全体の下げ幅8.6%とキツく、雑誌はさらに下げる(経産省広告売上推移:2011年6月発表分)

2011/06/09 07:09

経済産業省は2011年6月8日、特定サービス産業動態統計調査において、2011年4月分の速報データを発表した。それによると、2011年4月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でマイナス8.6%と減少を見せていることが明らかになった。主要項目別では「雑誌」がマイナス15.3%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元の詳細などは記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2011年4月分データ(公開は2011年6月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年3-2011年4月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年3-4月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしたが、先月3月分で新聞が先行する形となった、東日本大地震・震災による影響が、他分野にも広まった雰囲気の結果となっている。新聞はやや沈静化したものの、雑誌やテレビはマイナス幅を拡大。かろうじてインターネット広告はプラスを維持しているが、上げ幅を縮小している。なによりテレビがマイナス8.5%も下げているのは(金額を考えれば)大きい。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年4月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年4月、億円)

先月の記事で”「テレビ」に続き「インターネット広告」が広告費第二位となり、「新聞を」追い抜く形となった”としたが、今回は再び新聞が第二位の座を取り戻している。これは新聞が下げ幅を大きく縮小したのが主要因。とはいえ、先月の動きを見れば、ちょっとした広告出稿のぶれで、両者の立ち位置が容易に変わりうる状態であることに違いは無い。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年4月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年4月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持。この数か月は再び大きな伸びへ」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小、一部はプラスに」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。しかし繰り返しになるが、今般東日本大地震による影響で先月発表分3月から、グラフは大きなうねりを見せ始めている。特に回復(「前年同月比のワナ」もあるが)の流れにあった「売上高合計」の太い赤線が、再びマイナス圏に移行してしまったのが目に留まる。

元々紙媒体の電子媒体への一部移行と住み分けの適正化(紙媒体のすべてが電子媒体に移行するわけではない)、電波媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の適正化は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行していた(日本の場合は「既得権益の打破」を事あるごとに語る報道メディア自身が、既得権益を頑なに守る傾向が強く、「立ち位置の適正化」そのものは遅延しているが)。しかし東日本大地震とそれに伴う各種震災は、広告出稿側のお財布事情の変化、地震報道などで見せた各媒体の「真の価値」に対する意識の移り変わり(視聴者・広告主から見た)をもたらし、広告業界においても一部軌道修正がされた上で、変化の「時計の針」をかなり先に進めてしまった。

今後は電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、これまで以上に特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡が重要視されよう。


■関連記事:
【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2011年3月分)】

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