【更新】各電力会社間の電力の融通具合を図にしてみる

2011/05/10 12:10

各電力会社間の電力の融通具合先に【中部電力、浜岡原発の運転停止へ・公式発表】で伝えたように、中部電力は浜岡原子力発電所の運転を停止、各種災害対策の強化に取り組む事となり、電力供給に不足を生じるようになった。これまで行われていた東京電力への応援受電も不可能になるとの言及もされている。これにより今般の東日本大地震で東北・東京電力管轄における電力供給不足は、さらに混迷の度合いを深めることになった。今回は今後の記事展開の資料用として、各電力会社間の応援送受電(応援融通)の容量を図にしておくことにする。

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東京電力の【リリースで確認】すると、東電エリアに対し、北海道電力からは「北本連系設備(北海道・本州間電力連系設備)」経由で60万kW、中部電力からは「新信濃変換所」経由で60万kW・「佐久間変換所」経由で30万kW・「東清水変換所」経由で10万kWの電力が応援送電として送られている。またこのうち最後の「東清水変換所」については[電気新聞の報道]にもあるように3万kWの上乗せがされているので、103万kWが送電の上限となる。

それではその他の電力会社間における、電力供給不足を応援するための応援送電・受電用の連系用の施設における上限はどのような構図になっているのだろうか。可能性を認識しておく意味で図式化するため、色々と資料を探ることになった。

全電力会社間の応援送電・受電のやりとりは資源エネルギー庁の「統計表一覧」中「2-(9)一般電気事業者間の送受電実績」で取得できるが、これは「電力量」であって「電力」では無いので、今回は使えない。さらに探ってみると、やや古くはあるものの電力系統利用協議会が2007年2月に発表した【連系線整備(建設・増強)に関する勉強会の「とりまとめ報告書」について】において、該当する資料を見つけることができた。それを再構築したのが次の図。今の時点で見つかる資料としては、これがもっとも新しいものと思われる。

なお表記されている数字はあくまでも「2015年予定」のものなので、現状とは異なる場合もあることを記しておく。例えば中部-東京電力間は図の上では120万kWとあるが、現状では上記にある通り103万kWが上限である。また、これらの値は「上限」であり、常にこの電力がやりとりされているわけではない。

↑ 国内連系線と運用容量(2006年度における2015年度需要時ピーク時)(2007年2月 電力系統利用協議会「連系線整備(建設・増強」に関する勉強会とりまとめ報告書より作成)
↑ 国内連系線と運用容量(2006年度における2015年度需要時ピーク時)(2007年2月 電力系統利用協議会「連系線整備(建設・増強」に関する勉強会とりまとめ報告書より作成) ※クリックで拡大表示

各電力会社はそれぞれのエリア内で需要に応じた電力を供給している(【電力供給の仕組みを図にしてみる】)。しかし他社受電などでも対応しきれないほどの需要が生じた場合や、今回のように供給が落ち込んだ場合、他の電力会社からの融通が出来るように、連系線を使い、電力の応援送電・応援受電ができるようになっている。しかし送電線の熱容量や周波数、電圧、安定度などの問題から送れる電力には上限が生じる。

また、中部-東京電力間が直流なのは異なる周波数間でも連系が行えるため(その分交流・直流・交流の変換プロセスが必要になるので施設が大きくなる)。四国-関西と東北-北海道間が直流なのは、交流の電力間で環状の流れが構築されると制御が難しくなるので、わざと直流を用いている。

さて、図を見直すと分かるように、各電力会社間の連系線の運用容量は限られたものであること、そして今回の中部電力における電力供給不足に伴う東京電力への応援送電の取りやめが、かなり大きな痛手となることが認識できる。何しろ東京電力へ応援送電を出来る2系統のうち、「直接ルートでの」1系統がダメ出しされてしまったのだから。

もちろん「北本連系設備(北海道・本州間電力連系設備)」の例にあるように、玉突き・トコロテンのような形で他の西日本方面からの電力融通を模索することはできる。しかし例えば【九州も夏に計画停電の可能性】でも触れているように、他の電力会社においても、安定的・定期的に電力を送れるような余力があるとは言い難い。「現状においては」電力供給の安定化策として、定期検査中の原発の再稼働が即効性と確実性で最良の手立てといえる。しかし浜岡原発の事例を創ってしまった以上、状況は不透明といわざるを得ない。


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