「他発電への移行を前提として減らす」5割、「高リスクだけ停止し残りを利用」1/4…今後の原発への対応意識

2011/07/29 12:00

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意見のやりとりNTTレゾナントは2011年7月27日、gooリサーチにおいて節電に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、今後原子力発電をどのように利用すべきかという問いに対し、全体では「他の発電への移行を前提とし、減らしていく」という回答が50.2%と過半数を占めたことが分かった。「リスクが高いとされるものだけを停止し、(残りを)利用する」が26.6%と続いている(【発表リリース】)。


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今調査は2011年7月4日から7日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1080人。男女比は50.2対49.8、年齢階層比は10代・19.5%、20代・20.3%、30代・19.9%、40代・20.2%、50代以上・20.1%。

大規模なエネルギー戦略の転換が叫ばれる中、今後原子力発電をどのように利用すべきかと尋ねたところ、全体では「他の発電への移行を前提とし、減らしていく」という回答が50.2%と過半数を占めた。「すべて停止」「高リスクのもののみ停止」を合わせ、以前より利用率を低めるという考えは8割を超している。

↑ 今後原子力発電をどのように利用すべきか
↑ 今後原子力発電をどのように利用すべきか

全般的には男性より女性、若年層より中堅層以降の方が否定的な意見が強い。これは先の【震災後の節電意識の高まり8割近く、中堅女性層は特に高い傾向】の節電意識の傾向と類似しており、両者が同一視されていることをも意味する。

選択肢項目が示している内容や、国のエネルギー政策事情の違いはあるものの、大義的には以前【原発大国フランスの雑誌調査で「原発を廃止の方向に」意見77%に】で紹介した、フランスの雑誌社が行った同国の原発政策と大きな違いは無い。要は急進派は少数で、緩慢・逓減政策を求める声が多数を占める次第。

↑ 原子力発電政策に関してフランスはどうすべきか
↑ 原子力発電政策に関してフランスはどうすべきか(再録)

今調査別項目で「それでは今後の電力やエネルギーを考える上で、期待する発電の仕組みは何か」と聞いているが、そこでは太陽光・太陽熱・風力発電が上位を占めている(【今後の電力やエネルギーで期待するもの、太陽光・太陽熱・風力】)。とはいえ、現状の技術では既存の大型出力方式の発電方法に代替しえるだけの効率は得ておらず、さらに【「太陽光発電全面展開・国が買い取り・IT技術があれば大丈夫」を粉砕する資料が2010年1月の時点で存在していた件について】でも触れているように、これらのエネルギー特有の「不安定さ」「ばらつき」を抑える・安定した大規模インフラとして利用するためには、同等の既存エネルギー(水力・火力など)が必要となる。

一部報道などではメリットのみが強調されているが、同時に伝えられるべき経済生産性や効率、マイナス面が軽視、あるいは無視される感が強い。正しい知識と冷静な判断のもと、将来を有望視できる技術は大切に育て上げ、大きな実を実らせたいものだ。


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