ラジオを聴く人は約1割、日曜聴取は下げ止まりか(2016年)(最新)

2016/03/02 12:42

映像も配信できるテレビには情報量の面で叶わないものの、ラジオもまた利用ハードルが低く、ながら聴取ができる電波メディアとして多くの人に愛されている。さらに先の震災ではその機動力が十分に発揮され、多くの人から新たな信頼を勝ち取ることもできた。今回はNHK放送文化研究所が2016年2月17日に発表した2015年国民生活時間調査の報告書をもとに、ラジオの聴取動向の現状や推移について確認していくことにする(【発表リリース:2015年 国民生活時間調査】)。

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今調査の調査要項は先行記事【大きく減ったテレビを観る人、高齢者は相変わらず高視聴率だが…(2016年)(最新)】で記載済みなのでそちらを確認のこと。

次に示すのは調査各年における、ラジオの行為者率。「行為者」とは指定された行動(今件ならばラジオを聴くこと)を実際に成した人のこと、「行為者率」は指定された時間に該当行動を15分以上した人が、属性対象人数に対しどれほどいたのか、その割合を意味する。また今件のラジオには物理的なラジオ機器以外に、カーラジオはもちろん、らじる★らじる、radiko(ラジコ)経由からの聴取も該当する。

今調査によればラジオの行為者率は大よそ10%強。4マスのうち受動的メディアとして並べられることの多いテレビと比べれば随分と低い値に留まっている。一方、ラジオもテレビ同様に、時代の経過と共に行為者率の減少傾向を見せている。

↑ ラジオの行為者率
↑ ラジオの行為者率

テレビの場合は若年層で減退、特に2015年では大きな減りを見せ、高齢者では大よそ横ばいの傾向があり、全体としての視聴時間は横ばいとの傾向が確認できた(2015年ではやや落ちているが)。ラジオの場合もテレビ同様に、若年層ほど時代の流れと共に行為者率が減る傾向が見て取れる。

↑ ラジオ行為者率(平日、男性、調査年別)
↑ ラジオ行為者率(平日、男性、調査年別)

↑ ラジオ行為者率(平日、女性、調査年別)
↑ ラジオ行為者率(平日、女性、調査年別)

高齢者部分にややばらつきがある、70歳以上になると減少の動きが起きてくる年もあるが、大勢としては「歳を取るほどラジオ視聴率が増加する」「時の流れと共に視聴率そのものが減退している」とのとらえ方で間違いない。

これらの流れを見るとラジオの視聴性向の変化は、若年層-中堅層で特に大きく起きているのが見て取れる。理由はいくつか考えられるが、例えば「ラジオコンテンツの若年層のニーズとの剥離」「テレビのながら視聴の増加で、ラジオがその座を奪われてしまった」「若年層が時間を費やすメディアが多様化し、ラジオの優先順位が下がった」などが挙げられよう。

また、グラフ中矢印でいくつか動きをトレースしているが、年齢階層では無く世代で動きをトレースすると、「同じ世代の人が歳を取ると、ラジオを聴かない人が増える」ようすが分かる。例えば男性20代・1995年の視聴率は15%。10年分歳を取ると2005年では30代になるわけだが、もし同じようにラジオを視聴し続けていれば「男性30代・2005年の視聴率は15%」でなければならない。しかし実際には10%と、5%ポイントも減少している。

テレビの行為率の時に行った手法同様、直近年の年齢階層を基準として、10年単位で過去にシフトした際の同一「世代」の値を取得してグラフに収めたのが次の図。

↑ 直近年の各年齢階層における、過去のラジオ行為者率との比較(2015年時点、10年シフト、男性、平日)
↑ 直近年の各年齢階層における、過去のラジオ行為者率との比較(2015年時点、10年シフト、男性、平日)

↑ 直近年の各年齢階層における、過去のラジオ行為者率との比較(2015年時点、10年シフト、男性、平日)
↑ 直近年の各年齢階層における、過去のラジオ行為者率との比較(2015年時点、10年シフト、男性、平日)

上記折れ線グラフの破線矢印における傾斜度合いからもある程度推測はできるのだが、男性では大よそ一様に歳を取ることによるラジオ視聴性向の継続は成されずに、現在に近づくにつれて減少していく。ところが女性では現在の50代から60代(、やや判断を甘くすれば70歳以上も)において、視聴性向の継続が生じている、下落が最小限に留まっているようすがうかがえる。男性よりも女性の方が、長きに渡りラジオを愛聴しているようだ。



東日本大地震により4マスの中ではメディア単位との観点において、ラジオが大きく見直されるようになった。地震をきっかけにラジオを押入れや物置から引っ張り出して聴き入り、そのまま習慣化してしまった人も少なくあるまい。また「有益性」との点でも「ラジオは頼りになる」との認識を覚えた人も多いだろう。あるいは2010年から2015年にかけて、日曜の行為者率が増加に転じたのも、その影響があるのかもしれない。

余談ではあるが。年齢階層では無く職業別で仕切り分けをした、行為者の視聴時間を概算で計算したのが次のグラフ。

↑ ラジオ行為者率(2015年、職業別)
↑ ラジオ行為者率(2015年、職業別)

↑ ラジオ視聴時間(2015年、行為者限定、職業別、時間:分)
↑ ラジオ視聴時間(2015年、行為者限定、職業別、時間:分)

勤め人で1割、2時間強の値が出ているのは、カーラジオによるものだろう。それも含めて、大よそ想像した通りの値を示しており、同時に極めて興味深い。少なからぬ農林漁業者や自営業者にとって、ラジオは今でもよき友に違いないようだ。


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