【更新】特徴的な消費動向…中部電力の各種データを確認してみる

2011/05/08 18:05

元々当サイトでは【産業の活力が分かる、大口電力使用量をグラフ化してみる(2011年3月分)】などのように、経済動向との連動性から大口電力使用量を定期的にチェックしている。また今般の東日本大地震による東京電力管轄内における電力供給力不足を受け、【東京電力管轄内の最大電力需要の推移をグラフ化してみる(2011年2月分反映版)】のように東京電力の電力需給の定期観察も始めた。一方、今般情勢を見るに、東京電力管轄に隣接する中部電力(管轄)でも、電力需給について色々と動きが出てきた。そこで今回は寸評を極力排し、これまでの電力関連記事で作成したものをベースとし、中部電力に関連する各種グラフを作成することにした。

スポンサードリンク


まずはお馴染みの「月単位最大電力需要」。

↑ 中部電力の月単位最大電力需要(万kW、最大需要時)(2007年-)
↑ 中部電力の月単位最大電力需要(万kW、最大需要時)(2007年-)

パターンは東電とほぼ同じ。縦軸の数字が異なることに注意。2009年の値の低さは冷夏に加えてリーマンショックによる商工業の低迷による所が大きい。

続いて【東京電力の最大電力需要時における主要発電種類別電力をグラフ化してみる】で挙げた、最大電力需要時における主要発電種類別電力の推移。東電と比べて火力比率が高めなのが分かる。その分、電力需要の高低における火力発電での調整も目立つものとなっている。

↑ 中部電力管轄月間最大電力(2011年2月、万kW)
↑ 中部電力管轄月間最大電力(2011年2月、万kW)

↑ 中部電力の月間最大電力(万kW)
↑ 中部電力の月間最大電力(万kW)

次に示すのは、月次最大電力需要と、その月の平均気温の動向。今件では平均気温観測地点を静岡県とし、過去4年間(2007年-2010年)で平均気温を算出。その値との差異を使っている。

↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2007年)
↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2007年)

↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2008年)
↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2008年)

↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2009年)
↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2009年)

↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2010年)
↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2010年)

↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2010年)
↑ 中部電力の月単位最大電力需要と静岡の月次平均気温(4年来の平均気温との差異)(2010年)

中部電力管轄は日本を縦断する形のため、静岡県の平均気温だけで良いのかどうか判断に迷ったが、参照値の一つとして認識してほしい。2009年の冷夏、2010年の豪暑が数字の上にも表れているのが分かる。

続いて、最初のグラフの形状で「大口電力需要量」の推移グラフを作成した。データ取得元は(中部電力のもののみを取得する必要があるので)【資源エネルギー庁 統計情報・電力調査統計】内「統計表一覧」から「3-(2)業種別大口電力需要実績(一般電気事業者、卸電気事業者、特定電気事業者及び特定規模電気事業者合計)」にしている。ちなみに大口電力とは一般に500kW以上を指し、その変移契約者による電力消費(量)の変移は、産業の活性度合いを示すバロメーターの一つにもなる。

↑ 中部電力の月間大口電力需要量(百万kWh)
↑ 中部電力の月間大口電力需要量(百万kWh)

2007年夏の金融危機ではさほど変化が無いものの、2008年9月に端を発するリーマンショックで産業が大きな打撃を受け、翌年2009年には明らかに下落しているようすが確認できる(赤い矢印部分)。2010年はやや持ち直しを見せたものの、2007-2008年の水準に及ばず、2011年2月までの時点では2010年とさほど変わらない動きであるのが分かる。

ところで中部電力管轄においては多数の工業施設が存在し、電力需要も多い。どれくらいの比率なのかを示したものが次のグラフ。中部電力の【2010年度分電力販売実績】を基に作成した。2010年度とは2010年4月-2011年3月を指す。

↑ 中部電力電力販売実績(構成比)(2010年度)
↑ 中部電力電力販売実績(構成比)(2010年度)

純粋な家庭用電力は3割足らず、他はすべて商工業用。中規模・大規模工場に限定しても半分近い。大口電力の動向が、中部電力の電力需給に大きく影響を与えているのが分かる。2009年-2010年(特に2009年)の電力需要量が控えめなのは、気候によるところもあるが、不景気による商工業の低迷を主要因としていると考えてよい。

最後にやや余談になるが、中部電力の主要種別発電設備利用率をグラフ化しておく。

↑ 中部電力の主要種別発電設備利用率(月次)
↑ 中部電力の主要種別発電設備利用率(月次)

原発は定期点検やその他の停止で稼働率が低めである一方、稼働率がほぼゼロという時期が続いたことは無い。一方火力発電は40%-60%で推移しているが、これは稼働していない発電所が単純にお休みをしているのでは無く、定期点検や改善工事、新旧発電所の入れ替えで稼働できない状況である場合が多いことを記しておく。単純に「火力発電は現状の発電量と同じ量だけ、増やせる発電余力がある」というわけでは決してない。それは100メートル競走の世界記録を持つウサイン・ボルト氏に「そのスピードでフルマラソンを走ってくれ」と望むようなものだ。



今件グラフ生成過程で気になったデータを一つ、グラフにしておく。

↑ 静岡県全域月次降水量(mm)(2005年以降の平均値との差異)
↑ 静岡県全域月次降水量(mm)(2005年以降の平均値との差異)

元々中部電力管轄では水力発電による電力供給比率はさほど高くはないのだが、例の「揚水発電」は水のあるなしが大きく関わってくる。どうやら現時点では、今年の雨量は少なめであり、(管轄水力発電所のすべてが静岡県にあるわけではないが(【一覧】))留意を要する。

また、参考数値として以前【「東電管轄内の一般世帯で250-310万kWの節電が可能」日本エネルギー経済研究所試算】で取り上げた、日本エネルギー経済研究所の最新レポート【東日本大震災による電力供給への影響について(第二報)】にも記載されている「東京電力及び東北電力は平常時における運転予備力を少なくとも5%確保することを目標としており」という一文を引用しておく。これはさまざまな不測の事態に備えた「保険」であり、本来なら1割程度が望ましい。

なぜなら仮に不測の事態が起き、電力供給不足が生じると、【電力供給の仕組みを図にしてみる】で解説したような「憂慮すべき事態」が突発的に起きるからだ。

↑ 図解その2。供給力以上に需要が生じると……
↑ 供給力以上に需要が生じると……

さらに覚書として、実は中部電力では2010年12月8日に送電系統切り替えのスイッチが故障し、三重県北部から愛知県西部、岐阜県西部の一帯の電圧が0.07秒、最大で半分程度に下がるという、「憂慮すべき不測の事態」が突発的に発生していることも書き記しておく([中部電力で電圧瞬間低下、東芝の四日市工場など操業停止(朝日新聞)]、【中部電力リリース】)。被害については【ロイター電】や、東芝の工場が完全復帰までに2日ほどかかった様子が確認できる(【四日市工場の通常操業開始について】)。

日本の精密機械工業は安定した電力の供給によって支えられている。それは昨今の東電による計画停電で多くの製造業が生産力を落とし、ストップしているかで理解できるはず。ましてや予測すらしない停電が起きるリスクがケタ違いに高まるとしたら……。「保険」「予備」の大切さを少しでも理解した上で、色々と考えを巡らせてほしい。

あなたが観ているテレビの電源が瞬間的に消え、「あ、一瞬画面が消えたネ」というレベルのものではない。パソコンを使って大切な仕事の原稿を書き上げ、セーブしている最中に瞬間的に停電してしまったら。それを想像してほしいものだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー