穀物は年7割の値上がりを示す勢いに(2011年4月分世界食糧指数動向)

2011/05/07 07:22

国連食糧農業機関(FAO)発表による【世界食料価格指数(FAO Food Price Index)】が高い水準を維持し続けているが、この値は1990年以降にFAOが世界の食料価格の月ごとの変化を定期的に監視・統計した上で発表しており、権威あるものである。それと同時に、昨今の各種商品市場の動向や政治情勢を判断する際に、重要な指針となる。そこで当サイトでは定期的にデータの精査を行っている。今回はその2011年4月分の反映版となる。

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今記事のデータ取得元および用語の解説は一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で説明を行っているので、そちらで確認してほしい。

まずは、収録されている全データを使った折れ線グラフを生成する。中長期的な食料価格の変移概要がつかめる、資料性の高いものだ。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2011年4月)

砂糖は元々相場変動性の高い食料品のため変動が激しいものの、それ以外は2005年前後までは50-150の領域でほぼ留まっていたことが分かる。それが先の「サブプライムショック」に始まる2007年以降の市場動乱を皮切りに大きなうねりを見せ、全体的には上昇傾向にあるのが分かる。特に「サブプライムショック」の急上昇とその後の大きな反動による下落の後に起きた「リーマンショック」(2008年9月)以降は上昇する一方であるのが見て取れる。

目に留まる点として、2005年前後の砂糖の高値がある。これは干ばつによる砂糖の不作(ブラジルやタイなど)に合わせ、新興国での需要拡大が目覚ましいものになってきたこと(生活水準が向上すると甘いものが欲しくなる)、さらには原油価格の上昇に伴いエタノール利用度が高まり、エタノールの原材料となるサトウキビへの需要が高まったのが原因。当時は「25年来の最高値」と大きな騒ぎとなったが、昨今はそれをはるかに上回る高値をつけている。

続いて、2007年以降に期間を絞り、直近の金融危機以降の動向が分かりやすいものに生成し直したものがこちら。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2011年4月)

砂糖が2010年初頭から急落しているのが目立つが、これは元々過熱感のあった相場に対し、豊作が伝えられたをきっかけにする反動の結果。しかし価格上昇の原因である需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感が解決するはずも無く、再び上昇をはじめ現在に至る。しかし先月から再び砂糖や油脂など一部商品で下落が確認できる。砂糖は昨今の割高感に加え、タイでの生産量が予想より多かったこと、油脂は東南アジアでのパーム油の増産、大豆油の豊作によるものと説明されている。

一方でリーマンショック以降は砂糖価格だけでなく他の主要商品価格が一様に値上がりを続けている。特に穀物価格(紫線)が去年夏頃から急上昇を見せているのは注目に値すべき。

昨今の食料価格の上昇ぶりを確認するため、各指標の1年前からの変移を算出し、増加率をグラフ化したのが次の図。なお今回から今グラフでは、前年同月比だけでなく前月比も併記し、数字の変移が分かりやすいようにした。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年4月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年4月)

食肉や乳製品がおとなしめ、穀物・油脂が勢いよく上げている状況には違いない。砂糖はここ数か月は下落を続けているが、年ベースでは5割近い上昇と大きく上げていること、そして穀物は年7割、一か月でも5.5%と大きな値上がりが確認できる。リリースでも「油脂や砂糖などの値下がり分を穀物の値上がり分が相殺し、全体としてはプラスになってしまった」と説明されている。

とりわけ穀物の上昇率が7割を超えている、短期のペースでも大きく上昇しているのは問題。原材料費がそのまま食料加工品や世帯の食費に反映されるとは限らないが、食事は欠かせない生活行動である以上、主食となる穀物の価格高騰は、エンゲル係数の高い層には痛手となる。



食料価格の上昇は特に新興国における需要そのものの急速な拡大に加え、バイオエタノールの問題、天候不順による不作、さらには商品先物市場への資金流入に伴う相場の過熱感と合わせ、価格が安くなる要素が見つかりにくい状況にある。市場の一時的な過熱感とそれの反動で小幅な上下を繰り返すことはあっても、中期的には値を上げ続けることになるだろう。

繰り返しになるが、食事のベースとなる穀物価格の高騰は、社会情勢を不安化させる要因になるだけに、十分な留意が求められよう。


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