未来を感じさせる自動車のカレンダー

2011/06/27 07:07

自動車会社のカレンダー業務用の販促品(販売促進用の商材)には鉛筆や手帳など多種多様な文房具、ティッシュペーパーなど、「身近に置かれ・使用される」「安価」などの条件に合致するものが用いられる。この季節では「うちわ」が好例だろう。そして一年中使われるものとしては「カレンダー」がもっともメジャーなものといえる。一方で二つも三つも卓上カレンダーを机に配する、一つの部屋に多数のカレンダーを貼る酔狂な人がいるはずもなく、贈り手としては「他社のものではなく、自社のものを年中置いてもらう価値」をカレンダーに盛り込む必要がある。今回紹介するのは、自社商品を効果的にアピールしつつ、他のものと比べて大きな魅力を秘めさせることに成功した、ぱっと見では極めて不思議な販促品としてのカレンダーである(I Believe in Advertising)。

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↑ 見た目は自動車が映っていない、自動車会社のカレンダー。
↑ 見た目は自動車が映っていない、自動車会社のカレンダー。

これはドイツの自動車メーカー、アウディが2010年用カレンダーとして展開したプロモーション。「シンプルで、しかも画期的で、『新技術のリーディングカンパニー』に相応しい、新技術を感じさせる広告展開をしたい」とのニーズに応える形で創られたもの。通常の自動車メーカーの販促用カレンダーには、ほぼすべてに自社の自動車が大きく描かれている。それは歴代の名車の場合もあれば、今後展開される新車、そしていわゆる「コンセプトカー」のこともある。しかしこのアウディのカレンダーには、一切自動車の類は載っていない。つまり「自動車の無い、自動車会社のカレンダー」である。

カレンダーは毎月毎に多種多様な情景が描かれているものの、自動車の類は載っていない。利用者はiPhone用の専用アプリをダウンロードし、アプリを起動。カメラモードでカレンダーの絵に焦点を合わせると、iPhone上にアウディの新車たちが現れる次第。カレンダーの情景はあくまで情景でしか無く、アプリを介して初めて「主役」が登場する仕組み。

↑ アプリをダウンロードし、カレンダーに合わせると、アプリ内ではアウディの新車達が「カレンダー内の情景に」登場する
↑ アプリをダウンロードし、カレンダーに合わせると、アプリ内ではアウディの新車達が「カレンダー内の情景に」登場する

単に情景にかぶさる形で現れるだけでなく、ヘッドライトを点灯したり、雨の中をひた走るシーンが描かれたり、色々と楽しませてくれる変化が生じる。いわゆるAR(Augmented Reality(拡張現実・強化現実))技術を用いたカレンダーなわけだ。

さらに「ARで表現される自動車はシステム側で任意に変えられる」メリットを活かし、アウディの新発表車種「new Audi A1」の姿形を、どこよりも早く(2010年2月10日)この卓上カレンダー上で「公開」した。


↑ これまで表示されていたノーマルのアウディに火花が飛び散り、新モデルの姿が映し出される
↑ これまで表示されていたノーマルのアウディに火花が飛び散り、新モデルの姿が映し出される

今件カレンダーを2万5000部配布した結果、アプリのダウンロード件数は2万3448回を数え、ほぼすべての人がアプリを落として「ARによるアウディの情景」を楽しんだことが明らかになった。さらに「ARを使った販促カレンダーの提供事例」として多くの人に認知される効果を生み出すことになる。

このような仕組みを用いる場合、iPhoneのようなARを実体感できる端末が、ある程度普及していないと大きな成果が望めないのが難点。しかし新車のプレビューのような使い方も合わせ、「他のカレンダーでは無い、このカレンダーを部屋に常駐させる」価値を生み出す点などを考慮すれば、素晴らしい切り口といえよう。


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