4マスは壊滅、混乱期に見せる電通の底力(電通・博報堂売上:2011年5月分)

2011/06/10 07:05

【博報堂DYホールディグス(2433)】は2011年6月9日、同社グループ主要3社の2011年5月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年6月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2011年5月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細、各項目の算出の上での留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】にまとめている。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2011年5月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2011年5月分種目別売上高前年同月比

先日電通の値が出た時点で速報として【4マス壊滅...電通2011年5月度単体売上をちょいとグラフ化してみる】で伝えたが、東日本大地震の影響が先月、そして先々月の以上に出ていることが分かる。今月も「博報堂より電通の伸び率が良い(あるいは下げ率が低い)」項目が多数存在する状況となり、しかも影響力が大きい4マスでは、電通がより良いのが3項目、博報堂がより良いのが1項目。混乱期における電通の底力を先月に続き認識させる動きとなった。

両社合わせても前年同月比でプラスなのは全部で3項目。具体的には「インターネットメディア(電通、博報堂)」「クリエーティブ(博報堂)」「その他(電通、博報堂)」のみという次第。特にいわゆる「4マス」が両社ともすべてマイナス、(金額の絶対額が大きな)テレビが2ケタ台のマイナスなのは、事態の異様さを物語っている。

「雑誌」の下げ方が厳しいのは、【日本出版取次協会、出版物の店頭配布の遅延を発表】【ファミ通、薄っ通】などにあるように、流通の混乱や紙・インクの不足などで出版そのものが間引きされたり印刷数が少なくなったり、部数は変わらなくとも1冊あたりのページ数が減ったことで広告も減少したのが原因と考えられる。また、金額の大きさゆえに従来はあまり「比率」では動きの無い「テレビ」が大きく下げを見せたのは、代替CMやCMの自粛によるところが大きいと考えてよい。

唯一目立ったプラスを見せた「インターネットメディア」だが、一年前の記事で確認すると電通プラス56.5%・博報堂プラス7.2%。両社とも金額はまだテレビに及ばないものの、それなりの額に達しているだけに、今般状況下においてこの値からさらに上乗せ出来たのは、大健闘といえる。

しかしこのグラフはあくまでも個々の会社の前年同月比に過ぎない。インターネット分野の額面は他の分野と比べればまだ小さめ、そして個々分野を会社毎に比較した額面上では電通の方が上。例えばインターネット分野なら、電通30.91億円、博報堂は17.49億円(3社合計)という数字である。

電通・博報堂HDの2011年5月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2011年5月における部門別売上高(億円、一部部門)

今回5月分は、東日本大地震の影響を丸ごと一か月受けた2か月目の月となる。代金上の清算が本格的に始まったからか、影響はむしろ先月発表分の4月より大きく現れている。広告業界全体の流れは先日の(計測期間としては一か月遅れになるが)【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2011年6月発表分)】で把握できるが、やはり「4マス壊滅」「ネットがかろうじてプラス」という状況に変わりは無く、今回の値が「ぶれ」「誤差」でないことが分かる。中でもテレビ・雑誌の大きな落ち込みが、今般状況を象徴すると共に、全体の足を引っ張る形となっている。

電力供給不足は最低でも今夏、そして今冬以降も続く可能性が高い。先月懸念した「デジタルサイネージ」についても、【池袋駅のデジタルサイネージ、その後】で報告しているように地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは立ち直りつつあるものの、積極的な節電下における運用のためか、以前と比べていまいち勢いに欠ける感は否めない。

今後は東日本大地震前以上に、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、(無意味な)慣習にとらわれることのない、コストパフォーマンスの高い広告手法が求められることになる。無駄のない効率的な、という観点で見れば広告に限らずすべてのビジネスに共通する事柄であり、ごく当たり前の話でしかないのだが。

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