ビデオソフトのレンタル動向をグラフ化してみる

2011/05/30 06:51

映像ソフト(ビデオソフト、DVDやBD(ブルーレイディスク))業界に関する動向を推し量れる、【日本映像ソフト協会】が毎年発表している市場調査情報「ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査」には、多種多様なデータが盛り込まれている。今回はその中から、直近の2010年におけるビデオソフトのレンタル動向を中心にデータをグラフ化し、状況を眺めて行くことにする。同業界の動向の一端を推し量れるはずだ(【ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査 2010(PDF)】)。

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今調査は2011年1月にインターネット経由で2010年に関する動向を16歳-69歳の男女に対して尋ねたもので、有効回答数は1200人。性別・年代別・都道府県別構成比を住民基本台帳に基づいて割り付け、さらにビデオリサーチ社によるACR(Audience and Consumer Report)調査結果を用いて、同世代の一般個人によるデータとして推計するよう補正を行っている。

今調査結果報告書に併記されているデータによれば、ビデオソフト(DVD&BD、特記無い場合は以下同)の市場規模は2006年-2007年にやや変わった動きが見られるものの、全般的にはセル(販売)・レンタル(貸出)共に縮小傾向にある。特にレンタル市場は減退状況が著しい。

↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)
↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)(再録)

このような状況下で、該当年の1年間でビデオソフトの購入やレンタル経験があったか否かを尋ねた結果が次のグラフ。明らかに購入者・レンタル者共に減少している。1年間で購入もレンタルもしなかった人は7.3ポイントも増加し、半数に達する勢い。

↑ 1年間のビデオソフト(DVD&BD)購入・レンタル状況
↑ 1年間のビデオソフト(DVD&BD)購入・レンタル状況(再録)

一見するとレンタル利用者が増加しているように見えるが、「購入もレンタルもする人」は減っており、「購入する・しないを問わずレンタル利用者」は2.7ポイントの減少となる。

実際、もう少しさかのぼった形でデータを見ても、ビデオソフトのレンタル経験者の比率そのものが減退傾向にあるのが分かる。

↑ ビデオソフトのレンタル経験率
↑ ビデオソフトのレンタル経験率

直近の2010年と2009年に限定し、レンタル利用者に「前年と比べてレンタル枚数は増えたか減ったか(、ゼロまで減った=借りなかったか)」を聞いたのが次のグラフ。「去年は借りて今年は借りなかった」人が3割、「増えた」と「減った」がほぼ同数。仮に増えた枚数と減った枚数が同数だとしても、かなり厳しい減少を覚悟する必要がある、ということになる。

↑ 調査年における1年間のビデオソフト(DVD&BD)のレンタル枚数増減(前年と比べて)(調査年と前年におけるレンタル経験者対象)
↑ 調査年における1年間のビデオソフト(DVD&BD)のレンタル枚数増減(前年と比べて)(調査年と前年におけるレンタル経験者対象)

2009年より2010年の方が、そして男性よりも女性の方がレンタルビデオ離れが加速しているのは注目すべき動き。そしてグラフ作成は略するものの、レンタル1枚あたりの単価、レンタル利用者の平均利用枚数、さらに当然ながら利用者の平均利用金額も減少している。利用率が減り、利用者の利用金額が減れば、市場が加速的に縮小するのも止む無しというところ。

ちなみに2009年-2010年のどらちか1年の間でもレンタルソフトの利用経験者で、2010年は2009年と比べて利用機会が減った、あるいは無くなった人に対し、「なぜ借りる枚数が減った、借りなくなったのか」の理由を聞いた結果が次のグラフ。

↑ ビデオソフトのレンタル枚数が減った理由(複数回答、2009-2010年のレンタル経験者で、2010年は2009年と比べて減ったか借りなかった人限定)
↑ ビデオソフトのレンタル枚数が減った理由(複数回答、2009-2010年のレンタル経験者で、2010年は2009年と比べて減ったか借りなかった人限定)

トップは「テレビやその録画を観る機会が増えた」。ほほ同数で「時間のゆとりが無くなった」。それも合わせて(特に「観たいソフトが減った」あたりなど)、元々ビデオレンタルに強い執着心を持っていなかった人が、ちょっとしたきっかけでレンタルビデオ離れを起こしているのが見て取れる。

「どうしてもこの作品を観たい」と作品へ固執するなら、レンタルでは無く購入する意欲が働くはず。「どうしても観たい。でも買うほどではない」という想いを持つ作品はごく少数で、大抵は「どうしても観たい=購入」「それなりに観たい=レンタル」のいずれか。そして後者は「それなり」でしかないゆえに、容易に他の娯楽、あるいは視聴という点では同じでも他のメディアが代替作と成り得てしまう(例えば「暇だからレンタルビデオで『●×』でも観ようかな……と思ったけど貸し出し中だから、再放送でテレビ放送される、似たような映画でいいや」という感じ)。

先に別記事で、ビデオソフトの購入層は二極化傾向にあり、コアユーザーが大量にソフトを購入する事で市場を支えているとした(最初のグラフで「セル市場」の減り方が「レンタル市場」より緩やかな原因)。レンタルはその二極化が起きないからこそ、メディアやエンターテインメントの大きな質的変化が起きた2007年-2008年以降(不景気の到来も同時に起きている)、一様に市場が減退していると考えられる。DVDとBDのフォーマット別市場規模比率を見ても、レンタルにおけるBD率は極めて少ない。

↑ セル・レンタルのフォーマット別市場規模(比率、2009-2010年)
↑ セル・レンタルのフォーマット別市場規模(比率、2009-2010年)(再録)

元々レンタルショップ側が「BD再生可能なプレイヤーの普及率を考えれば、BDを置いても借りる人は少数だから」と目論んで、BDタイトルを置いている店舗が少ない事も考えられる。しかし「少しでも良い画像で観たい」というレンタル利用者が多ければ、導入率も増えるはず。にも関わらずこの値に留まっているところを見ると、「こだわり」を持つレンタル利用者はそれほど多くないと考えるのが納得しやすい(ちなみに今調査において、BD再生可能機器の所有率は38.4%に達している)。

レンタル市場の縮小を食いとめるには、「それなりに観たい」人の足を引きとめ、他の娯楽に向かわせない工夫が必要になる。例えば一部の総合書店では、その書店のビデオレンタル部門における割引券を、書籍購入者に無料配布している。また、返却の手間をできるだけ省かせる工夫も凝らしている。今後はさらなる工夫を凝らすか、あるいは発想の転換、例えばレンタル枚数が減った理由の最上位が「テレビ放送や録画を観る機会が増えた」なのだから、この層がレンタルビデオを借りたくなるような仕組みが求められよう。

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