浜岡原発停止で情勢が一変…東北・東京・中部電力需要推移(2011年6月30日まで)

2011/07/03 12:00

昨今の電力事情を受け、先の記事、東北・東京・中部電力の一日単位の最大電力需要推移をグラフ化し精査した記事(2011年5月12日まで反映版)をスタートとし、最低でも今年度(今冬含む、という意味)までは定期的(現状では月一)に、東北・東京・中部の各電力管轄における、一日単位での最大電力需要推移を確認し、電力需給に関する適切な情報解析を継続している。今回はその2011年6月30日までを反映した版である。

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今記事のデータ取得元および用語の解説は過去の記事で説明を行っていので、そちらで確認のこと。

まずは純粋に3月1日以降、収録最新データの6月30日までの推移を東北・東京・中部で並列表記したものを生成する。

↑ 東北・東京・中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東北・東京・中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

細かいギザギサを刻んでいるのは、曜日特性によるもの(土日は多くの企業が休むため、全体としての電力需要が減る)。東北・東京電力は本震の3月11日の翌日12日に大きく値を落とし、その後はそれ以前と比べて低水準で推移しているのが分かる。

一方中部電力は、東北・東京電力と比べれば本震直後の減少が少ない一方で、全体的に少しずつ減退していった様子が確認できる。これは季節的なものもあるが、製造業中心の中部電力管轄において、それらの電力消費が減っていることも要因として考えられる(【産業の活力が分かる、大口電力使用量をグラフ化してみる(2011年4月分)】でもその片鱗が確認できる)。もっとも6月に入るとその動きも止まり、むしろ増加の動きが見て取れる。そして中部電力が製造業中心云々というのは、後述する「販売電力量、電灯・電力需要実績」や、ゴールデンウィーク時期における平坦さが東北・東京両電力管轄と比べて極端であることでも確認できる。

続いてもう少し分かりやすい形で、それぞれの電力会社別にグラフを再構築する。昨年の同月同日と併記する形で生成したのが次のグラフ。曜日調整はしていないが、大体の状況は把握できる。

↑ 東北電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東北電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

↑ 東京電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東京電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

↑ 中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

”6月以降は誤解を生む可能性があるのでデータの修正そのものはしないものの、「非常に暑かった去年と比較した値」ということを念頭に置いておく必要があろう”とは先月の記事での言い回しだが、6月終盤の気温動向を思い返してもらえばお分かりの通り、数日に渡って非常に暑い日々が続くこととなった。このため曜日修正を施していない今グラフではあるが、6月下旬の区域で東京・中部電力両管轄において、赤と青の線が非常に接する状況となっているのが分かる。

中部電力のグラフは東北・東京電力と比べると、異様なまでに大きな変動(最大電力の絶対値ではなく、変動率という意味)なのがひと目で分かる。これは【中部電力の各種データをグラフ化してみる】でも解説したように、中部電力管轄では他の管轄と比べて工業(製造業)による電力消費の割合が大きく、土日の工場停止時には全体の電力消費の減退率も大きくなるため。

最後に2010年と2011年での電力需要の差異を、比率でグラフ化したものを展開する。電力需要は曜日による属性変化が大きいことは先に触れた通りだが、2010年と2011年では同じ月日だと曜日が一日ずれる計算になるので、それを修正した上でのもの。なお中部電力の値はプラスマイナスゼロを行き来しているので、分かりやすいように赤の点線をゼロ部分に追加した。

↑ 東北電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 東北電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

↑ 東京電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 東京電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

↑ 中部電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 中部電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

現在確認できるのは6月30日までのデータ。グラフ中吹き出しでも示したように、ゴールデンウィーク中の祝祭日前後でやや特異な動きを見せているが、全般的に電力供給不足、そしてそれによる節電が叫ばれている東北・東京両管轄内では本震後マイナス圏を推移している。そして前述しているように、6月下旬における異様な暑さの影響で、東京電力管轄でも大きな上昇が把握できる。他方、東北電力管轄ではマイナス10%強の水準がほぼ保たれている。

中部電力では直近まで電力需給の問題は無かった、むしろ東京電力に対して応援融通(応援送受電)までしていたこともあり、電力推移はプラスマイナスゼロの領域を行き来していた。しかし【中部電力の需給計画を見て】でも触れているが、超法規的要請により浜岡原発が停止。供給予備力が非常に危ういレベルに達したことで、それ以降は節電対策が求められている(東京電力管轄への電力の融通も当然止められた)。

しかし現状ではそれを反映したはっきりとした動きは確認できない。【中部電力、夏季の電力不足を予想し節電協力を公知】にもあるようにイレギュラー的な事象が発生しなければ、ギリギリ需給関係のバランスは保てる状況まで供給力をかさ上げできている。しかし「安定的なインフラの提供」という観点では合格の域には無く、今後さらなる節電対策(「賢い節電」)が必要なのは疑う余地が無い。



一連の記事で取り上げている3電力管轄では、一番東北電力が節電を維持できているように見える。しかしこれも裏返せば「被災地の復興が遅れている」「電力供給の体制復旧が進んでいない」と見ることもできる。【東北電力、管轄内の停電復旧完了・着手不可能な11万3642戸をのぞく】でも示しているように、実は3電力管轄では需給バランスが危ういのは東北電力管轄であり、それゆえの節電状況の維持なのだとすれば、関連各所で汗を流している人達の努力苦労がしのばれるというものだ。

【大口需要家への電力制限の緩和や除外対象など、詳細発表】にもあるように、7月1日以降は東京電力・東北電力の両管轄内で電気事業法第27条に基づく「電力使用制限令」が発動されている。これによる効果が7月分以降、数字となって現れることだろう。一方、それ以外の管轄でも電力会社などによる協力要請の形で節電が叫ばれているが、【関西電力姫路第二発電所(火力)で故障発生、60万kW分の供給力低下】などで解説しているように原発周りの問題がクリアできない限り、東京・東北電力管轄以外でも同等レベルの対応が求められる事態は十分に発生しうる。今後、各地方自治体の動向を注意深く見守る必要があろう。

そして「来年の事を語ると鬼が笑う」ではないが、今夏を無事に乗り越えても、今冬、そして来年以降も、電力需給がひっ迫しうる夏と冬は必ずやってくる。今夏に向けて応急処置的に増設されている電力供給源のうち、少なからずのものは「期間限定」「コストパフォーマンスが非常に悪い」ものであり、常用・中長期の利用は困難(事実上不可能)。応急処置的な展開だけでなく、同時に中長期の戦略にのっとった、そして夢想話や山師的な計画では無く、国全体にとってプラスとなる計画の策定が設実に、しかも早急に求めらているのは言うまでも無い。

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