新聞の下げ幅26.3%、震災の影響か…4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2011年5月発表分)

2011/05/17 12:00

経済産業省は2011年5月16日、特定サービス産業動態統計調査において、2011年3月分の速報データを発表した。それによると、2011年3月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でマイナス6.1%と減少を見せていることが明らかになった。主要項目別では「新聞」がマイナス26.3%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得や項目選択の概要に関しては記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認のこと。今記事はその2011年3月分データ(公開は2011年5月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年2-2011年3月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年2-3月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしたが、大まかな構図は変わらないものの、「ラジオ」以外のすべての項目で数字が悪化しているのが分かる。特に「新聞」の値は異常値とも表せるもので、マイナス26.3%とは昨年8月のマイナス24.4%来のダイナミックな下げ方といえる(ちなみに2010年3月はマイナス1.9%。「前年の上げの反動」というわけではない)。今件の動向はいうまでも無く東日本大地震によるもので、月中盤以降のみを反映した3月ですら、これほどまでの影響が生じている。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年3月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年3月、億円)

先月2月分で「インターネット広告が新聞を追い抜くのも遠くは無い。ちょっとしたはずみで立ち位置が逆転しそうな状況」と言及したが、その「ちょっとしたはずみ」どころか巨大な「はずみ」が生じ、2011年3月の単月速報値ベースではあるが、「テレビ」に続き「インターネット広告」が広告費第二位となり、「新聞」を追い抜く形となった。これは注目に値する動きといえる。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年3月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年3月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持。この数か月は再び大きな伸びへ」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小、一部はプラスに」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。しかし繰り返しになるが、今般東日本大地震による影響で直近月では折れ線グラフが急カーブを描いて下降しており、厳しい部門はより厳しく、そうでない部門もそれなりに辛い値が出たのが確認できる。

元々紙媒体の電子媒体への一部移行と住み分けの適正化(紙媒体のすべてが電子媒体に移行するわけではない)、電波媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の適正化は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行していた。しかし東日本大地震とそれに伴う各種震災は、広告出稿側のお財布事情の変化、地震報道などで見せた各媒体の「真の価値」に対する意識の移り変わり(視聴者・広告主から見た)をもたらし、広告業界においても一部軌道修正がされた上で、変化の「時計の針」をかなり先に進めてしまった感はある。

今後は電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、これまで以上に特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡が重要視されるに違いない。


■関連記事:
【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2011年3月分)】

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