まず原発問題解決、次いで経済復興への確約…個人投資家が求める「日本復興」への条件

2011/05/22 12:00

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株価回復【野村證券(8604)】の金融経済研究所は2011年5月20日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2011年5月計測分、PDF】)。それによると調査母体においては、東日本大地震でもっとも株式市場に大きな影響を与える要因に「原子力発電所の事故」が挙げられていることが分かった。2/3近くの人が事故で大きな影響が及んでいると答えている。市場回復に必要な対応としてもトップに「原子力発電所の事故の収束」が登っており、原発事故の収拾が市場にも極めて有益になると考えている人が多いことが確認できる。


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今調査は1000件を対象に2011年5月9日から10日に行われたもので、男女比は73.9対26.1。年齢層は40歳代がもっとも多く29.7%、ついで50歳代が27.9%、60歳以上が24.1%など。金融資産額は1000万円-3000万円がもっとも多く29.9%、500万円-1000万円が19.1%、300万円-500万円未満が14.4%と続いている。投資経験年数は5年から10年未満がもっとも多く31.4%を占めている。次いで10年から20年未満が29.7%、20年以上が25.1%。投資に対し重要視する点は、概ね長期投資がもっとも多く50.9%と半数以上を占めている。ついで配当や株主優待が22.8%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めている。

今件調査では「スポット質問」として東日本大地震が株式市場に影響を与える要因・市場回復のために必要と思われる対策について尋ねている。まず、東日本大地震が株式市場に影響を与える要因を聞いた結果が次のグラフ。

↑ 東日本大地震が株式市場に影響を与える要因(現在まで・将来双方で、複数回答、3つまで)
↑ 東日本大地震が株式市場に影響を与える要因(現在まで・将来双方で、複数回答、3つまで)

トップは「原子力発電所の事故」。直接的な物理的被害はもちろんだが、未だに事態が収束されていないこと、各種影響が周囲に及んでいること、情報が錯綜していることなど、不安定要素が多いのが回答率を押し上げる要因となっている。

次いで「工場や従業員などの被災による生産機能の低下」「首都圏の計画停電による経済活動の停滞」「部品メーカーの被災による、サプライチェーンの混乱」など、生産サイドでの影響を懸念する声が強い。これは先日発表された景気ウォッチャー調査の具体的コメント内でも多数寄せられており(【2011年4月分の景気ウォッチャー調査結果は現状わずかに上昇・先行き大幅上昇】)、流れ作業的生産工程のあちこちで停滞が起きている状況を憂いているのが分かる。

ではどのような措置、対応をすれば株式市場は回復しうると考えられているのか。市場に影響を与えているのが原発事故なら、当然回復にもその関連事項がトップにくることになる。

↑ 東日本大地震に関して株式市場の回復に必要な対応(複数回答、3つまで)
↑ 東日本大地震に関して株式市場の回復に必要な対応(複数回答、3つまで)

ダントツで多いのは「原子力発電所の事故の収束」。これが3/4を超える回答率を見せている。次いで「復興活動の本格化」「経済・生産活動の回復確認」「夏季の停電リスクの軽減」など、互いが連動する形での「経済回復への動き」が上位についている。また、原発問題は電力に深く関連し、電力は経済活動の動きにも連動することを考えると、ますます原発問題のハードルをクリアすることが重要であることが分かる。

今件はあくまでも個人投資家を中心にしたアンケート結果ではあるが、社会全体の心理状況に株価が敏感に反応すること、そしてそれを(少なくとも世間一般全体と比べれば)熟知している人の回答であることから、その通りになるか否かは別として、多くの人の心理状況を適切に反映していると見てよい。

まず原発処理、次いで経済復興への確約。この2点が日本経済の復興の最優先課題といえよう。


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