【更新】週刊現代の上昇続く、育児系では「げんき」が元気…諸種雑誌部数動向(2011年1-3月)

2011/05/22 06:52

先に【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2011年1月-3月データ)】などで【社団法人日本雑誌協会】が2011年5月11日に発表した、2011年1月から3月分の主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータを元に、いくつかのグラフを生成した。今データは定期的に更新され、当方でもいくつかの雑誌について丸一年以上のデータが取得できたため、季節属性にとらわれない「前年同期比」の値を出せるようになったことは、これまでの記事でお伝えした通り。今回はいつもの「番外編」として、当サイトで定点観測しているデータ以外のいくつかの雑誌について、「前年同期比」における部数推移をグラフ化してみることにした。雑誌不況はどこまで、どのジャンルに浸透しているのか、どこまで進行しているのか、ある程度はつかみとれるハズだ。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

まずは一般週刊誌。状況としては前期とあまり変わらず。

一般週刊誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)
↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)

一般週刊誌印刷証明付き部数(2011年1-3月)(万部)
↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2011年1-3月)(万部)

今回計測分では前期比(前年同期比では無い・グラフは略)でプラスに転じている雑誌は「サンデー毎日」「週刊現代」の2誌。また「FRIDAYダイナマイト」は該当期間中の発売が無かったため数字も無し(4月に発売している)。「週刊現代」は相変わらずの堅調、「週刊ポスト」も去年の夏以降やや復調を見せており、この2誌が比較的手堅い動きをしている。

「週刊現代」は前年同期が48.7万部、今期が56.6万部と1年間で10万部近い増加で、昨今の出版不況の中ではかなり稀有な存在。前回の記事でも指摘したが、編集方針の変更を行ったのがプラスに働いた一方、他にも何か(売上軟調な他誌が耳を傾けたくなるような)理由があるものと思われる。その詳細がつかめないのは残念なところ。

他方、マイナス10%超えを継続している「SPA!」や「FLASH!」などは、紙媒体による「写真週刊誌」という存在において、供給過多の感は否めない。何か工夫を凝らして手を打たないと、そう遠くないうちに「次なるステップ」に足をかけてしまいかねない。

続いて育児系雑誌。

育児系雑誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)
↑ 育児系雑誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)

育児系雑誌は比較的手堅いジャンルだったはずだが、今期は前回掲載時と比べて多少改善はされているものの、辛い状況に変わりは無い。また、付録の内容によって大きな変動があるためか、名前通り元気な「げんき」以外は不安定な動きを示している。

そして[こっこクラブ休刊のお知らせ]にもあるように、「こっこクラブ」は2011年3月15日発売号をもって休刊。直近データ(2010年第4四半期)では6.8万部のセールスを挙げていたものの、今回グラフから「退場」と相成ってしまった。

食・料理・レシピ系雑誌。内食・中食への注力が高まる一方の昨今、ニーズは強まるばかり、のはずだったのだが、全般的に伸び悩み状態なのは前期と変わらず。インターネットにお客を奪われているのかもしれない。

食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)
↑ 食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)

随分とスカスカなグラフとなってしまったが、これは[「ボンメルシィ!」休刊のお知らせ]にもある通り、2011年3月発売の4月号で「bonmerci! little」「bonmerci! School」の両誌が休刊となってしまったことによるもの。他の3誌と比べれば印刷部数は1ケタ違うものの、「bonmerci! School」はそれなりに健闘していただけに、年度替わりを乗り越えられなかったのは残念。ただ前回の記事で指摘しているように「bonmerci! little」は綱渡り状態にあったため、「合わせて」と判断されたのだろう。また、残り三誌でやや間が抜けたグラフとなるので、次回以降「食・料理・レシピ系雑誌」をどうするかは要検討なところ。

エリア情報誌。

エリア情報雑誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)
↑ エリア情報雑誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)

対象雑誌は前回に続き今回も全部マイナス。携帯情報端末、特に画像が大きく多彩な情報を提供しうるスマートフォンが浸透する昨今、これまでのスタイルを維持しただけではエリア情報誌の維持は難しい。特に「ぴあ」の下げ幅は異常なレベルだったが……【雑誌の首都圏版「ぴあ」7月21日発売号で休刊・39年の歴史に幕】でもお伝えしたように、今年7月21日発売号をもって休刊が決まってしまった。是非も無し。

【イヌとネコ、耳や鼻が良いのはどっち?…イヌとネコのトリビアたち】にもあるように、しばしば対で紹介される「犬猫」双方の専門誌、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。

犬猫雑誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)
↑ 犬猫雑誌印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)

「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数(万部)
↑ 「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数推移(万部)

今回も前回同様、前年同期比では「ねこのきもち」の勝利(……とはいえ両紙ともマイナス)。ただし直近二期では両誌とも印刷部数を減らしており、出版業界全体の不調は犬猫業界にも影響している。ちなみに直近期の発行部数は「いぬのきもち」14.6万部・「ねこのきもち」11.0万部で、「いぬ」の勝ち。

最後に小学館の「小学●年生」シリーズ。以前【「小学五年生」「小学六年生」が休刊・来年春に学習まんが誌「GAKUMANPLUS」を創刊へ】で報じたように、「小学五年生」「小学六年生」は休刊しておりすでに無く、データとして提示できるのは「小学一年生」から「小学四年生」まで。

「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)
「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2011年1-3月、前年同期比)

今回も該当雑誌すべてがマイナス。しかも「小学一年生」以外は20ポイント以上の下げ幅で、特に「小学四年生」は半数以下となってしまっている。前回「かなり不安視される」という表現を用いたが、今回もそれどころでは無いレベルといえる。

ちなみに「小学六年生」「小学五年生」の代わりに登場した隔月刊誌「GAKUMANPLUS」は2010年4月15日に創刊。今回からはじめてデータが確認できたが、当然「前年同期」は無いのでグラフには反映されず。直近の部数は2.55万部。かつての「小学五年生」と「小学六年生」を足した値よりかなり少なめ。



以上ざっとではあるが、定点観測の対象外となっている各種雑誌について、前年同期比の印刷実績の推移をグラフにしてみた。ほとんどが前年同期で少なくとも1割前後の売れ行き減な状態が確認できる。また、年度替わりを直後にひかえたこともあり、複数の雑誌で休刊が確認されてしまった。

意外なのはニーズが高い(【教育費 生活苦でも 減らしません 苦しい時こそ 子への期待を】などで触れているが、子供にかける費用は削られない傾向がある)にも関わらず、育児系雑誌・小学生向けの学習雑誌が大きく落ち込んでいること。育児・幼少教育を本で学ぶ・学ばさせる人が減っているのか、あるいは情報取得元を携帯電話やパソコン経由のインターネット(ブログやサイト、そしてソーシャルメディア)にスライドしているのか、その因果関係まではつかめないが、注目すべき傾向といえる。

一方で「げんき」「プレモ」など一部雑誌の堅調な伸び具合には、育児系雑誌だけでなく雑業界全体における、低迷から抜け出すヒントのいくつかが見え隠れしている気がする。「優れた付録、特集」というキーワードは何も育児に限ったものではない、紙媒体誌の魅力となりうる。

また、今回取り上げた専門誌の領域は、デジタル系ツールとの組合せで、逆に紙媒体としての魅力を活かしつつ、多くの人から注目を集められる可能性を十分に秘めている。例えばAR(Augmented Reality(拡張現実・強化現実))の常用活用を模索するなど、今だからこそ出来る挑戦もあるはずだ。


■関連記事:
【新聞や雑誌の買われ方はこの10年でどのように変化したのか……週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる (追補編)】

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