残業する人2割強、経営者・管理職は4割を超えて(2016年)(最新)

2016/03/05 11:41

企業や団体に就労する人の場合、法定労働時間は1日に8時間・週40時間が原則。無論業態や企業事情などにより上下する場合もあるが、定められている法定労働時間を超えた場合は時間外労働となり、割増しの賃金を受け取る権利が生じる。他方、自営業などの場合はそれらの割増賃金の発生は無いものの、やはり法定労働時間を超えるような就業は、心身に大きな負担をもたらすことになる。今回はNHK放送文化研究所が2016年2月17日に発表した2015年国民生活時間調査の報告書をもとに、負担の生じる残業の基準を仮設定し、その基準に当てはまる人の動向を確認していくことにする(【発表リリース:2015年 国民生活時間調査】)。

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今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを観る人、高齢者は相変わらず高視聴率だが…(2016年)(最新)】で記載済みなのでそちらを確認のこと。

また、今件における「有職者」とは「職を有している人」。すなわち企業や団体などに雇われた人と自営・自由業など(具体的には農林漁業者、自営業者、販売職・サービス職、技能職・作業職、事務職・技術職、経営者・管理職、専門職・自由業・その他)を指す。他方「勤め人」とは「有職者」のうち「雇用される側」(販売職・サービス職、技能職・作業職、事務職・技術職、経営者・管理職)を意味する。有職者のすべてが勤め人では無いので注意が必要。

冒頭でも触れている通り現在の労働基準法では、法定労働時間は原則1日8時間・1週間で40時間まで。それ以上を働いた場合は時間外労働、いわゆる残業となり、割増賃金を受け取る権利が生じる。今調査では平均として平日何時間働いているかを尋ねているが、その時間が10時間を超えた人(今調査では15分単位の計測、かつ10時間は該当しないので、実質的には10時間15分以上)の比率を算出したのが次のグラフ。つまり平均2時間を超えて残業をしている人(長時間残業者)の割合な次第である。

↑ 10時間を超えて働いている人の割合(平日・概要職業区分別)
↑ 10時間を超えて働いている人の割合(平日・概要職業区分別)

全体としては2割強が残業続き。男性に限れば3割-1/3が(理論上)毎日残業状態にある。しかも年々増加する傾向にあり、この20年間で8%ポイントもの増加を示している。2010年に一度落ちる動きを見せたのは、金融危機・リーマンショックで景況感が落ち込み、残業そのものが減らされた結果によるものと推定される。他方、女性は今世紀に入ってからはほぼ横ばいで1割程度を維持している。

また、有職者全体より勤め人の方が、全体・男性・女性共に多く残業している(女性は大よそ同じとも表現できるが)。これは有職者の区分では、勤め人にない「自営業」「自由業」「農林漁業者」など時間の調整が付きやすい区分の人がいるからに他ならない。

それを確認できるのが次のグラフ。

↑ 10時間を超えて働いている人の割合(平日・職業別)
↑ 10時間を超えて働いている人の割合(平日・職業別)

農林漁業者が一番少なく、次いで自営業・自由業の順に低い値を見せている。これらはすべて「有職者」ではあるが「勤め人」には当てはまらず、これが「勤め人より有職者全体の方が、残業者率が低い原因」となっている。

一方経年別に見ると、2010年に大よその職種で値が後退しているのは全体的な傾向で変わらないが、自営業者の下げが著しいのと、経営者・管理職の漸増状態が続いているのが確認できる。前者は不況の厳しさが自営業者には重くのしかかっていること、後者は上級幹部がリストラなどで仕事を任せられる部下が減り、陣頭指揮に立ってフル回転している様子がうかがえる。当時の景況感の後退が、各職種属性の就労状態にいかなる影響を及ぼしたか、就業の継続ができた人にも多分に負担がかかっていた状況が良くわかる。

他方直近の2015年では、販売職・サービス職こそ減退しているものの、それ以外では大よそ前回調査(2010年)よりも増加、特に技能職・作業職や経営者・管理職において著しい数字の底上げが確認できる。とりわけ経営者・管理職では1995年以来はじめて4割超えの値をカウントしてしまっている。それだけ特殊技能を持つ人や、部下を統括する人の負担が増え、時間をより費やさねばならなくなった、多分に仕事が忙しくなり個々への仕事量が以前と比べて増加していると見て良いだろう。



ちなみに冒頭の労働基準法における法定労働時間と割増賃金は管理職には一部を除いて適用されず、また労使関係にない有職者には当然原則として適用されない。その観点では「経営者」がもっとも苦労の上で長時間労働をしていると見ても良いのだろう。

もっとも労働力調査の結果によれば、週60時間以上の男性雇用者の割合は年々減少傾向にある。

↑ 年齢別・就業時間が週60時間以上の男性雇用者の割合(2008-2015年)(再録)
↑ 年齢別・就業時間が週60時間以上の男性雇用者の割合(2008-2015年)(再録)

週60時間は平日のみ出勤で換算すると1日12時間。今件の10時間以上では増加し、12時間以上では(少なくとも男性雇用者は)減少していることから、重残業とでも表現できる残業者が減り、一方で2時間から3時間程度の残業者が増えているのかもしれない。どのように評価すれば良いのか、微妙な話ではある。


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