中部電力がやや異なる動き…東北・東京・中部電力需要推移(2011年5月12日まで)

2011/05/15 07:26

先に東北・東京電力の一日単位の最大電力需要推移をグラフ化し精査した記事で、東北電力・東京電力の両管轄内における一日単位の最大電力需要の推移を各種グラフにしたところ、案の定(?!)「東北電力の前年同日比のグラフが欲しい」という意見をいただいた。また【東電、今夏の電力需給予想を更新発表・ピーク時で5500万kWの需要に対し供給は5520万kW-5620万kW】でも触れているが、中部電力管轄でも電力需給が非常に切迫したものとなることが確定し、同区の動向も気になるところとなった。そこで今回は、今後の再更新にも備える意味も含め、三社の一日単位の最大電力需要推移をグラフ化してみることにした。

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データ取得元は電力系統利用協議会の【系統情報サービス】。なお前回記事化した際には「需要実績」中のデータは二週間前後のものが収録されていたはずだが、今回チェックし直してみると一週間分しか無く、5月頭のデータを取得できなかった。今件グラフでは中部電力の5月頭部分のデータが欠落しているが、後に月単位の需要実績が公開された際に補完していく予定。

まずは純粋に3月1日以降、収録最新データの5月8日までの推移を東北・東京・中部で並列表記したものを生成する。

↑ 東北・東京・中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東北・東京・中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

先のグラフから数日分はデータが更新されているので、その分は反映済み。細かいギザギサを刻んでいるのは、曜日特性によるもの(土日は多くの企業が休むために全体としての電力需要が減る)。東北・東京電力は本震の3月11日の翌日12日に大きく値を落とし、その後はそれ以前と比べて低水準で推移しているのが分かる。本震当日の11日が高い値だったのは、本震より前の時間でその日のピークを迎えていたから。

一方中部電力は、東北・東京電力と比べれば本震直後の減少が少ない一方で、全体的に少しずつ減退していく様子が確認できる。これは季節的なものもあるが、製造業中心の中部電力管轄において、それらの電力消費が減っていることも要因として考えられる(【産業の活力が分かる、大口電力使用量をグラフ化してみる(2011年3月分)】でもその片鱗が確認できる)。

続いてもう少し分かりやすい形で、それぞれの電力会社別にグラフを再構築する。昨年の同月同日と併記する形で生成したのが次のグラフ。曜日調整はしていないが、大体の状況は把握できる。

↑ 東北電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東北電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

↑ 東京電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 東京電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

↑ 中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)
↑ 中部電力の最大電力推移(日ベース、万kW)

去年は夏こそ豪暑だったものの、それまでは平年なみかやや低め(日照時間が少なかった)の気温を維持していたため、今回の収録期間中では気温による調整は考慮しなくて良い。両グラフの縦軸の区切りの違い、最下層がゼロでないことに注意する必要があるが、東北電力管轄内での電力需要の落ち込み具合の大きさが、あらためて実感できる。また、後述する「ゴールデンウィーク中の祝祭日修正」が入っていないこともあるが、直近部分において東京電力管轄での昨年・今年の差異が縮まっている動きがやや気になる。

そして今回新たに掲載した中部電力のグラフだが、東北・東京電力と比べると、異様なまでに小刻みな変動がひと目で分かる(縦軸の区分が異なるのも一因だが)。これは【中部電力の各種データをグラフ化してみる】でも解説したように、中部電力管轄では他の管轄と比べて工業(製造業)による電力消費の割合が大きく、土日の工場停止時には全体の電力消費の減退率も大きくなるため。

それを確認するため、「でんきの情報広場」内の【電力需給実績】で、年ベースの直近データ2010年度分を用い、3電力管轄における販売電力量実績を基に、販売電力(需要電力)の構成比をグラフ化する。問題視されているのは「需要ピーク時における電力」であり「電力量」ではない。しかし電力と電力量には相関関係があるため、比率把握のグラフ用データとしては有益なものと判断した。

↑ 販売電力量、電灯・電力需要実績(比率、2010年度分)
↑ 販売電力量、電灯・電力需要実績(比率、2010年度分)

「電灯」は一般家庭や小規模商店、「電力」は業務用の電力(三相200V)。「特定規模(業務用)」「特定規模(産業用)」は、高圧受電・特別高圧受電のもので、それぞれオフィスビルや商業施設、中・大規模工場向けのもの。以前の中部電力のみのグラフでも言及したが、中部電力管轄は工場需要が大きく、平日と休日の差異が出やすいことがあらためて確認できる。

最後に(実は前回記事ではこのグラフが一番注目された)、2010年と2011年での電力需要の差異を比率でグラフ化したものを展開する。電力需要は曜日による属性変化が大きいことは先に触れた通りだが、2010年と2011年では同じ月日だと曜日が一日ずれる計算になるので、それを修正した上でのものである。なお中部電力の値はプラスマイナスゼロを行き来しているので、分かりやすいように赤の点線をゼロ部分に追加した。

↑ 東北電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 東北電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

↑ 東京電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 東京電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

↑ 中部電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)
↑ 中部電力の最大電力推移・2011年における前年同日比(日ベース、曜日修正済み)

現在確認できるのは5月12日までのデータなので、ゴールデンウィークの余韻が残っている可能性はある。電力供給不足、そしてそれによる節電が叫ばれている東北・東京両管轄内では本震後マイナス圏を推移している。ゴールデンウィークに向けて少しずつ前年の値に近づいている雰囲気は否めず、節電成果が薄れている懸念はある(東北電力管轄では特に、被災地の復旧による需要拡大が影響しているのだろうが)。

一方で中部電力では直近まで電力需給の問題は無かった(どころか東京電力に対して応援融通(応援送受電)までしている)こともあり、電力推移はプラスマイナスゼロの領域を行き来している。しかし【中部電力の需給計画を見て】でも触れているが、超法規的要請により浜岡原発が停止。供給予備力が非常に危ういレベルに達したことで、今後は節電対策が求められることになるのは疑う余地が無い。



戦略策定ゴールデンウィーク以降の通常利用スタイルに戻る5月中旬以降、東北・東京電力管轄では再びマイナス10%を軸にした動きで留まるのか、それとも節電対策が進んで需要が落ちるのか、あるいはマイナス幅が縮まるのか、非常に気になるところではある。また、中部電力での動きが「ゼロを挟んだ上下」から「ゼロを天井にした上下」になるのかも留意したい点といえる。

そして「来年の事を語ると鬼が笑う」ではないが、今夏を無事に乗り越えても、今冬、そして来年以降も電力需給がひっ迫しうる夏と冬はやってくる。今夏に向けて応急処置的に増設されている電力供給のうち、少なからずのものは「期間が限定」「コストパフォーマンスが非常に悪い」ものであり、常用・中長期の利用は想定しにくい。応急処置的な展開と共に、中長期の戦略にのっとった計画策定が設実に求められよう。

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