【更新】各国エネルギー政策が見えてくる・世界主要国のエネルギー源をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)

2011/06/02 12:10

水力エネルギー昨今の状況を受けて当サイトでも、エネルギー関係の解説記事へのデータ更新リクエストが増えている。今回はその中でも特に多い、【各国のエネルギー政策が見えてくる・世界主要国のエネルギー源をグラフ化してみる(2010年4月)】のデータを、取得元の「図表で語る エネルギーの基礎」で確認し、現時点における最新のものに差し替えることにした。

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取得するデータは[図表で語る エネルギーの基礎 2010-2011]からのもの。2010年12月改訂とあるが、内包されているデータの多くはBP社が毎年発行しているエネルギー関連情報の集大成「Statistical Review of World Energy」からのもので、現時点では【Statistical Review of World Energy 2010】が最新。「図表で語る エネルギーの基礎 2010-2011」でもそのデータを使っていることが確認できたので、そのまま流用する。

まず「一次エネルギー」そのものについて。これは自然界に存在するそのままの形を用いてエネルギー源として使われているもの。化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)、ウラン、そして水力・火力・太陽熱・太陽光・地熱などの自然エネルギーから直接得られるエネルギーが該当する。ちなみに「一次」があるのなら当然「二次エネルギー」もあり、これは電気やガソリンなど、一次エネルギーに手を加えて得られるエネルギーを指す。

まずは一次エネルギーの消費量の比較。最新のものは2009年と、前回から2年分更新されている。先進諸国は景気後退などを受けてエネルギー消費量が減退する一方、インドや中国などが上乗せされている。「中国は急速な工業化による大幅な増加が予想される」とした前回コメントが的外れなものではなかったのが分かる。

↑ 一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2009年)
↑ 一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2009年)

やはり莫大な工業力を持つアメリカの消費量が一番多い……のだが、小数点1ケタ単位までの概算では、中国と並ぶ立ち位置となってしまった。【アメリカと中国の2000年以降のエネルギー消費量推移をグラフ化してみる】あたりを読み返すと、さもありなんというところか。両国に続き、大きく下がってロシア、インド、日本が続く。日本の順位が下がったのも、景気後退によるところが大きい。そしてこれらの一次エネルギーは直接使われる他に、二次エネルギーの加工用としても使われるため、人口増加以外に工業化などでも大きく変動する。

続いて各国の一次エネルギー源分布。石油や天然ガスなどに区分し、どの一次エネルギーをどのくらいの割合で用いているかが示されている。前回のグラフと、エネルギー源の並ぶ順番が異なる点に気をつけてほしい。

↑ 主要国の一次エネルギー源(2009年)
↑ 主要国の一次エネルギー源(2009年)

特徴的なところを挙げると、

・中国は7割が石炭
・ロシアは5割強が天然ガス
・イギリスやイタリアも天然ガスが4割を占める
・フランスは原子力が4割近くと主要国中最大の割合
・インドは中国に次いで石炭使用率が高い
・イタリアは(2009年時点では)原子力がゼロ

などが目に留まる。

まずイタリアだが、これは1987年に「脱原発政策」が国民投票で決定してから、原発ゼロを貫いていた。しかし度重なる電力不足と隣国フランスからの供給の不安定さが問題視され、2009年2月にはフランスの協力で2020年までの建設計画を発表され、方針転換を果たしていた。しかし最新の情勢としては昨今の動向を受け、調査などを含めた計画が凍結されるなど、再び「脱原発政策」機運が高まっている。フランスは原子力の割合が多いが、これは多分に同国の独立独歩的な政策、そして電力の他国への販売を一大ビジネスとしているところによるもの。

また、中国は7割が石炭を一次エネルギー源としている。石炭は安価で経済性に優れているものの、【原油高騰がもたらしたもの・北海道産の石炭が再注目を集める】でも言及しているように「適切」で比較的「高い技術力」による処理をしないと、二酸化炭素の排出量など環境面での負担も大きい。【2007年時点で二酸化炭素排出量がアメリカを超えた国は……どの国がたくさん二酸化炭素を出しているかがひとめで分かる図2007年版】で解説しているように、中国の二酸化炭素排出量がアメリカを超えて世界一となっているのも、石炭によるエネルギー確保がメインとなっている構造が大きな要因と考えて問題無い。

日本の場合は石油への依存度が主要国の中でも比較的高い。しかもそのほぼすべてを輸入に頼っている(【国産原油の産出量をグラフ化してみる】)。エネルギー戦略上決して好ましい状況では無いため、少しずつ構造変化が進められているものの、昨今の情勢を含め様々な問題が積み重なっており、まだまだ改善の道のりは厳しい。中長期的かつ正しい戦略眼を持った上で、強力な政策が求められよう。

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