震災影響除外の暫定値で過去最低…大学生の3月末時点での就職率は91.1%・前年比0.7ポイントのマイナス

2011/05/25 07:24

厚生労働省は2011年5月24日、2010年度(2010年4月1日-2011年3月31日)大学等新卒者の就職状況に関する最新調査結果(震災影響除外の暫定値)を発表した。それによると2011年4月1日(3月末)時点での大学新卒者の就職率(就職希望者に占める就職者の割合)は91.1%だったことが明らかになった。これは一連の調査結果が公開されているデータのうち、4月1日時点のものが計測された1995年度分以降、2000年3月末時点と同じ過去最低の値を示している(【発表リリース】)。また、同日【高校・中学新卒者の就職(内定)状況】も発表されているが、高校新卒者の就職内定率は95.2%となり、昨年同期から1.3ポイントの上昇を見せていることも分かった。

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今調査は全国の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の中から、設置者・地域の別等を考慮して抽出した112校に対して行われたもの(調査校の内訳は、国立大学21校、公立大学3校、私立大学38校、短期大学20校、高等専門学校10校、専修学校20校)で、調査対象人員は、6250人(大学、短期大学、高等専門学校併せて5690人、専修学校560人)。各大学などにおいて、所定の調査対象学生を抽出した後、電話・面接などの方法により、性別、就職希望の有無、内定状況などにつき調査をしている。なお高校・中学卒業予定者に対しての調査は、学校・公共職業安定所の紹介を希望する生徒の状況をとりまとめたもの。

なお同日文部科学省でも同様の主旨の発表が行われている。大学新卒者の就職率は【こちらで】、厚生労働省との共同調査のため内容は同一。一方高校卒業者については【こちら】になるが、文部科学省のものは「高校のみ」「学校からの聞き取り調査」、厚生労働省のものは「高校・中学」「学校に加え公共職業安定所も調査対象」としている。今回は過去の当サイトにおける記事にならい、厚生労働省のデータを基に諸表を作成する。

また、今回は今般東日本大地震の影響もあり、被災地の一部の学校などをのぞいた測定値のため、「暫定値」扱いとなっている。被災地も含めた全体の調査結果については、データの取得・集計が出来次第公表すると伝えられている。

公表された調査結果によると、2011年4月1日時点で大学の就職率は91.1%。前年同期と比べて0.7ポイントのマイナスとなる。さらに今「大学等卒業(予定)者の就職(内定)状況調査」の調査が開始された1995年度分以降においては、2000年3月末の91.1%と同値で、過去最低の値を示している。

↑ 中卒-大卒の就職率(2011年3月末時点と2010年同時期)
↑ 中卒-大卒の就職率(2011年3月末時点と2010年同時期)

元々短期大学の就職内定率は低い傾向にあるが、今年は昨年よりもさらに低い傾向が見られる。3月末日時点でも15.9%の人が「就職したいのに就職先が見つからない状態」にあることが分かる。もっとも就職率の高いのは高等専門学校だが、これは以前【日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化してみる】などでも触れているように、求人側のニーズにマッチしやすいため。

このうち大学(国公立・私立の合計、個別)について、男女別に見ると次のようなグラフになる。

↑ 国公立・私立大の男女別就職率(2011年3月末時点と2010年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職率(2011年3月末時点と2010年同時期)

昨年同時期と比べていずれも低い値を見せている。今回においては男女の差異はほとんどなく、誤差の範ちゅうに留まっている。

直近8年間における就職率推移をグラフ化すると、次のようになる。いかに今回発表された就職率が低いかが理解できるというもの。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)

このグラフからは、リーマンショックの影響を受けた2009年3月卒分(の2月1日現在データ)から、就職率が大きく落ちているのが容易に把握できる。そして2010年3月卒分で勾配がキツくなり、今回データでは「やや」ゆるやかになったものの、下落傾向に歯止めはかからず、過去最低の値を示していることが再確認できる。

さらに今回は、計測開始の1995年度以降のうち、4月1日時点のデータのみの推移を併記しておく。

↑ 就職率の推移(大学・全体)(各年4月1日現在)
↑ 就職率の推移(大学・全体)(各年4月1日現在)

これまで最低値だった2000年3月卒の91.1%と同じで、過去最低値を示しているのが確認できる。しかも今回発表されたのはあくまでも暫定値でしかない。東日本大地震による影響を受けた被災地の計測値が盛り込まれた最終値では、今回の値を下回ることは確実で、以前の記事で指摘した大卒就職率が9割を切る可能性も否定できない状態にある。



高卒者の就職(内定)率はわずかに上昇しているが、これは高校新卒者において、

・求人数は19.5万人。前年同期で1.7%減
・求職者数は15.7万人。前年同期で2.2%増
・就職(内定)者は14.9万人。前年同期で3.7%増

という値が出ていることに起因する。一応「求人数>>求職者数」なのでえり好みをしなけけば求職者全員が就職・内定できる計算になるが、実際には条件のマッチングなどの関係でそれは難しい。にも関わらず就職・内定者が増えているあたりは、昨今の雇用情勢を鑑み、求職者が妥協を強め、就職できることを一義的に考えている雰囲気を感じる。

なお【大卒正社員率は82.7%…学歴や年齢別の若者労働者の正社員・非正社員割合をグラフ化してみる】にもあるように、中高生は正社員以外の雇用形態比率が大きいことを考えると、単純に高卒者などの就職率上昇を喜んでばかりもいられないのが実情ではある。

↑ 年齢階級・最終卒業学校、就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)
↑ 年齢階級・最終卒業学校、就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(2009年時点)(再録)

最終的な計測値は後ほど改めて発表されることになる。イレギュラーな出来事によるものとはいえ、過去最低値を示すのはほぼ確実。その数字を生み出すことになった内外的な環境要因、それをもたらした各種政策などを再精査すると共に、状況の改善を推し量るべきだろう。

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