製造工程の流れ遅滞が響く・前年同月比でマイナス2.8%(2011年6月分大口電力動向)

2011/07/17 12:10

電気事業連合会は2011年7月15日、2011年6月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年6月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で642億kWhとなり、前年同月比でマイナス5.1%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス2.8%を記録し、4か月連続して前年同月の実績を下回ることになった。いまだ低迷感はぬぐえない(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめたページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説している。そちらで確認をしてほしい。

2011年6月においては大口全体で前年同月比マイナス2.8%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2011年5月-6月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2011年5月-6月)

今月は前月と打って変わり、多くの項目で前年同月比でプラスを見せている。マイナスのままの項目もあるが、少なくとも絶対値は減っており、状況は「先月と比べれば」改善しているように見える。ただ、相変わらずマイナス値が多いのは、東日本大地震とそれに続く余震、各種震災に伴い、東日本地域の工場が被災したこと、さらには「節電による操業ストップ、稼働率低下」「原発事故絡みで操業が出来ない」「部品不足で工場の稼働率低下」など、二次的な被災によるもの。【電気とたばこ、景気のリスクファクター】でも触れているが、流れ作業的に生産される工程の一部で部品の供給が滞ることで、全体の生産ラインが止まる、あるいは遅延する状況が随所で継続中であり、これが目に見えにくい形でのマイナス要因として工業全体をむしばんでいる。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の観点においては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きがほぼすべて失われ、2011年3月から大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震を起因とするもの)。下げ幅こそ数年前のリーマンショック時のそれには及ばないが、1年前のこの時期が回復傾向にあったことを考えると、「それ(1年前)と比較して」の値が算出されるので(つまりはプラスと比較される)、今後しばらくはマイナス値を継続することが想像できる。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場が復興するまで、物理的な電気の消費元が減ることになるのに加え、上記でも触れているが、各種部品不足に伴う工場の稼働率の低下、夏に向けた大口契約者に対する節電通達を実行するための各種自主規制による、消費電力減退など、数字の低迷は否めない。

さらに【大口需要家への電力制限の緩和や除外対象など、詳細発表】でも解説しているように、7月1日以降東京電力管轄では9月22日・東北電力管轄では9月9日まで「電力使用制限令」により、法的拘束力のある節電命令が下されている。その上、混乱極まった国の施策に伴う原発周りの状況で、東京・東北電力管轄以外でも夏期の電力不足が深刻化しており、7月以降の大口電力動向が読みにくくなっている。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業絡みでの動きを確認できる、大口電力の動向は注意深く見守りたいところだ。

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