【更新】広告費全体も単価も下がる…企業が払う新聞広告費と広告費相場の変化(2011年発表)

2011/05/26 06:34

先に【1年間で103万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2010年分・新聞業界全体版)】なとで日本新聞協会が提示しているデータを元に、日本国内の新聞業界における各種状況を精査した。これらのデータは大きく「年明けと共に」「年度切り替え後」の2期間のタイミングで更新されており、今は後者について最新の数字への切り替えを待っている状態。そして先日そのうち、広告費や広告量などに該当する部分のデータ更新が確認できた。そこで今回はその記事・グラフの最新版を作成し、企業などが新聞に広告を掲載するために使う広告費と、そこから導き出せる概算的な広告費の推移を推し量ることにした。

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データ取得元は【新聞広告費、新聞広告量の推移】。以前の別記事ではここから新聞広告量と新聞総段数を取得し、総段数から広告量を差し引いて「記事量」を算出した。なお「段」とは言葉通り、新聞の文字列を構成する横線の段組み。左端から右端までの1ライン分で1段として構成単位をカウントする。

↑ 新聞広告量・新聞記事量推移(万段)
↑ 新聞広告量・新聞記事量推移(万段)(再録)

次に新聞の広告費を抽出してグラフ化。これは「企業など『新聞に広告を出したい』と考えている団体が、広告出稿のために支出する広告費」を意味する。この値イコール「新聞業界の売上」ではないので注意を要する。広告を出す企業と新聞社が直接やりとりすることは滅多になく、大抵は複数の広告代理店などが仲介を行い、仲介手数料などが差し引かれるからだ(今の点については姉妹サイトの【新聞の広告出稿マージンって3割くらいなのかな?】【広告業界や代理店の仕組みが分かるステキなレジュメ】あたりで触れている)。

↑ 新聞広告費(億円)
↑ 新聞広告費(億円)

いわゆる「ITバブル崩壊」時の2002年に大きな減少が確認でき、その後の景気回復でも広告費は元に戻っていない。これは先の記事における、広告掲載率の変化と同じ現象。そして2007年以降急激に減少傾向を見せているのも、金融危機・金融不況によるものであり、これも掲載率変化と同じ。

2010年においては数年来と比べて減少率・減少カーブはやや緩やかになったものの、減っていることに代わりは無い。ITバブル時代、10年ほど前と比べるとと、大体半分の額にまで落ち込んでいる。

さて、企業の広告費と、実際に掲載される広告の段数が分かっているのだから、両方の数字から「1段あたりの概算広告費」が算出できる。もちろん直上で触れているように仲介手数料の問題もあり、そのままイコールの値と断じることはできない。少々古い事例になるが【「私は、ここにいる」アニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』第二期制作正式発表】にもあるように複数段・1面丸ごとの場合は別料金となるし、場所によっても多種多様な料金体系が設けられている。居酒屋で1テーブルを予約するのは簡単でも、半日全部テーブルを貸切にするのは難しいのと同じ理屈(ちなみにアニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』の第二期制作発表の1ページ広告には1000万円単位の広告費がかかったとの話)。あくまでも「企業側が支払う金額として」「全部平均で均した場合の」「概算値」の推移として見てほしい。

↑ 1段あたり概算広告費
↑ 1段あたり概算広告費

恐らくはITバブル期の絶好期の際に少々単価が上がっているが、それ以外は一様に漸減している。そして広告掲載率や広告掲載費の減り方と同様に、「ITバブル崩壊時に大きく減少」「金融危機・不況時も大きく減少」という傾向が確認できる。繰り返しになるが、あくまでも概算値ではあるものの、10年強で新聞広告の平均単価は3割強もの減少をしていることになる。さらに2010年では「下げ幅は縮小したものの、下げていることに変わりなし」で、他の広告周りの動向と同じ動きであるのも分かる。



広告単価の相場が下がるのは、需要と供給の関係において供給が過多になったからに他ならない。つまり「場所は一杯ある」「広告を出す側が少なくなった(広告主、広告量共に)」ということ。「現在の価格ならコストパフォーマンスを考えると、広告を出すつもりは無い。けれども、その値段まで割り引いて下げるのなら、出稿を考えてもいい」という広告主の期待に応え、広告を出稿してもらうため、相場を下げざるを得ないわけだ。

お得意様からの広告が不足しているのなら、自社広告で埋めるというのも一つの手ではある。直接広告費は入らないが、間接的に自社商品の認知度を高め、間接的な業績アップにつながりうる。「1段あたり概算広告費」の減退には、広告量に対する自社広告の比率増加可能性もあることを示唆しておく。

広告費の相場が落ち込んでいる原因を考えてみると、インターネットをはじめとする新しいメディアの普及で、広告出稿場所が増えたのが一因。そして広告を出す側が費用対効果を考え、より効果の高いメディアに重点を置くようになったのも少なからぬ要因。さらに新聞の質的な問題、読者数の減少によるメディア力の減退、【新聞のいわゆる「押し紙」問題を図にしてみる】などで指摘した問題もあわせ、複数の点が思い当たる。

これまでの流れを維持継続するのなら、広告単価はますます下がり、そして元には戻らない。新聞が記事を介して常に外部に向け、他社を焦点として発している「改革の気概」が、実は新聞自身に一番求められている。そのような表現を行っても、あながち間違いでもあるまい。

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