「え、これも?」と驚かされる屋外広告
2011/05/09 07:16


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↑ 大きな壁や柱に描かれたストリートアートのプリントがめくれている、ように見えるが……
これはプリント媒体からデジタル媒体までを網羅するワールドワイドなマーケティング会社【E-Graphics】が南アフリカで展開した屋外広告。同社の「どこへでも、どんなものにでも、プロモーションを展開できる能力」を低コストでプロモーションできないかとのニーズに対し、考え出された手法。
まずは同社のロゴとキャッチコピー「私たちはこのようなプリントが出来ますヨ」、さらに同社のウェブサイトのURLを書いたデカール(プリント済みで後は貼りつける・転写するだけのシート、シール)を用意する。そしてそのデカールの角の切り方・印刷に工夫を凝らし、貼りつけたデカールが地の面の上では無く、地の部分の下にあったものがめくれて見えてしまったかのごとく貼りつけていく。

↑ 左上の部分の切り口、さらには左下から右上の対角線の描き方に工夫を凝らし、デカールが元々の面の上では無く、下にあるような錯覚を起こさせるようにする
このデカールを見た人は、この部分だけでなく、周囲の絵柄なども含めた全体がE-Graphics社によってプリントされたものと判断し、デカール部分は「たまたまめくれて見えてしまった」と錯覚してしまうわけだ。本当は「めくれて見えた部分」のみの広告でしかないにも関わらず、である。
じっくりと目を凝らして見れば、絵の全体ではなく、めくれている部分だけが広告だということが分かる。しかしそこまでじっくりと見つめるモノ好きな人はさほどいないし、第一印象で「ああ、めくれてるな。そうか、このようなものも作るのネ」と納得して、E-Graphicsの思惑通りに好印象を心に刻んで通り過ぎる人がほとんど。逆に好奇心旺盛な人は近寄るなりして仕組みを確認し、そのアイディアに納得すると共に感心し、やはりE-Graphicsの思惑通りに同社の能力を思い知ることになる。
上記はストリートアート上での「トリック」で「大きな看板用のプリントかも」と思わせるが、もっと大胆に「これはあり得ないだろう」というものをめくれさせて、インパクトを強調したパターンもある。


↑ ビルの側面やレンガの壁、そして道路にまでも
もちろんこれらは事前にそれぞれの保有者などへ許可を得た上で貼りつけているわけだが、デカールそのものだけでなく貼りつけた土台まで演出材料にしてしまう点が非常に巧みといえる。使える業態・企業は限られるが、日本でも十分通用する切り口といえよう。
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