紙媒体は下げ幅拡大、オンラインはプラスで横ばいだが全体を底上げするには至らず……米新聞社広告費動向(2011年1Q)

2011/06/05 06:46

アメリカの新聞業界が厳しい状況に置かれているのは承知の通りで、その実情を推し量るために部数や広告売上の推移を、アメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」が公開しているデータを基に、定期的に確認している。広告費動向については最新データを基に先日【アメリカの新聞広告の売上推移をグラフ化してみる(2010年分まで)】と、同じく四半期単位での計測を元にした記事を掲載したものの、部数については未だ更新されておらず、【アメリカの新聞発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)】【アメリカにおける日曜版の新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)】が最新のままとなっている。あれこれと待っているうちに、部数の2010年分更新より先に、広告費の2011年第1四半期分のデータ公開が行われていることが分かった。これはこれで注目すべき動きを見せていることもあり、今回はこのデータをグラフ化してみることにする。

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データの取得場所や広告の種類に関する説明はまとめ記事【定期更新記事:米新聞社広告費動向(Q単位)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

21世紀に入ってからは、2009年までは米新聞の広告収入は右肩下がりだったものの、2010年にはさすがにリバウンドの傾向が見られたのは、以前の記事でお伝えした通り。

↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)
↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率、2010年分まで)(再録)

↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)
↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)(2010年分まで)(再録)

「リバウンド」とはいえ、前年比プラスだったのはオンライン(インターネット、以下同)だけで、紙媒体は「マイナス度合いが改善された」に過ぎず、マイナスであることに違いは無い。そして2010年の動きを細かく見ると、「オンライン…復調」「紙…マイナス具合が縮小しただけでマイナスには違いなし」という動きが顕著化しただけなのが判明している。

そして今回取得した直近四半期こと2011年第1四半期のデータがこちら。

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2011年1Q)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2011年1Q)

唯一プラスとなっているのは「オンライン広告」だけ。他は全部前年同期比1割前後の減少。総合計「紙媒体+オンライン合計」がマイナス7.02%に留まっているのは、オンライン広告の奮闘によるところ。ちなみに金額ベースのグラフは次の通りで、伸び率ではオンラインが奮闘しているものの、金額では全体を支えるところまでに成長していないのは(横軸項目は上のグラフと同じにして生成している)、日本の状況とさほど変わらない。

↑ 米新聞の広告収入(四半期区分)(億ドル、2011年1Q)
↑ 米新聞の広告収入(四半期区分)(億ドル、2011年1Q)

前回の記事で「二極化」、具体的には「オンラインは明らかに復調」「紙はこのまま低迷・縮小を続ける気配」とコメントしたが、それがさらに明確なものとして2011年第1四半期の広告費に現れている。去年と比べてアメリカの景気は回復基調にあるが、その状況下で最適化、メディアの構造変化は確実に続いている。

それがより確実に把握できるのが、次の「四半期単位の前年同期比推移」を金融危機が起きる2007年からグラフ化したもの。金融危機以前から紙媒体の低迷とオンラインの堅調ぶりという動きがあり、それが不景気の波にもまれて両者とも低迷。そして上限を抑えられるような形になったものの2009年後期からは戻しを見せるが、紙媒体の戻りは限界を迎えて再び低迷に向かっているのがしっかりと把握できる。

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2007年-)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2007年-)

さらに今件は「新聞」という媒体に限定したものだが、広告全体に範ちゅうを広げると、インターネット広告は伸び率が拡大する一方であることが確認されている。しかし新聞に限ったオンライン広告においては、成長率が10%前後でストップしているのが分かる(2010年第2四半期以降ほぼ横ばい)。オンライン化しても既存の新聞というスタイルでは、成長度合いがストップしてしまったと解釈することもできる(もちろん成長そのものは続いているが)。

新聞業界においては数少ない、残された希望の星といえるオンライン広告までもが頭打ち。これでは縮小化が加速する紙媒体部門を支えきれるはずもない。今後アメリカの新聞業界がどのような形で切り返しを図るのか、それとも状況に流されるまま、収入、そして規模そのものの縮小を続けるのか、今後も注視を続けたいところだ。

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