熱中症についてまとめてみる…2)各種データのグラフ化

2011/06/13 12:10

グラフ化【「家庭での節電計画を分かりやすく・スマートに」を考えてみる】などでも説明しているように、今般の電力事情に絡みリスクが増大するであろう「熱中症」に関して色々とまとめてみようというお話第二回。今記事では過去の熱中症関連データを、色々な場所から抽出しグラフ化を試みる。傾向を推し量り、今後の検証に役立つ素材となるはずだ。

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職場での熱中症による死亡事例
まずは厚生労働省が昨月発表した【職場での熱中症予防の徹底を!】から。主に職場における熱中症での死亡事故に関連するデータが寄せられている。直近10年間における職場での熱中症による死亡災害件数だが、非常に暑かった2010年の値が著しい。

↑ 職場における熱中症による死亡災害発生件数推移(2001-2010年)(厚生労働省)
↑ 職場における熱中症による死亡災害発生件数推移(2001-2010年)(厚生労働省)

【熱中症でつらつらと】でも触れているが、気温の高低と熱中症が浅からぬ関係にあるのがわかる。

次いで直近2010年における業種別発生状況。去年の気温状態もあり、多種多様な業種で事象が発生している。

↑ 2010年における熱中症での死亡災害の業種別発生状況(厚生労働省)
↑ 2010年における熱中症での死亡災害の業種別発生状況(厚生労働省)

同時に屋外で直射日光に長時間さらされることの多い建設業が最多事例を記録していることや、室内でも密閉された空間で長時間暑い環境にて作業する場面が容易に想定される製造業でも値が多い。この「長時間」というのがクセモノで、次のグラフからもなぜ問題視されるのかが分かる。

↑ 2008-2010年累計における熱中症による死亡災害の時間帯別発生状況(厚生労働省)
↑ 2008-2010年累計における熱中症による死亡災害の時間帯別発生状況(厚生労働省)

始業時間と共に増加を見せ、終業時間に近づくにつれて大きく増加している。これは日中の作業で長時間ツラい環境下におかれ体調を崩しているにも関わらず、無理をした結果、仕事が終わる直前で限界に達してしまったことを意味する。2010年の発生状況の具体例を見ても、「事業場の工場内において、家電製品の解体作業に従事していたが、午後4時過ぎに体調不良を起こし、その後死亡した」「事業場の建屋内において、コンクリート型枠の組立作業に従事していたが、午後4時過ぎに倒れ、その後死亡した」などのように、無理を重ねた結果であることが容易に想像できる事例が多数確認できる。

節電で一番の不安は「室温で熱中症に?」
次いで先日、日経新聞に掲載された【職場の節電、6割が熱中症など健康心配 読者調査 クールビズ 若者は意外に保守的 】から。2011年5月25日から26日にかけて、日経電子版の登録会員を対象に行われたもので、回答者数は315人。意外に回答者が少ないのが難だが、状況を推し量るのには足る。

↑ 節電対策で心配なこと(日経新聞、2011年5月25-26日実施・315人回答)
↑ 節電対策で心配なこと(日経新聞、2011年5月25-26日実施・315人回答)

照明が暗い、仕事が進まない、取引先との連絡調整が難しいなど、いずれも指摘されれば「確かにその通り」的な話が並ぶが、抜きんでて多い値をしめしているのが「室温が高いと熱中症などが心配」。エアコンの調整温度を何度上げる云々という話はそこかしこで語られているし、エアコンそのものを付けないという世帯も少なくない。夏のピークタイムにおける電力需要を考えれば(【「家庭での節電計画を分かりやすく・スマートに」を考えてみる】)その考えはもっとも至極ではある。

↑ 家庭部門のピーク時における電力需要構成(14-15時)
↑ 家庭部門のピーク時における電力需要構成(14-15時)(再録)

とはいえ、それで健康を害してしまったのでは元も子もない。過ぎたるは及ばざるがごとし。どうしてもエアコンの稼働を避けたいのなら、代替案を用いるのを忘れずに。

学校でのお話
次に取り上げるのは、独立行政法人日本スポーツ振興センターで掲載されている、熱中症予防のための啓発資料「熱中症を予防しよう -知って防ごう熱中症-」というコンテンツから、【学校の管理下における熱中症死亡事例の発生傾向】にて収録されていたもの。1975年-2009年における学校管理下での熱中症の死亡事例に関する各種数字が用意されている。

↑ 学校管理下における熱中症死亡事例…場所別・スポーツ種目別発生傾向(1975-2009年)(日本スポーツ振興センター)
↑ 学校管理下における熱中症死亡事例…場所別・スポーツ種目別発生傾向(1975-2009年)(日本スポーツ振興センター)

部活や授業におけるスポーツ中での事例では、圧倒的に野球によるところが多い。これは炎天下で長時間行動を行っているからに他ならない。もちろんそれだけでなく、屋内においても、防具を着用するなど汗を多くかきやすい競技で多発しているのが分かる。

↑ 学校管理下における熱中症死亡事例…学年・性別発生傾向(1975-2009年)(日本スポーツ振興センター)
↑ 学校管理下における熱中症死亡事例…学年・性別発生傾向(1975-2009年)(日本スポーツ振興センター)

圧倒的に男性が多く、学年では中高の低・中学年に多い。資料では特に説明は無いものの「先輩諸氏にスパルタ式な練習を強要された後輩らが、熱中症にかかっているのではないか」という想像ができる。単純に「幼いから体力が無いので云々」なら、中学3年で減少し、高校1年で急増することの説明が出来ないからだ。担当教師による配慮が求められよう。

↑ 学校管理下における熱中症死亡事例…期間別発生傾向(1975-2009年)(日本スポーツ振興センター)
↑ 学校管理下における熱中症死亡事例…期間別発生傾向(1975-2009年)(日本スポーツ振興センター)

期間別では梅雨明け、気温が上昇する時期に多発している。特に盆休み直前期間に多いことを考えると、夏休みの部活動での猛訓練によるところであると考えて間違いない。

熱中症による救急車での搬送者
次は総務省消防庁における【過去の全国における熱中症傷病者救急搬送に関わる報道発表一覧】から。まず過去3年間における夏期(原則7-9月)の、熱中症による救急搬送人員。7月が暑かった2008年、そして全般的に「豪暑」と独自表現を使いたくなるほどの暑さだった2010年に、搬送数が多いのが改めて確認できる。

↑ 熱中症による救急搬送人員(総務省消防庁)
↑ 熱中症による救急搬送人員(総務省消防庁)

あくまでもこれは自分で通報して、あるいは周囲に通報してもらって救急車で搬送された数に過ぎない。それでも2010年8月だけで3万人近い人が熱中症で病院に運ばれている。しかもその多くは高齢者。

↑ 夏期(7-9月)の全国熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2008-2010年)(総務省消防庁)
↑ 夏期(7-9月)の全国熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2008-2010年)(総務省消防庁)

憂うべきことだが、年々高齢者の比率は増加中。元々高齢者人口比率が増加しているのも一因だが、それだけでは2009年から2010年への増加は説明が出来ない。

去年は1000人以上
最後に厚生労働省が毎月発表している「人口動態統計月報」において、イレギュラー的に今年の2月に【発表された(人口動態統計月報(概数)(平成22年9月分))】、直近約3年分の熱中症による夏期の死亡者数。

↑ 夏期(7-9月)の熱中症による死亡者数(2007-2010年、2010年は概算値)(厚生労働省)
↑ 夏期(7-9月)の熱中症による死亡者数(2007-2010年、2010年は概算値)(厚生労働省)

直上の総務省消防庁で、掲載こそしなかったものの、搬送された医療機関での死亡確認事例数と比べると、こちらの方がはるかに多い(例えば総務省消防庁の2010年における搬送先熱中症死亡確認数は167人)。【東京都の事例】にもあるように、一人暮らしの人が熱中症で息を引き取り、身内などによって発見される事例が多数存在するからだ。



具体的な数字が提示されておらずグラフの再構築は断念したが、中長期的な期間で区切ってみても、熱中症の発症・死亡事例数は年々増加の一途をたどっている。エアコンの普及率は上昇してるのに、と不思議がる人もいるかもしれないが、一人暮らし世帯の増加や高齢化の進行、住宅の構造の変化、ヒートアイランド現象の進行をはじめとした生活環境地域における温度上昇など、複数要因によるものと推測される。

今年は特に節電と絡み、熱中症のリスクが高くなることが予想される。水分を十分にとり、適切な休息時間を設け、極力安全を確保してほしいものだ。


■一連の記事:
【熱中症についてまとめてみる…1)定義】
【熱中症についてまとめてみる…2)各種データのグラフ化】
【熱中症についてまとめてみる…3)対策とWBGT】
【熱中症についてまとめてみる…4)パンフレットなど】

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