さらに減る「テレビ」「新聞」、増える「ネット」…メディアへの接触時間推移(2011年)

2011/06/16 12:00

メディア環境研究所は2011年6月15日、毎年2月に実施している「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・2011」の抜粋編を発表した。それによるとメディア全体の接触時間は、若年層と高齢者(シニア層)が長く、中堅層は短めの傾向にあることが分かった。一方でメディア毎の接触時間は年齢階層毎に大きな違いを見せており、「20代男性はテレビ以上にパソコンでネットに接続している」「男性は10代から30代・女性は20代でテレビよりも、パソコンと携帯電話を合わせたインターネットへの接続時間が長い」「60代女性はテレビへの接触時間が長いことで、女性では全年齢層で最長時間のメディア接触を果たしている」「10代・20代男性は携帯電話からのインターネット接続時間が大きな伸びを見せ、20代男性は全年齢層で最長時間のメディア接触時間を記録している」など、昨今のメディア事情を顕著に表す特異な傾向が多数見られる結果となっている(【発表ページ】)。

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今調査は郵送調査方式で行われ、2011年2月4日に発送、2月17日投函を締め切りとしたもの。東京・大阪・愛知・高知の四地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15-69歳の男女に対し調査票が計2953通送付され、2744通が回収された。デジタル手段ではなく、郵送方式で調査が行われたことから、比較的片寄りの無い、昨今の状況を表したデータといえる。なお、特記無き限りデータは基本的に(今回公開対象となった)東京地区のもの。また、調査実施期日が今年の2月であることから、東日本大地震におけるメディアに対する印象・価値観の違いは反映されていないことに留意しておく必要がある。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の既存4大メディアと、パソコン・携帯電話それぞれからのインターネット接続の計6つに限定したメディアの接触時間の総計は、 2011年においては350.0分/日という結果が出ている。また、性別・年齢階層別に見ると、20代男性がもっとも長く409.1分の値を見せている。次いで長いのは60代女性で397.3分。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(2011年)(一日あたり、分)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(2011年)(一日あたり、分)

全般的には男女とも30-40代の壮年層の時間が比較的短く、若年層・高齢層の時間が長めの傾向が見られる。また、10-20代男女の時間が長いのは、ひとえに携帯電話からのインターネット接続時間が他年齢階層と比べてきわめて長いことによるもの。

これを各メディア毎の時間配分で区分すると、様々な特徴が見えてくる。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2011年)(クリックで拡大表示)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2010年)(クリックで拡大表示)

・男女とも20代までは携帯電話の利用が大きな割合を占めている。
・パソコンの利用時間は男性の方が長い。仕事での活用場面が多いからか。
・テレビ視聴時間は男性が10代、女性は20代がもっとも短く、以降(ほぼ)年齢経過と共に増えていく。また、男性よりも女性の方が長い傾向。
・ラジオは30代以降利用時間が長くなる。ただし男性に比べると女性は利用時間は短め。しかし60代は女性も積極的にラジオを視聴している。
・男女とも歳の経過と共に、全体に占める既存4大メディア(4マス)の割合が増え、新メディア(インターネット)の割合、時間が減る。
・男性40代までの「テレビ離れ」が目立つ。
・女性60代のメディア接触総時間は女性の中ではもっとも長い値を示している。テレビ視聴時間が極めて長いのが原因。
・20代男性ではパソコン経由のネット接続単独で、テレビの視聴時間を上回っている。
・男性は10代-30代まで、女性は20代で「パソコンと携帯電話のネット接続総時間」が「テレビ接続時間」を上回っている。

以前ヤフーバリューインサイトが公開した自主調査の結果【10代は動画投稿サイトが大好き!! 年齢階層別に見た「従来四大メディア」と新情報メディアのせめぎ合い】などで示したように、「若年層はデジタルメディア、高齢層は既存4大メディアへの注力が大きい」という傾向が改めて裏付けられている。

・若年層はパソコンやケータイ経由の
ネットアクセス時間が長い。
→デジタルメディアに慣れ親しむ。
・高齢者はテレビや新聞などの
既存4大メディアの利用時間が長い。
→旧来メディアが浸透。
・男女とも携帯経由の
ネットアクセスが増加傾向
→スマートフォンの浸透が一因か
また今年も去年同様に20代男性において「テレビの視聴時間<<パソコン経由のインターネット使用時間」というデータが確認できた。要は「テレビを見るよりパソコンでネットをする時間が長い」ということだ。10代においては(メディアに触れる機会そのものが家族や学校などに制限される場合もあり)まだテレビの影響力が強いが、若年層のデジタルメディア(とりわけ携帯端末)への傾注が加速している形。特に注目されている20代男性のメディア接触時間を、全体接触時間に占める割合でグラフ化しておこう。

↑ 20代男性におけるメディア接触時間(一日あたり、全体接触時間に占める割合)
↑ 20代男性におけるメディア接触時間(一日あたり、全体接触時間に占める割合)

今年はややイレギュラー的な動きが20代男性で確認でき、テレビの視聴時間が絶対値・比率共に増加している。その分パソコン経由のネット接続時間は減っているが、そのような状況下でも携帯電話経由の時間・比率は増加する一方にある。

テレビといえば視聴時間は男女別では女性が、年齢階層別では高齢層が長い傾向が確認できる。これはそれぞれ別調査で【女性はテレビが大好き!? 若年層のテレビ視聴時間をグラフ化してみる】【新聞記事や特集7割・テレビ番組8割……シニア層の情報源、テレビや新聞が圧倒的】で同様の結果が出ており、今回データも(昨年まで同様に)それを裏付けた形となる。

また、パソコン・携帯電話双方におけるインターネット接続時間を見ると、男性は全年齢層で「パソコン>>携帯電話」なのに対し、女性は10代で「携帯電話>>パソコン」の位置関係が堪忍できる。社会人となる20代までは携帯電話への注力時間が非常に長いが、20代に入ると(社会人になることから)時間は減少、代わりにパソコンの利用時間が大幅に増えている。携帯電話に対する注力度の高さが、同世代における男性との違いの特徴ともいえる。



世代別の「世代間ギャップ(ジェネレーションギャップ)」やジャネーの法則に類する形での、新世代メディアと旧世代メディアの接触時間に関する考察、可能性は昨年(【男性10-30代は「テレビよりインターネット」・年齢差きわだつメディアへの接触時間】)と変わらない。新世代メディアに触れている時間が「全人生時間比」で長い若年層ほど、「慣れ」「信頼し」て当然ということだ。

↑ 新世代メディアの展開を10年と仮定した時の、各年齢における「自分の人生全体における新世代メディアとの接触年数」(概念図)
↑ 新世代メディアの展開を10年と仮定した時の、各年齢における「自分の人生全体における新世代メディアとの接触年数」(概念図)(再録)

今回はそれとは別に、違った面からオマケ的データを出しておく。これは性別・世代別の各メディア毎の接触時間の「2010年から2011年に至る変移」を計算したもの。それなりの調査母体数は揃えてあるはずだが、詳細区分になるとやはりやや母数が不足しているようで、一部にぶれが確認できる。しかし全体的な傾向はつかめられる。

↑ メディア接触時間・性年齢別比較(2010年から2011年への変移、分)
↑ メディア接触時間・性年齢別比較(2010年から2011年への変移、分)

20代男性のテレビ視聴時間の伸びがイレギュラー的な動きであることが改めて分かる。また、全般的な動きとして、

■赤丸部分(減少)
・テレビ視聴時間の減少。特に女性陣に顕著
・新聞視聴時間の減少。高齢者ほど長め

■青丸部分(増加)
・パソコン経由のインターネット接続時間の増加。男性シニア層と女性若年層に顕著
・携帯電話経由のインターネット接続時間の増加。男性全般と女性30代に顕著

■緑丸部分(その他)
・ラジオの視聴時間は男性が減退、女性が増加の傾向

などが確認できる。携帯電話周りの動きはスマートフォン普及によるところが大きいと元資料の解説でも言及されているし、別項目(後日掲載予定)でもその動きが把握できる。一方、4マスのうちテレビと新聞がほぼ全年齢層に渡って減退していること、ラジオがやや特異な動きを見せている点も注目に値する。

冒頭でも触れたが今件データは、東日本大地震発生前に調査が行われたもの。震災報道内容そのものや報道姿勢、有益度の認識など、地震を経て各メディアに対する価値観・信頼度が大きく変化した、あるいは動きに加速がついたのは他の多数調査結果でも明らかにされている。来年の「メディア定点調査」の結果がどのような変移を見せるのか、気になるところではある。

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