大きく減ったテレビを観る人、高齢者は相変わらず高視聴率だが…(2016年)(最新)

2016/02/29 10:37

NHK放送文化研究所は2016年2月17日、2015年国民生活時間調査の報告書を発表した。それによるとテレビを見る人の割合は、この20年間で全体比率では7%ポイントほど減少していることが分かった。男性では50代まで、女性では40代までの年齢階層で減少率が大きく、特に男性では20代から30代で6割台にまで減退している。一方70歳以上は男女ともに96%と、ほぼ全員がテレビを観ているとの結果が出ている(【発表リリース:2015年 国民生活時間調査】)。

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2015年ではテレビを観ている人の割合は85%


今調査は住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民1万2600人を対象に、2015年10月13日から26日に渡り配布回収法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は平日分が1万1056人分。土曜日分・日曜日分はそれぞれ3600人に対し行われ、有効回答数はそれぞれ2195人分・2170人分。

テレビ(番組)の視聴時間は国内外を問わず減退傾向にある一方、高齢者の間ではむしろ増加し、彼ら・彼女らが寄せる信頼を高める動きをも見せている(放送内容そのものが本当に信頼のおけるものかは別)。

今調査ではテレビ(番組)を観る人の割合(テレビ行為者率、1日15分以上テレビ(据え置き型テレビの他にワンセグによる視聴も含む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を観ている人。実質的に回答者が「テレビを観ている」と自認できるほどの視聴をしている)を調べている。結果としては2015年でも平日・休日を問わず8割強人が該当する結果が出ている。なお今件では単に「テレビを観ているか」との問いであり、その熱中度に関しては言及は無い。いわゆる「ながら視聴」でも本人が視聴していると自覚していれば該当する。

↑ テレビ行為者率(全体)
↑ テレビ行為者率(全体)

テレビが現在でも多数の人に視聴されている媒体であることに違いは無い。しかしこの20年の経過の中で、少しずつではあるが「テレビを観ない(厳密にはまったく観ない以外に、1日に15分未満しか観ない人、受信器は稼働しているが「観ている」との自覚が無い人も含む)」人が増加し、いわゆるテレビ離れが起きているのが分かる。そしてそれは平日・土日を問わずの傾向。

これを年齢階層別に見ると、冒頭でも触れたように世代別に異なる動きが確認できる。

↑ テレビ行為者率(2015年、平日、年齢階層・性別)
↑ テレビ行為者率(2015年、平日、年齢階層・性別)

↑ テレビ行為者率(平日、男性、調査年別)
↑ テレビ行為者率(平日、男性、調査年別)

↑ テレビ行為者率(平日、女性、調査年別)
↑ テレビ行為者率(平日、女性、調査年別)

直近となる2015年ではいずれの年齢階層でも、男性よりも女性の方が平日のテレビ視聴行為者率は高い。自宅に居る機会が多いのがその理由だが、同時にテレビ好きの度合いも小さからぬ要因だろう。また10代は学校における話題作り、情報共有のネタとしてのテレビの立場もあるため高めの値が出ているが、20代ではグンと下がり、特に男性では62%と2/3を切る結果が出ている。

経年動向を見ると、男女とも若年層から中堅層は漸減、高齢層は横ばいを示している。特に70歳以上の高齢者のテレビ行為者率は高値が維持されており、男女ともに95%を底値とした高レベル状態にある。つまり20人のうち19人が「毎日15分以上テレビを観ている」計算。

他方、男女とも若年層のテレビ離れは顕著な状態。また2010年から2015年にかけては中堅層にまで減少の加速化が進んでおり、男性では10代から50代まで、女性でも10代から40代までが「テレビ離れ」の動きを呈している。2010年までよりも減退の動きが加速したのは、ひとえにインターネット関連のインフラの普及、特にスマートフォンの浸透によるものと考えれば道理は通る。

テレビ離れは「世代」か「年齢階層」か


若者のテレビ離れ、見方を変えれば高齢層のテレビへの愛着的な行動性向は、世代によるものか、それとも年齢階層によるものか、議論となることがある。世代によるものならば現在テレビを敬遠している若年層は歳をとって中堅、そして高齢層に至ってもテレビを観ないライフスタイルを継続するだろう。年齢階層によるものならば、今はテレビと距離を置く若年層も、歳をとるに連れて他メディアとの接触に難儀を覚えるなどの理由で、テレビをより近いものと認識していくに違いない。

今調査は1995年以降5年間隔で実施されているため、世代における経年変化の流れを一部ではあるが知ることができる。例えば2015年時点で30代の人は、2005年時点では20代、1995年時点では10代となる。当然、同じ人を追跡調査しているわけではないので、あくまでも「各時点での同一世代の代表値」でしかないが、歳を取り、年齢階層がシフトした際に、テレビ行為者率もそのままシフトしたか否かを確認できる。

↑ 直近年の各年齢階層における、過去のテレビ行為者率との比較(2015年時点、10年シフト、男性、平日)
↑ 直近年の各年齢階層における、過去のテレビ行為者率との比較(2015年時点、10年シフト、男性、平日)

↑ 直近年の各年齢階層における、過去のテレビ行為者率との比較(2015年時点、10年シフト、女性、平日))
↑ 直近年の各年齢階層における、過去のテレビ行為者率との比較(2015年時点、10年シフト、女性、平日)

例えば男性で2015年時点では50代の人は86%、10年前はその世代は40代だったが、その時の値は85%、20年前は30代だったが88%と読む。20代は20年前では回答のしようがないので空欄となっている。10代の10年前・20年前も同様。

それぞれの動向を見るに、男女ともに現在における50代までは、ほぼ世代によるテレビ行為者率が継続されているように見える。それより若い世代では、40代はそれほどでもないが、30代以前は確実に歳を重ねるに連れてテレビ行為者率が減退していく。その動きは女性よりも男性の方が著しい。

現時点における40代、とりわけ30代以前の世代において、大きなテレビ離れが起きている感はある。もちろん各年でも10代のテレビ行為者率は比較的高めなため、10年後にそれと比較した20代における値が急落しているように見える部分もあるが、それだけでは各世代における20代から30代への減少は説明が難しい。男性の2015年時点における20代の10年間における27%ポイント、女性の12%ポイントの下落は子供から成人した際のギャップをはるかに超える減り方に他ならない。

現在はまだ30代、グレーゾーン的な世代も含めると40代までが確認できる「テレビ離れ世代」だが、今後時間の流れと共に各世代が歳を取るに連れ、さらにメディア技術の進歩やコンテンツの質の変化に伴い、少しずつ領域を拡大していく。それと共に各世代の離れ度合いも加速していくかもしれない。


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