映像ビデオ市場の推移をグラフ化してみる(2010年分反映版)

2011/05/28 19:30

当サイトでは音楽CDなどの売れ行きに関しては【不景気にはデジタル化も勝てず…音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上をグラフ化してみる(2010年版)】などにもあるように、日本レコード協会が逐次公開しているデータを基に精査を行っている。先日、これとは似て非なる業界である映像ソフト(ビデオソフト、DVDやBD(ブルーレイディスク))について、【日本映像ソフト協会】と、同協会が毎年公開している市場調査情報「ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査」の存在を知ることができた。そこで今回は2011年5月19日発表された最新のデータ【ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査 2010(PDF)】を基に、ビデオソフトの市場規模推移をグラフ化することにした。

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まずはビデオソフト(DVD&BD、特記無い場合は以下同)の市場規模。「セル」は販売、「レンタル」は貸出を意味する。収録されているデータを見る限り、2006年-2007年にやや変わった動きが見られるものの、全般的にはセル・レンタル共に縮小傾向にある。

↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)
↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)

特に2008年あたりからの急落ぶりは、「不景気にはデジタル化も勝てず…音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上をグラフ化してみる(2010年版)」で示した音楽CDの売れ行きと酷似しており、非常に興味深い(メディアの変質と共に景気の後退が大きな要因だろう)。

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移
↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(2005年-2010年)(再録)

やはりエンタメ系のメディアでは2007年-2008年が大きなターニングポイントと見てよさそうだ。

今資料ではレンタル・セルという提供方式、そしてDVD・BDというフォーマット方式別に(2009・2010年の2年分だけだが)データが収録されている。金額、そしてそれぞれのDVD・BD比率を示したのが次のグラフ。

↑ セル・レンタルのフォーマット別市場規模(億円、2009-2010年)
↑ セル・レンタルのフォーマット別市場規模(億円、2009-2010年)

↑ セル・レンタルのフォーマット別市場規模(比率、2009-2010年)
↑ セル・レンタルのフォーマット別市場規模(比率、2009-2010年)

市場規模が減退しているのは一つ目のグラフで確認できるが、2009年-2010年においてはレンタル市場が激減しているのがその原因であることが改めて分かる(もっとも一枚目のグラフでも、よく見れば赤い部分=レンタル市場の急速な縮小化は確認できるのだが)。また、セル・レンタル両サイド、特にセル方面でBD化が進んでいるのが分かる。

詳しくは機会をあらためて紹介するが、今資料の別項目では「購入されたビデオの大部分は大量購入をする少数の『ヘビーユーザー』によるもの」という結果が出ている。ヘビーユーザーだからこそ、画質にはこだわりを持つためにBDを積極購入する。だからこそ、BDの比率が急上昇している、一方レンタルはさほどこだわりを持たないため画質を気にしないので、BDの浸透率は今一つ……と考えれば道理が成り立つ。

また「レンタルユーザーは映像ソフトへのこだわりが薄い」という仮説は、この数年急激にレンタル市場が縮小している実態にもマッチする。わざわざレンタルせずともテレビ放送のもので間に合えばよい、時間を設けて見る余裕が無い(時間・お金的に)など、今調査別項目にある「レンタルビデオのレンタル枚数が減った人の理由」上位項目を見れば、「借りなくてもいいや」とレンタルしなくなる人が増加し、市場が縮小するのも当然といえる。



右肩下がりセル市場はヘビーユーザーへの偏り、レンタル市場は他のメディアやエンタメとの競争力の(相対的)低下。ビデオソフト市場はセルとレンタルでそれぞれ別の問題を抱えながら、総計で縮小の一途をたどっている。今資料には有料映像配信の市場データは盛り込まれていないが、規模としては音楽CDに対する有料音楽配信の比率に比べて段違いに小さいものと考えて間違いない(着メロ・着うたなどの文化が映像には無い)。

急激に変化する周辺環境に対応し、いかに利益の出るビジネスモデルを確立する、あるいは既存モデルとの融合を図るか。ビデオソフト市場において試行錯誤するのに残された時間は、さほど多くないように見える。

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