昼過ぎの自宅滞在率は約3割…自宅にいて寝ている時間と起きている時間の変移(最新)

2021/06/12 04:29

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2021-0602日中は学校や仕事場に足を運び、夜までには帰宅する人、ほぼ一日中自宅に戻らず働いている人、自宅内で仕事を行う自営業の人、定年退職を迎え悠々自適な生活を過ごしている人、多様な事情により、自宅にいる・いないの度合いは大きく異なる。自由業・自営業の人が日中に自宅周辺で顔を見せると、近所から怪しまれることがあるというような、笑うに笑えない話を耳にした人もいるだろう(昨今では在宅時間が多い壮齢・高齢者の比率が増え、さらに新型コロナウイルスの流行で在宅勤務の人が増えており、以前ほどの偏見は持たれなくなっている)。今回はNHK放送文化研究所が2021年5月21日に発表した2020年国民生活時間調査の報告書をもとに、平日と休日それぞれにおいて「どれくらいの人が自宅にいるか」に関して、寝ている・起きているそれぞれの状況への区分をした上で確認していくことにする(【発表リリース:「2020年 国民生活時間調査」結果概要】)。

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今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを見る人、しかし高齢者は相変わらずほとんどの人が見ている(最新)】で記載済みなのでそちらを確認のこと。

一般の人における生活の最大拠点は自宅(現在居住地)。私物の多くは自宅にあり、会社勤めや学生も、多くの時間を自宅で過ごす。一方で自宅での時間経過は「起きている状態」と「寝ている状態」に区分が可能。生活様式の観点において「自宅にいる」場合でも、「起きている」「寝ている」と状態が違えば、可能なことは違ってくる。起きていれば大抵のことは可能だが、寝ている最中には睡眠以外の行動はできない。熟睡しながらテレビを見たり、食事を取るのは不可能である。

公開値には単なる「睡眠」以外に、「在宅」「起床在宅」の値がある。「在宅」のうち「起床在宅」以外は「睡眠在宅」しかあり得ないから、「在宅」の値から「起床在宅」の値を引けば「睡眠在宅」の値を算出できる。この値と単純な「睡眠」は一致しておらず、「睡眠」には自宅以外での就寝(仕事場などでの仮眠が該当するのだろう)が含まれているのが分かる。今回は「自宅における生活様式を在宅の観点から把握する」のが目的のため、「起床在宅」と独自算出した「睡眠在宅」を用いる。

まずは平日、そして日曜の動き。

↑ 在宅行為者率(平日、状態別)(2020年)
↑ 在宅行為者率(平日、状態別)(2020年)

↑ 在宅行為者率(日曜、状態別)(2020年)
↑ 在宅行為者率(日曜、状態別)(2020年)

休日と比べて平日の在宅行為者、つまり在宅率が低いのは(単純加算すると平日は3033.5%、休日は3456.3%)、会社勤めの人や学生が自宅にいないため。自由業などの自宅勤務者や主婦、定年退職者、夜間勤務者などは昼間にも在宅していることになるが、3割程度しかいない。そしてそのほとんどは起きており、寝ている人はごくわずか。

自宅にはいるが「睡眠在宅」に該当する、つまり寝ている人が増えてくるのは平日では21時あたりから。未成年や高齢者がこの時間帯から床に就くことは【高齢者は夕食前からずっと見ている…男女別・年齢階層別で異なる平日夜間のテレビ視聴スタイル(最新)】などでも推測されており、それが裏付けられたことになる。

一方平日と日曜のグラフを比べると、日曜の方が面積、特に青の部分が多い。これはお休みの日は就業者や学生も日中自宅にいる場面が多いことを意味している。特に日曜の夕食時の「起床在宅」は日曜の1日中の中でも、そして平日と比較した上でももっとも高く約8割を示しており、家族団らんの夕食、そしてその後のリラックスタイムを過ごしている状況が想像できる。

参考までに起床・睡眠も合わせた、「とにかく自宅にいる」を意味する単純な在宅行為者率の推移を平日・日曜と重ねた折れ線グラフは次の通りとなる。

↑ 在宅行為者率(曜日別)(2020年)
↑ 在宅行為者率(曜日別)(2020年)

日曜の深夜において平日よりほんの少しだけ在宅行為者率が低い点、日曜の在宅行為者率は最低でも半分前後に達する、平日と日曜の在宅行為者率の違いは最大で2割程度など、自宅におけるライフスタイルがかいま見えるようである。



今回のグラフ・値はそれ自身が興味深いものであるが、同時に他の生活・行動様式との関連における検証の材料としても有意義なものとなる。例えば家庭における節電対策・効果を検証する際、待機電力対策のような「放置していても打てる手立て」は別として、その世帯の居住住宅に誰かがいないとできないものも少なくない。それらの効用を試算(目算レベルだが)する時に、特にピークタイムとの兼ね合わせを考える場合に、有意なものとなるはずだ。


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