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