【更新】震災以降の被災地での雇用情勢をグラフ化してみる

2011/06/05 06:44

雇用先日第一生命経済研究所から発表されたレポート【急増する家計からの義捐金(PDF)】には昨今の東日本大地震絡みで興味深い話が2つほど指摘されていた。一つは義捐金(義援金)に該当する、総務省の「家計調査」における「寄付金」項目の動向、そしてもう一つは厚生労働省が5月から定期的に発表している被災地三県(岩手・宮城・福島)における雇用情勢動向である。今回はそのうち後者、雇用情勢についてグラフを構築し、眺めてみることにする。

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データ取得元は厚生労働省の報道発表資料。2011年5月18日以降一週間おきに、「震災による雇用の状況(速報値)」などの名前で、一週間単位で主被災地である岩手県・宮城県・福島県の雇用情勢を発表している。現時点で公開されているのは三週間分、【5月18日発表】【5月25日発表】【5月31日発表】分である。

まずは被災有効求職者数推移を。これは震災を理由に離職した人(震災被害による整理解雇、事業の停止、喪失など)、あるいは無業者で震災を理由として新たに就職活動をする人の推移。最初の発表時における計測月日5月13日以降、漸増していることが分かる。

↑ 被災有効求職者数(三県内のみ)(震災を理由に離職した人、無業者で震災理由によって新たに就職活動をする人)
↑ 被災有効求職者数(三県内のみ)(震災を理由に離職した人、無業者で震災理由によって新たに就職活動をする人)

増加理由はいくつも考えられる。そして今後も増加していくことも容易に想定される。特に宮城県が多いのが目に留まる。

一方、それぞれの県「内」で被災者を対象とした有効求人数は次の通りで、多くが「被災有効求職者数」と比べてケタ違いに少ないが、やはり漸増している。

↑ 被災者対象有効求人人数(三県内のみ)
↑ 被災者対象有効求人人数(三県内のみ)

これらを基に、「各県内」で「それぞれの」有効求人倍率を算出したのが次のグラフ。

↑ 被災者対象有効求人倍率(三県内のみ)
↑ 被災者対象有効求人倍率(三県内のみ)

福島県がやや状況が良いようにみえるが、それでも0.2に満たない。0.2というのは5人求職者がいて1人しか求人がない状態。他の二県はその半分にも満たない状態にあるのが分かる。

最新の資料を見ても「全国の」「被災者対象有効求人数」は4万1731人であり、一見問題はないようにも見える。しかし[有効求人倍率:17月ぶり悪化 被災者「ミスマッチ」深刻 劣悪条件の募集も(毎日)]で指摘されているように、被災地域外からの求人は、寮や借り上げ住宅を用意するなどの支援策を含めた求人が中心であるものの、内容的に質が低いものが少なくない(元々の地域でも応募が無いようなもの)。さらに「東北地方の被災地では被災者の地元志向が強いと聞いている」という話もある。その上、以前【アトラクターズ・ラボ、被災地域の人口や世帯など住居関係データの分析結果を公開】でも指摘している通り、同地域は高齢者が多く世帯構成人数も多い。条件のマッチが難しく、引っ越しも困難などの事由が考えられる。

グラフそのため今回はあえて、そして元資料にもあるように、三県合算と個々の県それぞれにおける求人・求職数から有効求人倍率を算出した。いかに被災地がインフラ、商工業などの就業環境が大きな被害を受け、命を取り留めた人も引き続き、経済的危機に追いやられているかが理解できよう。

個々の人が職を得て対価を手にし、現地でそのお金を使わない限り、地域経済は回らない。お金は経済において血に他ならないからだ。農業を営む人達も【2.4万ヘクタール・宮城県では11.0%・9割超の町も…農水省、地震による津波の農地推定面積発表】などにあるように大きな被害を受け、さらに原発絡みで身動きが取れない地域も少なくない。速やかに、かつ抜本的な雇用対策が、地域レベルではなく、国レベルで求められている状況と断じることがあらためて理解できるというものだ。

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