宮城県での大津波警報認知度は56%、そのうち3/4は「すぐ避難を」と判断

2011/05/05 12:00

防災無線サーベイリサーチセンターは2011年4月28日、東日本大地震に関する宮城県沿岸部における被災地アンケートの調査結果を発表した。それによると本震発生後に大津波警報の発令を何らかの形で知った人は56%に達していたことが分かった。そのうち半数近くは防災無線や屋外拡声器で確認している。また、その警報を認知した人は、聞いた後に半数以上が「すぐに避難しなければ」、2割が「すぐに避難した方がいいかもしれない」と判断し、合わせて3/4が「早急な避難」の意志固めをしているのが確認できる(発表リリース)。

スポンサードリンク


今調査は2011年4月15日から17日にかけて、宮城県沿岸部(8市町18避難所)(南三陸町、女川町、石巻市、多賀城市、仙台市若林区、名取市、亘理町、山元町)を対象に、避難所に避難中の20歳以上の男女に対し、質問紙を用いた調査員による個別面接調査法で行われたもので、有効回答数は451人分。

東日本大地震ではその規模の大きさや震源地などから大規模な津波の到来が予想され、早期に大津波警報が発令され、さまざまな媒体を介して公知された。

<
↑ 大津波警報(緊急警報放送)ラジオ版。【直接リンクはこちら】


↑ 鎌倉市での大津波警報が発令された時の屋外での様子。【直接リンクはこちら】

今調査母体では56.1%が大津波警報を認知している。そして認知した人の半数近くは防災無線・屋外拡声器によるもので、自治体の防災無線が大いに役立ったことが再認識できる。

↑ 大津波警報の認知
↑ 大津波警報の認知

↑ 大津波警報の認知媒体(聞いた人限定)(複数回答)
↑ 大津波警報の認知媒体(聞いた人限定)(複数回答)

また、「市町村広報車」も13.8%と高い値を占め、自治体内での連携プレーが功を奏した形となった。

一方で問題なのは主要大手メディアで、もっとも大きな値を示したのは「民放ラジオ」の19.8%。これは常日頃からラジオをつけているというよりは(一部は自動車運転中で、自宅内でというパターンもあるだろうが)、本震発生後に状況の確認をすべくラジオのスイッチを入れた結果、大津波警報の情報を知り得たと判断した方が的確。例えば【NHK放送文化研究所による2010年国民生活時間調査報告書(PDF)】によれば、ラジオの平均視聴者(1日15分以上聴いた人)率は13%、全体の平均視聴時間は20分でしかないからだ。

一方でテレビは民放が6.7%、NHKが1.2%と少なめ。確認した限りでは3月11日の本震当日はむしろNHKテレビは非常に早い段階で大津波警報を発していたはずだが、機転の効く人はまずはじめにテレビよりもラジオのスイッチを入れたようだ。

さて、これらの媒体で大津波警報を認識出来た人は、どのような判断を下したのか。冒頭でも触れたように、「すぐに避難しなければ」「すぐに避難した方が”いいかもしれない”」と切迫度の違いはあれど、緊急度の高い避難判断を下した人は3/4に達した。

↑ 大津波警報の認知後の見通し(聞いた人限定)(択一)
↑ 大津波警報の認知後の見通し(聞いた人限定)(択一)

逆に大津波警報を聞いた上でも「避難するほどではない」「海の様子を見てから」という楽観視をしている人も、合わせて1割強確認できる。

これらを合わせ、大津波警報に対する「認識出来た・出来ない」「認識出来た場合、どのような判断を下したか否か」について一つにまとめたのが次のグラフ。全体では4割強が、大津波警報の発令により適切な判断を下せた計算になる。

↑ 大津波警報への対応・判断(全員比)
↑ 大津波警報への対応・判断(全員比)

もちろん「聞かなかった」人の中にも本震そのものの大きさやその他の情報、判断から、津波への対策判断を決断した人も少なくない。それを考慮したとしても、自治体によるネットワークの頼もしさと同時に、現状のシステムにおける公知の限界を再認識させられる。今後は公知の確実性の向上と広範囲への普及、さらには公知の際の表現上の分析と最適化など、多方面での検証・改善が求められよう。



先日掲載した、今件調査別項目の解説記事【東日本大地震での津波「来るかも」と「どれくらいの時間で来る」との関係】において、津波に対する反応が少々良すぎるのではないかという意見をいただいた。この指摘については一連のデータの分析をする際に気がついていたことではある。元々この地域では地震による津波の被害が何度となく発生しており、その方面での防災意識が高かったことや、システム整備が進んでいること、さらには伝承なども多く伝えられているのが要因の一つ。

そしてもう一つ想定し得るのは、結果的に間違った判断・反応をしてしまった人たちは、今件のような調査においては回答し得ない可能性が高くなるということ。あまり想像したくない話ではあるが、データ精査の際の可能性として、ありうることを記しておく。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー