【更新】無料で楽しむファン、ファンではないが支出する人…エンタメとお金との関係

2011/07/16 06:32

お金とグラフ博報堂DYメディアパートナーズなどは2011年7月12日、エンタテインメントやスポーツなど、主要9ジャンルのコンテンツに対する生活者の消費行動実態を把握する「コンテンツファン消費行動調査」の概要を発表した。そこには単純なファン層・利用層の数などの他に、各コンテンツへ対価を支払ったか、あるいは無料で楽しんでいるかなど、お金周りとしての「市場」を推し量る上で貴重な試算データが盛り込まれている。今回はこれの一部についてグラフ化を試みることにした([発表リリース、PDF])。

スポンサードリンク


今調査は2011年1月29日から30日にかけて全国の15-69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は4000サンプル。全国7エリアを人口構成比及び性・年代で割り付けしてあるため、地域・性・年代による偏りは最小限に留まっていると考えて良い。

また、コンテンツファンの行動・レポート内用語として

「興味」……そのジャンルに対して興味・関心がある
「利用」……過去一年に、鑑賞・閲読・観戦・購入などの商品やサービスを利用したことがある(無料での利用含む)
「ファン」……特定の作品に対してファンである(作品名を対象者が自由回答で記入)(世間一般的な「ファン」という言葉の認識に該当していると自認している)
「支出」……過去一年に、そのジャンルの商品やサービスに実際にお金を使ったことがある

と定義している。例えば特定コンテンツに対して「ファン」ではあるが「支出」していない、逆に「ファン」では無いが「支出」している場合もありうる。

以前【プロ野球ファン層は1700万人? 主要エンタメ・スポーツのファン数試算をグラフ化してみる】で示したように、単純な利用層なら「映画」が、ファンを自認する人の数なら「音楽」がもっとも多いという結果が出ている。

↑ 利用層・ファン層(万人)
↑ 利用層・ファン層(万人)(再録)

しかし、例えば「阪神タイガースのファンだヨ」と自認する人でも、実際に球場まで試合を見に行ったり、選手のブロマイドを購入したり、ファンクラブに入る人はそれほど多くない。プロ野球中継を観たり、インターネットや新聞でその活躍に心躍らせる人がほとんどで、考え直すと「ファンだが、プロ野球に対して支出をしている人」がどれほどいるのか、思案のしどころとなる。

その疑問に答えてくれるのが次のグラフ。

↑ ファンのうち無料で楽しむ層(率)
↑ ファンのうち無料で楽しむ層(率)

「ゲーム」や「音楽」「映画」「漫画・小説」などは軒並み無料層率が低いが、これらのコンテンツが原則対価支払いで楽しむことを考えれば、納得は行く。最近はゲームも【スマートフォンでゲームの時間が増えた人は9割、理由は「色んなゲームが無料で遊べる」】などにあるように、無料のものだけを楽しむ向きが出ているが、それでも全体的には何らかの対価を支払うのがほとんど。

一方で、「ドラマ・バラエティ」「プロ野球」「Jリーグ」、さらにはやや値は下がるが「アニメ・特撮」「タレント・人物」などは無料で楽しむファンの率が高い。これらの項目に共通しているのは、メインとしてテレビ視聴で堪能する(できる)という点にある。

これをもう少し深く掘り下げたのが次のグラフ。該当ジャンルのファンのうち、お金を使う層・無料で楽しむ層の人数を積み重ね式のグラフにしたもの。

↑ 「ファン」と、該当ジャンルへの支出との関係(万人)
↑ 「ファン」と、該当ジャンルへの支出との関係(万人)

あくまでもこれは「人数」の関係であり、金額と完全に連動しているわけではない。資料にもあるように、ジャンルに対する平均支出額は大きく異なるからだ(例えば美術展・博覧会は年間1万1000円程度だが、タレント・人物への平均支出額は年4万円を超えている)。それでも各ジャンルのファンと金銭上の有効市場との関係を推し量るのには十分なものといえる。

他方、前述したように、ファンを自認していないものの、そのジャンルに支出する人もいる。例えば「漫画・小説」のファンではないが、特定アニメの原作本ということで購入したり、「ゲーム」のファンではないものの好きな漫画を題材にした作品だから購入する、「映画」には興味はあまりないが、熱中したドラマのアナザーストーリー的なものが劇場公開されるので足を運ぶ、という具合だ。

そこで、個々のジャンルへの支出層を「ファン」かそうでないのかで区分したのが次のグラフ。人数の重ね挙げと、支出層全体に対する比率の双方を試算してみた(※当方で再集計・再計算のため、元資料とは小数点以下で差異が生じている項目があります)。

↑ 該当ジャンルへの支出層と額、ファンか否かの関係(万人)
↑ 該当ジャンルへの支出層と額、ファンか否かの関係(万人)

↑ 該当ジャンルへの支出層と額、ファンか否かの関係(支出人数比)
↑ 該当ジャンルへの支出層と額、ファンか否かの関係(支出人数比)

元資料では複数ジャンルに渡って支出、言い換えれば消費される傾向を「またがり消費」と呼んでいる。逆に考えれば「ファン以外でお金を使う層」が多いジャンルは、他のジャンルとの連動・相乗効果が得られやすい(あるいは現状でそのような状況)傾向にあるといえる。例えば「映画」「Jリーグ」はその傾向がとりわけ強く、「漫画・小説」「ゲーム」なども2割を超えている。

具体例として資料では一部ジャンルの支出項目の一覧が挙げられているが、「アニメ・特撮」の場合ならDVDなどの購入以外にテレビの視聴、イベントでのキャラクタグッズの購入、映画視聴、関連書籍や楽曲の購入、コンサートへの参加、関連する場所や施設への訪問(いわゆる「聖地訪問」というものだ)、動画配信サービス、ファンクラブの利用、携帯電話での視聴など、多種多様に渡る。

やや俗っぽい表現だが「マルチメディア展開」という考え方もあわせ、いかにコンテンツを育て市場を活性化していくか。その考察の上で色々と想像の糧となりそうなデータではある。


■関連記事:
【プロ野球ファン層は1700万人? 主要エンタメ・スポーツのファン数試算をグラフ化してみる】
【創造力と創作物と「バックボーン」と】
【販売ビデオを支えるコア層・ビデオソフトの販売実態をグラフ化してみる】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2018 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー