震災の影響で4マスがほぼ壊滅的な状態が続く二大広告代理店(電通・博報堂売上:2011年6月分)

2011/07/11 19:30

【博報堂DYホールディグス(2433)】は2011年7月11日、同社グループ主要3社の2011年6月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年7月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2011年6月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細、各項目の算出の上での留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】にまとめている。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2011年6月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2011年6月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震の影響が先月分をはじめ、この数か月に渡って現れているが、今月はその状況からは脱したようにも見える。とはいえ、4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)がほぼ壊滅的な状態であることに違いは無い。

また今月は先月から転じて「電通より博報堂の伸び率が良い(あるいは下げ率が低い)」項目が多数存在する状況となり、しかも影響力が大きい4マスでは、電通がより良いのが1項目、博報堂がより良いのが3項目という結果となった。興味深い動きとして注目したい。

両社合わせると前年同月比でプラスなのは全部で8項目。具体的には「その他」以外では「テレビ(博報堂)「インターネットメディア(電通、博報堂)」「クリエーティブ(電通、博報堂)」「マーケティング・プロモーション(電通)」という次第。いわゆる「4マス」が両社あわせてもプラスが1項目のみなのは、事態の異様さを物語っている。

「雑誌」の下げ方が厳しいのは、【日本出版取次協会、出版物の店頭配布の遅延を発表】【ファミ通、薄っ通】などにあるように、震災以降、流通の混乱や紙・インクの不足などで出版そのものが間引きされたり印刷数が少なくなったり、部数は変わらなくとも1冊あたりのページ数が減ったことで広告も減少したのが原因と考えられる。

6月ではその影響もかなり小さくなっているはずではあるが、両社とも1割超え、特に電通では前年同月比で3割近い減が出ているのは、異常事態と評せざるを得ない。これは震災の直接影響を未だに引きずっているのに加え、夏の節電に向けた各出版関係社の対応も影響していると見た方が正当性がある。

また金額の大きさゆえに従来はあまり「比率」では動きの無い「テレビ」が電通で大きく下げを見せている。これは代替CMやCMの自粛の影響を未だに引きずっている可能性がある。

具体的項目では唯一大きなプラスを見せた「インターネットメディア」だが、一年前の記事で確認すると電通プラス58.0%・博報堂プラス16.3%。両社とも金額はまだテレビに及ばないものの、それなりの額に達しているだけに、今般状況下においてこの値からさらに上乗せ出来たのは、大健闘といえる。

しかしこのグラフはあくまでも個々の会社の前年同月比に過ぎない。インターネット分野の額面は他の分野と比べればまだ小さめ、そして個々分野を会社毎に比較した額面上では電通の方が上。例えばインターネット分野なら、電通43.11億円、博報堂は22.29億円(3社合計)という数字である。

電通・博報堂HDの2011年6月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2011年6月における部門別売上高(億円、一部部門)

今回6月分は、東日本大地震の影響を丸ごと一か月受けた3か月目の月となる。震災の直接的な影響を受けた代金の清算は先月がピークだったようで、先月5月分よりは幾分まともな動きを見せている。とはいえ、「4マスがさんさんたる有様」「ネットがかろうじてプラス」という状況に変わりは無く、今回の値が「ぶれ」「誤差」でないことが分かる。中でもテレビ(博報堂のみだが)・雑誌の大きな落ち込みが、今般状況を象徴すると共に、全体の足を引っ張る形となっている。

電力供給不足は最低でも今夏、そして今冬以降も続く可能性が高い。以前懸念した「デジタルサイネージ」についても、【池袋駅のデジタルサイネージ、その後】で報告しているように地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは立ち直りつつあるものの、積極的な節電下における運用のためか、以前と比べていまいち勢いに欠ける感は否めない。ならば電力消費を行わない、従来型野外広告にもう少し注目が集まってもよさそうなものだが、その気配は広告費動向からはさほど見受けられない。やはり心理的な面で、まだまだ自粛ムードが浸透したままになっているのだろうか。

今後は東日本大地震前以上に、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、(無意味な)慣習にとらわれることのない、コストパフォーマンスの高い広告手法が求められることになる。その分知恵を振り絞った、発想に優れた広告が待たれることになるのはいうまでも無い。


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