震災後の節電継続7割、メインは「お金を使わない節電」

2011/07/31 12:01

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節電ノルド社会環境研究所は2011年7月21日、東日本大地震発生後4か月ほどが経過した状況下における、生活者の意識・行動変化に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、調査時点でも節電を開始時と同一レベルで実行中の人は7割に達していた。具体的には「未使用の部屋の消灯」「扇風機の利用」「室内の風通しを良くする」など、日常生活での「生活の知恵」的な心がけによる、金銭的負担の無い・軽い行為が上位を占めている。一方で今後実行したい項目では「照明のLED化」が最上位にきており、常用設備の買い替えによる「初期投資はかかるが意識しなくても可能な節電対策」が上位を占めているのが分かる(【発表リリース、PDF】)。


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今調査は2011年7月1日から5日にかけて全国の20-60代の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比・年齢階層比(10歳区切り)で均等割り当て。

今調査別項目の結果(【震災後に減った支出項目、トップは外食費…ではなくて】)からもわかるように、東日本大地震・震災後に家計内で出費が減ったトップ項目は「電気代」となっている。電力需給問題もあわせ、多くの人が節電を実行しているのが分かる。

↑ 東日本大地震前より支出が減ったもの(=減らしたもの)(複数回答)
↑ 東日本大地震前より支出が減ったもの(=減らしたもの)(複数回答)(再録)

実際、震災後にはじめた節電を、ほぼ同一基準のまま続けている人は7割に達している。

↑ 震災後の家庭での節電状況
↑ 震災後の家庭での節電状況

当初東北・関東地区に限定されていた電力需給問題は、政策の(半ば作為的な)混迷により、ほぼ全国に広まることとなった。今件は調査地域を限定していないため、全国から回答者が集まっていることになる。4月頃同様の調査をしたならば、(当時は需給問題を気にしなくても済んだ地域からの回答も多かったことが予想され、結果として)「実行せず」の回答率はこの数倍あったに違いない。

それでは具体的にどのような節電を実行しているのか。最上位は「使っていない部屋の消灯をこまめに行う」でほぼ全員。「(エアコンの代わりに)扇風機を利用」が3/4近くで第二位となっている。

↑ 実行節電対策/今後行いたい節電対策(複数回答)
↑ 実行節電対策/今後行いたい節電対策(複数回答)

冒頭でも触れているが、震災以前から「節約=節電」対策として語られていたことの再確認的な行動、ちょっとした心がけによる節電行為が上位を占めているのが分かる(例えば【「クーラー28度」の根拠はどこに?】にもあるように、エアコンの冷房温度設定については数年前から節電対策や健康管理の面で色々と論議されている)。まずは自分の身の回り、日常生活に注意を払い(、お金は払わずに)、ライフスタイルを変えることで、節電を果たそうというわけだ

一方、「これから実行したい」の項目には、「照明をLED化」「消費電力の低い家電に買い替え」など、「初期投資が大きく、気軽に出来ない」「一度果たしてしまえば後は勝手に節電」の類が上位についている。特に「照明をLED化」は過半数の人が答えており、「LED化したいが(察するに予算繰り・適切な商品が見つからないので)未だ果たせていない」という、中長期的な節電に期待できる層が相当数いることが分かる。

「手間はかかるがお金はかからない」節電が優先され、「お金はかかるが(一度果たせば)手間はかからない」節電が後回しにされる。手順としては本来なら「一度やれば後は放置→事ある毎に実行」となるべきだが、実際問題として「事ある毎に実行→一度やれば後は放置(未達)」な現状というわけだ。

元々中長期的な節電は求められており、それが震災による電力需給問題の発生で加速化したわけだが、「お金はかかる」というハードルを低くする手法の一つ「エコポイント制度」の効用が、改めて認識される結果ともいえよう。


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