【更新】天然ガスの生産・貿易動向をグラフ化してみる(エネルギー白書2010版)

2011/06/21 12:00

ガス先日【世界のエネルギー供給量の推移をグラフ化してみる】で世界全体の一次エネルギー(自然界に存在するそのままの形を用いてエネルギー源として使われているもの)の推移を眺めたが、その際に利用した経済産業省・資源エネルギー庁から公開されている【エネルギー白書2010】には、多種多様な視線から収集・集計されたエネルギー関連のデータが多数納められている。そこで以前【図表で語る エネルギーの基礎 2010-2011(PDF)】を元に【世界中からお世話になってます…日本の石油・石炭・LNGの輸入元をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)】などいくつかのグラフ・記事を生成したように、「エネルギー白書2010」でも後々使えそうな項目・データを再構築し、まとめる作業を続けている。今回は天然ガスの生産量や貿易量などを絡めることにする。【天然ガスが伸びてます…日本の一次エネルギー消費推移をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)】などと合わせ読むと、さらに理解が深まるはずだ。

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参照した具体的な場所は【第1部 エネルギーをめぐる課題と今後の政策 第1章 各国のエネルギー安全保障の定量評価による国際比較 第2節 世界のエネルギー供給構造の変遷】。なおLNGとはLiquefied Natural Gas、つまり液化天然ガスの略で、天然ガスを運びやすく・貯蔵しやすくするため、凝縮して液化させたもの。1959年にはじめて生産され、天然ガスの大規模な海上輸送を可能とした画期的な手法であり、天然ガスの利用を促進させるものとなった(LNG化されない天然ガスのほぼすべてはパイプラインなどで運ばれ、貿易の対象となる)。

まずは天然ガスの環境特性。石炭や石油と比べ、天然ガスには環境負荷が小さいという特性がある。これも昨今において、火力発電用燃料として天然ガスが注目されている一因でもある。

↑ 天然ガスの環境特性
↑ 天然ガスの環境特性

もちろん処理施設の性能や各種原材料の質によってこの値は上下することになるが、一般的な値として天然ガスがいかに優秀かは認識できよう(逆にいえば石炭は、この環境負荷への対策が最大の課題で、それをクリアできればさらに有望視されることをも意味する)。

↑ 天然ガスの生産量と貿易量の推移
↑ 天然ガスの生産量と貿易量の推移

今グラフで使われている単位「Bcm」は「10億立方メートル」を意味する。1985年以前は5年単位のデータしかなくグラフの横軸がややいびつだが、それでも1970年からの10年で貿易量は5割増、生産量のうち貿易に回された率は3倍弱にまで増加している。これはこの時代に発生した石油ショック(特に1979年の第二次石油ショック)により、石油一辺倒のエネルギー政策のリスクを実感した各国が、エネルギー源の分散化を図り、そのメインターゲットに天然ガスを選んだからに他ならない。

また、天然ガスをLNG化した上でタンカーで貿易するパターンも増えている。

↑ パイプラインガスとLNG貿易量の推移
↑ パイプラインガスとLNG貿易量の推移

とはいえ、パイプラインを敷設して連続輸送できるのなら、その方が楽に・安く・大量にガスを運ぶことができるのも事実。水を運ぶ際に「タンクに汲んで水源と自宅を何往復もする」のと「水源から自宅までつながっている水道の蛇口をひねる」のとではどちらが楽に、大量に水を運べるのかを考えれば一目瞭然。結果、ガスの量としてはLNGの貿易量以上にパイプライン貿易量が増え、天然ガス貿易全体に占めるLNGの比率は前世紀末期あたりからほぼ横ばいを維持している。



天然ガスは環境負荷が低いことや導入可能性、経済性、さらには採掘可能な地域の分散というエネルギーリスクの上でのメリットから、世界各国で注目を集めている。各種再生エネルギーがまだ大量導入へのハードルが高い現在においては、既存技術で大規模導入が可能な天然ガスは、今後ますます注目を集めるに違いない。

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