震災の影響による発表日変更続く、内容もマイナス多し(電通・博報堂売上:2011年4月分)

2011/05/17 07:00

【博報堂DYホールディグス(2433)】は2011年5月16日、同社グループ主要3社の2011年4月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年5月12日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2011年4月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

スポンサードリンク


データ取得元の詳細、各項目の算出の上での留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】にまとめている。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2011年4月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2011年4月分種目別売上高前年同月比

今月も先月3月分に続き、東日本大地震の影響を受けて定例の月次報告が延期。先日12日の決算短信発表と共に電通は4月分のデータも公開。博報堂は16日に公開し、ようやく両社の2011年4月分が出そろう事になった。今月は「博報堂より電通の伸び率が良い(あるいは下げ率が低い)」項目が多数存在する状況となり、しかも影響力が大きい4マスでは、電通がより良いのが3項目、博報堂がより良いのが1項目。混乱期における電通の底力を再認識させる動きとなった。

先月3月分同様、両社合わせても前年同月比でプラスなのは全部で5項目。具体的には「ラジオ(電通)」「インターネットメディア(電通)」「クリエーティブ(博報堂)」「その他(電通、博報堂)」のみという次第。「その他」は色々と細々したものの集合体だから、具体的な部門としては3項目のみとなる。ちょうど一年前の記事では、目立ったプラスの動きは「電通のインターネット」だけだった。今回はそこからさらに大きくマイナス値を計上しているのだから、一か月丸ごと影響を受ける初の月ということもあわせ、東日本大地震の影響の大きさが再確認できよう。

電通では「ラジオ」と「インターネット」がプラスを計上。地震関連で大きく株を挙げたラジオと、高成長率が期待できるインターネットという、ツボをついた上げ方ととらえることができる(特にインターネットは1年前の時点で、そこから1年前との比較でプラス34.9%。今年のプラス6.0%はその値からさらに上乗せの形となり、価値は大きい)。

他方今回月は博報堂の下げ方が目立つ。とりわけ金額の大きな「テレビ」で、15.4%もの下げはキツい。先月も一部で確認できた「再編効果」が吹き飛んだ形。インターネットもマイナス20.9%と、少々心配してしまうほどの下げっぷり。

このグラフはあくまでも個々の会社の前年同月比に過ぎない。インターネット分野の額面は他の分野と比べればまだ小さめ、そして個々分野を会社毎に比較した額面上では電通の方が上。例えばインターネット分野なら、電通は24.68億円、博報堂は12.00億円(3社合計)という数字である。

電通・博報堂HDの2011年4月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2011年4月における部門別売上高(億円、一部部門)

繰り返しになるが、4月ははじめて東日本大地震の影響を丸ごと一か月受けた最初の月となる。2010年4月も軟調だったが、そこからさらに多くの部門で2ケタ%台の下げが確認できるほど、異様な事態となっている。特に博報堂は、グラフのぱっと見で左側に伸びる赤い棒の面積が広いことからも分かるように、多数項目でのダイナミックな落ち込みぶりを示しており、合計でもマイナス14.3%を記録するほどである。

今回発表された4月分データと前後して、両社は現在進行中の年度(2012年3月期、2011年4月-2012年3月)の業績予想などを発表している。文言をいくつか抽出すると、

●電通:
平成23年度につきましては、東日本大震災とそれによる電力不足の影響から、企業活動や消費マインドの低迷が懸念されています。こうした状況を踏まえ、(社)日本経済研究センターは、平成23年度の日本の総広告費を前年度比94.9%と予測しています(平成23年4月時点)。

今後も厳しい経営環境が続くと思われますが、当社グループは中期経営計画「Dentsu Innovation 2013」に基づく様々な具体的改革を引き続き推進するとともに、東日本大震災からの復興に向け、様々な側面から最大限の努力を続けてまいります。

●博報堂:
マクロ環境:広告市場は、上期、震災により企業活動が大きな影響を受けることから、大変厳しい環境が続くと見ている。また、秋以降の景気回復に伴って広告市場も回復していくものの、通期では前期を下回る可能性が大きい。

としており、現在進行期における広告業界の厳しさを予見する内容となっている(もっとも利益を上乗せできるか否かは両社の方針が異なるようだが)。

電力供給不足は最低でも今夏、そして今冬以降も続く可能性が高い。それに伴い、例えば【震災と計画停電とデジタルサイネージ】で指摘したように、これまで注目を集め期待されていたデジタルサイネージについても、軌道修正を求められることになる。今後はこれまで以上に、電通と博報堂両社の動向を注意深く見守る必要がありそうだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー