日本の化石エネルギー資源輸入先の推移をグラフ化してみる(エネルギー白書2010版)

2011/06/27 12:00

エネルギー分散【世界のエネルギー供給量の推移をグラフ化してみる】の記事の中で、世界全体の一次エネルギー(自然界に存在する状態での形を使ってエネルギー源として利用されているもの)の推移を眺めた際に利用した、経済産業省・資源エネルギー庁から公開中の【エネルギー白書2010】を元に、多様なエネルギー関連のデータのうち、今後役に立ちそうな項目・データを再構築し、まとめている。今回は日本の化石エネルギー資源の輸入先の推移を眺めてみることにする。【主要国のエネルギー輸入依存度をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)】【天然ガスが伸びてます…日本の一次エネルギー消費推移をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)】などと合わせ読むと、さらに理解が深まるはずだ。

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参照した具体的な場所は「第1部 エネルギーをめぐる課題と今後の政策 第1章 各国のエネルギー安全保障の定量評価による国際比較 第4節 総合的なエネルギー安全保障の定量評価」。また「化石エネルギー」とは「化石燃料」とほぼ同意で、石油や石炭、天然ガスなどを意味し、昔の動植物が経年と圧力で化石に変化したことにより生成されたもの。化石エネルギーは全般的に利用できる形へのエネルギー変換が容易。その分「埋蔵地域の偏在」「利用時の環境汚染問題」「容易に再生できないため枯渇問題」などの弱点がある。

ちなみに「非化石エネルギー」はそれ以外のエネルギー全般を指し、原子力、水力、地熱、新エネルギーなどを指す。また、容易に再生が可能か否かという観点から、それぞれを「非再生可能エネルギー」「再生可能エネルギー」と呼ぶこともある。

さて、化石エネルギーの「原油」「石炭」「天然ガス」のうち、まずは「原油」について輸入先の推移をグラフ化したのが次の図。

↑ 日本の原油輸入先推移
↑ 日本の原油輸入先推移

意外なのは総量が1990年代半ばをピークに、少しずつ減退を見せていること。これは化石エネルギー総量におけるリスク回避のための使用の分散化、使用先での効率化などが原因。さらに原油輸入先の分散化も望ましいのだが、残念ながらむしろ中東への傾注度が上昇しているのが現状。同地域との友好関係強化という観点ではプラスだが、エネルギー戦略上のリスクを考えた上では「ひとつのカゴに卵をすべて盛る」形になり、望ましいとはいえない(かつての「石油ショック」のような事態に対応しにくくなる)。

原油の輸入先分散が叶わない分、石炭と天然ガスは分散化が積極的に推し進められている。まずは石炭。

↑ 日本の石炭輸入先推移
↑ 日本の石炭輸入先推移

確実に総量が増加しており、先の原油とは状況が異なることが確認できる。また輸入先も北米こそ減少しているが、旧ソ連(現ロシアなど)やアジア諸国(インドネシアなど)、オセアニア(オーストラリアなど)と分散化が進んでいる。昨今ではややオセアニアに傾注しがちな感があり、バランス感覚という点ではアジアや旧ソ連からの輸入を促進したいところ。

↑ 日本の天然ガス輸入先推移
↑ 日本の天然ガス輸入先推移

一番きれいな分散化、つまりリスク分散が進んでいるのが天然ガス。時代経過と共に増量しているのは石炭と同じだが、ほとんどアジア・中東からの輸入に頼っていた時代から、中東・アジア・オセアニア・アフリカへと多地域化を果たしている。ある意味、一番進んだ活用法が展開されている化石燃料が天然ガスともいえよう。



化石エネルギーのデメリット部分を考えると、「非化石エネルギー」が多用できるのならそれに越したことはない。しかし水力は量産が難しく、地熱は日本の地の利を活かせるものの開発はこれから、その他の新エネルギーなどもそれぞれ問題が山積し、すぐに現行の化石エネルギーと代替できるものではない。

しばらくの間は「天然ガス」のような輸入先の分散を推し進めつつ、化石エネルギーに頼らざるを得ないのが現状。巧みな外交戦略と海運の安全性を維持拡大することも、連動する形で求められよう。

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