従業員の通勤や安否確認手法、いざという時の行動計画…震災後、企業が要見直しと認めた問題点とは

2011/08/01 06:28

計画NTTデータ経営研究所は2011年7月19日、東日本大震災を受けた企業の事業継続に関する意識調査結果を発表した。それによると調査母体の企業において、今般震災の発生後に明らかとなった問題点、見直しが必要とされる項目で、もっとも多くの企業が同意を示したのは「出勤・帰宅困難時の対策強化」だった。次いで「従業員・職員等の安否確認方法・手順の見直し」「従業員・職員等の安否確認以外の緊急時の手順・行動計画の見直し、教育・訓練の徹底」が上位に連なっている。まずは「人材」周りの対策の再確認と改善が、多くの企業の課題として持ち上がっているようだ(【発表リリース】)。

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今調査は2011年6月10日から14日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1020人。対象地域は関東が52.7%・近畿18.8%・中部11.8%など。所属する企業規模は従業員99人以下が33.8%・100-499人22.8%・500-999人7.1%・1000-4999人16.5%・5000人以上19.8%。回答者の役職は経営者・役員クラス16.8%・事業部長や部長クラス29.2%・課長クラス54.0%(今調査では回答者が属する企業に関する回答となる)。

2011年3月11日に発生した東日本大地震及びそれに連なる各種震災・人災は、未だに多方面へ多くの傷跡を残し続けている。本震のマグニチュード9.0という規模は日本国内での観測史上初の大きさであり、通常の各種天災に対する備えの範囲を超えて被害を受けてしまったところも少なくない。

今調査母体では、多くの企業が電力をはじめとするエネルギー系インフラのトラブルに対して「想定外の影響だった」と答えている。

↑ 想定外だった震災後における状況
↑ 想定外だった震災後における状況(再録)

しかし「想定外でした」と頭を下げれば、それですべての問題が解決して翌日から通常通りの業務が再開できるわけではない。影響を受けた部分の修復を行い原状復帰を模索しつつ、「新たな想定」を設定し、「備え」を再構築し、今後のリスクを下げる必要がある(例えば非常食の準備を1日分から1週間分に増やす)。また、同等のリスクに対する備えでも、「実際に発生したらうまく作動しなかった」などの問題点が浮かび上がり、それへの対処もしなければならない(例:予備電源が液漏れをして使い物にならなくなっていたので、定期点検を1年おきから1か月おきに短縮する)。

それでは震災後に、回答者の企業で発見された課題、見直し事項にはどのようなものがあるのだろうか。複数回答で聞いた結果が次のグラフ。

↑ 震災発生後に、自社において発見された課題・見直し事項
↑ 震災発生後に、自社において発見された課題・見直し事項

どのような企業でも、震災のような大規模災害を起因とするもので業務停止を余儀なくされても、可能な限り業務を早急に再開し、事業を継続し、サービスや製品を提供し続けることが最重要課題となる。その企業が単独で他の企業と何らかかわりがないものなら話は別だが、そうでない限り他の企業の運用にも支障が生じ、しいては消費者・顧客にも影響を及ぼし得る(震災後のさまざまな品不足が記憶に新しい人も多いはず)。

また、事業が止まる状況は、売上・利益が発生しない状態が継続することをも意味する。それは「息を止めたまま走り続ける」ようなもの。よほどの余力が無い限り、無呼吸状態の継続は「企業の死」を意味する。企業ではリスクが発生した際へのさまざまな備えとして、リスクマネジメント的な事前対策、さらにはBCP(business continuity plan、事業継続計画)のような「災害などで限定された経営資源の中でも、最低限の事業活動を継続維持し、あるいは早急に再開できるように、あらかじめ創られた行動計画」が用意され、求められている。

人材見直しが必要とされた事項を見ると、上位には物理的な被害への対策よりも、「人材の影響をいかに少なくするか」という要件が占めているのが分かる。逆にいえば「今般震災では人材周りの対応が上手くいかなかった」「事業継続計画、事前の対策では、従業員などのサポート面が不十分だった」ことがうかがえる。

確かに上に挙げた事例「非常食」「予備電源」などの物理的対策は想定しやすく、かつ準備が形として残るので、目標達成も確認しやすい。その分ソフト的な面、人材まわりの対策は「何とかなるだろう」的なところがあるのは否定できない。

今後は「備え」において、これまで以上にソフト面、特に人材の影響をできるだけ最小限に留めるかという点に、スポットライトが当てられるに違いない。


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