砂糖は下落継続だが中期的に見ると…(2011年5月分世界食糧指数動向)

2011/06/10 07:04

国連食糧農業機関(FAO)が公式サイトで発表している【世界食料価格指数(FAO Food Price Index)】が高い水準を維持し続けている。このデータはFAOが世界の食料価格の月ごとの変化を定期的に監視・統計しているもので、昨今の各種商品市場の動向、そこから連動する形で政治情勢を判断する際に、重要な指針となりうる。そこで当サイトでは定期的に(ほぼ毎月のペースで)データの更新・グラフの再構築を行うことにしている。今回はその2011年5月分の反映版となる。

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今記事のデータ取得元および用語の解説は一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で説明を行っているので、そちらで確認してほしい。

まずは、収録されている全データを使った折れ線グラフを生成する。中長期的な食料価格の変移概要がつかめる、資料性の高いものだ。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2011年5月)

砂糖は元々相場変動性の高い食料品のため変動が激しいものの、それ以外は2005年前後までは50-150の領域でほぼ留まっていたことが分かる。それが先の「サブプライムショック」に始まる2007年以降の市場動乱を皮切りに大きなうねりを見せ、全体的に上昇傾向なのが確認できる。特に「サブプライムショック」の急上昇とその後の大きな反動による下落の後に起きた「リーマンショック」(2008年9月)以降は、上昇する一方。

目に留まる点として、2005年前後の砂糖の高値がある。これは干ばつによる砂糖の不作(ブラジルやタイなど)に合わせ、新興国での需要拡大が目覚ましいものになってきたこと(生活水準が向上すると甘いものが欲しくなる)、さらには原油価格の上昇に伴いエタノール利用度が高まり、エタノールの原材料となるサトウキビへの需要が高まったのが原因。当時は「25年来の最高値」と大きな騒ぎとなったが、昨今はそれをはるかに上回る高値をつけていた。ここ数か月は下落の一方だが。

続いて、2007年以降に期間を絞り、直近の金融危機以降の動向が分かりやすいものに生成し直したものがこちら。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2011年5月)

砂糖が2010年初頭から急落しているのが目立つが、これは元々過熱感のあった相場に対し、豊作が伝えられたをきっかけにする反動の結果。しかし価格上昇の原因である需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感が解決するはずも無く、再び上昇をはじめている。

しかし2か月前から再び砂糖や油脂など一部商品で下落が確認できる。砂糖は昨今の割高感に加え、タイでの生産量が予想より多かったこと、油脂は東南アジアでのパーム油の増産、大豆油の豊作によるものと説明されている。5月においては油脂は「大豆油の豊作は値の下落圧力として継続」「パーム油は増産にも関わらず先月からほぼ変わらず」「結果として、油脂指数は需給関係のバランスが取れているので価格は横ばい」と説明されている。一方下落が続く砂糖は先月同様に「タイでの生産量増加による下落」が継続しているが、5月の最終週には強い需要によってその下落傾向も止まったとある。

また、リーマンショック以降は砂糖価格だけでなく他の主要商品価格が一様に値上がりを続けている。特に穀物価格(紫線)が去年夏頃から急上昇を見せているのは注目に値すべき(5月はやや落ちたが)。

昨今の食料価格の上昇ぶりを確認するため、各指標の前年同月比・前月比を併記し、数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年5月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年5月)

食肉や乳製品がおとなしめ、穀物・油脂が勢いよく上げている状況には違いない。砂糖はここ数か月は下落を続けているが、年ベースでは4割強と大きく上げていること、そして穀物は年7割と大きな値上がりが確認できる。リリースでは先月から今月の動きについて「穀物と砂糖の国際価格の下落は、食肉や乳製品の価格上昇を打ち消し、世界食料価格指数のわずかな減少の要因となった」と説明している。

とりわけ穀物の上昇率が7割近いのは問題。原材料費がそのまま食料加工品や世帯の食費に反映されるとは限らないが、食事は欠かせない生活行動である以上、主食となる穀物の価格高騰は、エンゲル係数の高い層には痛手となる。また「食肉」の価格が少しずつ、しかし確実に上昇しているのも気になるところ。



食料価格の上昇は特に新興国における需要そのものの急速な拡大に加え、バイオエタノールの問題、天候不順による不作、さらには商品先物市場への資金流入に伴う相場の過熱感と合わせ、価格が安くなる要素が見つかりにくい状況にある。今月の砂糖のように、市場の一時的な過熱感・豊作とそれの反動で小幅な上下を繰り返すことはあっても、中期的には値を上げ続けることになるだろう。

繰り返しになるが、食事のベースとなる穀物価格の高騰は、社会情勢を不安化させる要因となる。それだけに、十分な留意が求められよう。

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